プロローグ
彼は鼻歌を歌っていた。
マイカーに乗って目的地に向かっている。
服装は迷彩服を身に纏い、グリーン一色の帽子を装備している。
助手席には大きいリュックがある。
外見なら自衛隊員にしか見えないが、
彼は自衛隊員でも、コスプレイヤーでもない。
それどころか、アパレル業の関係者でもない。
サバイバルゲーム(サバゲー)の一員として開催場所に向かっているのだ。
彼の名前は、松原 竜二。
二八歳の独身のサラリーマン。
低身長。やせ型。眼鏡着用。色白。
ぱっと見、「頼りない真面目系といった容貌」。
実際ひ弱。
だが、決してアキバ系ではなく、オタク嗜好は無い。
趣味にはお金をかけるが節度があり、上限をきちんと設定している。
ファッションも時代遅れのものやほつれた服は着ない。
一人暮らしだが、インスタント食品で生活はせず、
きちんと自炊している。というより料理は好きだったりする。
男性にしては綺麗好きで、休日の家の掃除も欠かさない。
地味でひ弱な竜二だが、
価値観を見ている分には家庭を持てば安定した中流家庭が確定しそうなライフスタイルである。
そんな彼が最近ハマりだしたのが、(サバイバルゲーム)であった。
一度目は何が何やら分からなかったが、
二度目からは、緻密な戦術や知識や道具などの奥深さにどっぷりハマってしまったのである。
メンバーの足を引っ張らないように徹底的にミリタリー関係の書籍を読みまくり、
道具も買いそろえるようになった。
とはいっても、経験3回の初級者ではあるが…
まだライフルはメンバーから借りているが、いつか自分用の最新式のアッパークラスのライフルを購入してメンバーの皆を驚かせたいなあ。
と、思いながら目的地に向かって運転しているのである。
30分後ようやくバトルフィールド併設の駐車場に着いた。
みんなはもう着いているだろうか。
スニーカーからミリタリーブーツに履き替え、ポケットの中身を確認する。
用意した道具と装備を持って、集合場所に向かう。
ミネラルウォーターは持ったが、ガムを買うの忘れたな。
あれを噛んでいると気が落ち着くのだが。
そんなことを考えながら、集合場所へ歩いていると、
突然周りが暗くなった。
え?もう夜?
すぐ時計を確認しようとするが、その前に立ち眩みが起こり、
地面に倒れこみ、気を失った。
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「ほう、今回は人間か?これは何を意味するのだろうな。」
中年の男性が気絶している竜二を見てつぶやいた。
実際、ここに人間が現れるのは少ないが無いわけではない。
「ふむ。息はしているな。死んではいないようだ。
気絶しているだけだな。」
中年の男性は、近寄って呼吸や意識があることを確認した。
「外国人でしょうか?異世界人でしょうか?
服装を見る限り、異世界人みたいですが。
異世界人ならこの台座初召喚ですね!
何か意味があるのかも。」
高い声で答えたのは
十代後半であろう少女である。
ほほ笑みながら竜二を見つめている。
ここは薄暗い殺風景な部屋である。
この部屋にいるのは中年の男性と少女の2人だけだ。
あとは、倒れている竜二である。
「過度な期待はよせ。
とりあえずベッドに寝かせよう。さすがに客人を放置してはおけん。
あ、その前に適職診断を頼む。
ひょっとしたら何か突出した才能を持っているかもしれんからな。」
「はい、父上。」
少女はボーリングの球くらいの水晶玉を持ってきて、竜二の右手の手のひらに置いた。
そして少女は呪文を唱える。
「………………………」
しばらく経った後、
「適職は司書、学者、計理士ですね。
調理士や職人関係の仕事もある程度向いてます。」
「学者系が主体だな。次が技能系。しかし、台座に召喚された割には目を見張るほどの適性ではない。」
「……………」
引き続き詠唱は続いている。
「…………………………えええ!!」
「そんな!?こんなことって!」
少女は突然、驚愕の声をあげた。
「どうしたんだ?何があった!?」
中年の男性は心配そうに少女に近寄る。
「父上、これは本当に意味があるかもしれません!」
「彼がどうしたというのだ!」
少女は驚嘆とも歓喜とも恐怖とも感心とも、とれるような表情している。
まるで通学路の途中の道路脇に世紀の大発見ともいえる古代動物の遺骨を発見したような。
暇つぶしに母のお遣いで宝くじ売り場へ当選確認しにいって1等の当たり券がでたような。
そんな顔である。(もちろんこの世界に宝くじなどないのだが。)
「こ、この男性は、…………………………最高水準の竜騎士の適性があります!
それもAランクの竜を軽く乗りこなせる適性が!」
著者もサバゲー経験者です。サバゲー歴は8回です。
これを中級者と呼ぶか初級者と呼ぶかは
みなさんのお好みで。。。