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レビュー

掲載日:2026/08/03

短編です

 俺は、カミサマなんて存在しないと、ずっとそう思って生きてきた。

 中学の頃、いじめを受けていた。漫画家になるのが夢で、ノートに描き溜めていた漫画がガキ大将に見つかったのが始まりだった。

 学校帰り、近所の神社に寄っては「助けてください」って毎日のようにお参りしていたのに、結局俺が卒業するまで、いじめは終わらなかった。

 高校生の時は、進学と共に引っ越したし、幸い仲の良い友人が出来たから、中学の頃のようなことは無かった。

 平穏無事な生活を続けていたけど、高校を卒業するころ、母が亡くなった。事故だった。経済的に大学に進学することが難しくなって、父を支えるために就職をした。漫画家になる夢は諦めざるを得なくなった。

 高卒で入れる会社は、思った以上にブラックだった。入ってすぐは戦力になれないからと雑務を押し付けられた。戦力にならない割に、残業を沢山させられた。休日出勤も当たり前。でも、稼げるだけありがたいと懸命に仕事に打ち込んだ。

 ある日、高校の親友から結婚の連絡が来た。アイツは、大学進学後、有名企業に就職、とんとん拍子で結婚したんだとか。もうすでに奥さんのお腹には子供がいる、とか、集まった高校の他の同級生には、彼女がいるやつも、結婚秒読みの奴もいた。

 何もないのは俺だけだった。

 悔しくて、なんだか苦しくて、でも誰かに当たることもできなくて、悔しい想いを抱えたまま家に帰ると、家の中はぐちゃぐちゃで明らかに泥棒が入った様な状態になっていた。警察を呼ぶと、犯人は父だったことが判明した。

 母が亡くなって、酒に浸るようになっていた父は、いつの間にかギャンブルに手を出していたらしい。俺の隠していた金を家じゅう探し回ってどこかに消えたらしい。

 捜索願を出すかと聞かれたけど、正直もう、どうでも良かった。

 ショックが大きいと、涙すら出ないのだと、俺は悟った。

 ぼんやりと部屋を片付けていると、高校生の頃に描いた漫画が出てきた。

 絵も内容も、雑だし適当だったけど、読んでみると案外面白い。俺、こんなの描いてたんだっけ。

 あの頃は俺、漫画家になりたいとか、キラキラした夢持ってたなぁ。

 そんなことを思うと、なんだか描きたい欲というのか、そう言う感情がムクムクと湧いてきた。ぐちゃぐちゃの部屋の中で、俺は何かに追われるように、漫画を描いた。

 ずっと俺の中で燻っていたモヤモヤを、絵が、漫画が吸い出してくれているような、そんな感覚だった。

 描けた漫画をSNSにUPして、俺は正気に戻った。早く部屋を片付けないと。さすがの会社も俺を哀れんでか、少しだけ休みがもらえたけど、片付けが済んだらまた仕事に戻らないといけない。

 部屋の片づけを終え、スマホを見ると、SNSから通知が届いていた。

[コレ、めっちゃ面白いんだけど~!サイコ~!神、カンド~!]

「・・・自認、神かよwww」

 神という名前のアカウントからのコメントを鼻で笑いつつ、[ありがとうございます]とだけ返事をした。



「あっれ~!?このアカウント運営してたのアンタぁ~!?マジ、ファンなんですけど~!神、カンド~!」

 自分が寿命で亡くなるまで、こんな話、すっかり忘れていた。漫画を描いたのも、SNSにUPしたのもあの時が最初で最後だったし、コメントはあの一つだけ。でも、あの時のコメントが俺を支えてくれていたことを思いだした。



——自認どころの話じゃなかったなぁ——

あの時はありがとうございました。

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