第二話
「パイフ、連れてきた」
パイフは目を見開き、ゼイが連れてきた者を、しばらく見ていた。
そして口を開く。
「ところでゼイ、水は持ってきたのか?」
「大丈夫そうだし、もういいだろ」
「たしか、三番街の、薬屋の裏にある井戸の水は不味かったな?」
パイフは、連れてこられた者の方を向いて喋った。
連れてこられた者は、眉間にしわを寄せ、パイフを睨んだあと、
「あぁ、」
とだけ応えた。
パイフは髭をさすって連れてこられた者の腰につけてあるハサミを見たあと、一言質問した。
「お前、出身は?」
「チッ、、一番街だよ」
連れてこられた者は、そう、吐き捨てた。
「へへっ、ざまぁねえな、、」
パイフが連れてこられた者に笑いかけると、連れてこられた者が反応する前に、ゼイが口を開いた。
「パイフ、豆は?」
パイフは口を軽く開いてから一度閉じたそして、一度少し大きめに息を吸った。
「あぁそれな、食っちまった」
「わかった。あとで俺の分作っといて。」
パイフは返事をしなかったが、すぐに立ち上がって、空になった皿をザルに入れて、ざるごと池に入れた。
ゼイは一連の動きを見届けたあと、連れてこられた者の方を向いた。
「なぁ、、鉄砲のお前」
「俺の名前は鉄砲のお前じゃねぇ」
ゼイは連れてこられた者を軽く睨む。
「じゃあ、鉄砲のお前じゃねぇ君」
「殺すぞ!」
「お前の鉄砲って、どこまで飛ぶ?」
連れてこられた者は手を強く握って、歯ぎしりをする。
「450ヤードだ」
「ふぅん、それって、どんくらい?」
「自分で考えろ、あと、一応言っとくが、仲間はいねぇよ」
「そっか」
ゼイは太陽の方向の木を一本見つめた。
連れてこられた者はゼイの方をゆっくり見て、その視線の先を確認する。
そして、目を見開く。
「い、いるッ!でも、皆俺と同じ銃だ!でもーー!」
連れてこられた者は、すぐに、歯を食いしばって、前のめりになって、足に力を入れるが、地面がこすれるのみ。
「わかった、パイフ、」
「あいよ、縛って置いとく」
パイフは葉っぱとロープを持ってきて、連れてこられた者の口と手、足を縛り、腰のポシェットを奪った。
そして、担ぎ上げてテントの方へ持っていった。
ゼイは太陽をじっと見つめる。
「そろそろ近いな」
太陽に重なるように、ゼイの等身より大きい岩が飛んでくる。
ゼイは大きく跳んで避けて、飛び散った破片を一つ掴む。
「もう一個、くるな」
ゼイが岩の破片を太陽の方向に投げると、壊された岩の破片が、黒い影となって落ちる。
ゼイが一歩前に踏み出すと、1番目の前の草むらから、黒い何かが翼を動かす音を立てて飛んで来る。
「なんだぁ!?」
ゼイは右手で目を覆い、左手で黒い何かを手で払おうとするが、黒い何かはあたっても吹き飛ばず、ゼイを通り抜ける。
ゼイの後ろから声が聞こえる。
「目を全部閉じちゃ、世話ないな」
大人の、ゆったりとした声。
ゼイの聞いたことのない声質。
ゼイが後ろを振り返る前に、銃声。
ゼイは少し前にによろけて、数歩前に出る。
その後ゆっくり振り返る。
さっきの連れてこられた者と殆ど同じ格好をした者、おそらく、「女」が口を開く。
「パイフは?どこ?」
「あっちだよ、あの、さっき岩が飛んできたほう」
ゼイは心臓を抑えもせず、女の方を向いたまま後に指を指した。
女は目を大きく開いて前に駆け出した、前に体重をかけていて、蹴った跡に土煙は舞うのに、全く音がしない。
女がゼイを横切ったあたりで、声が響く。
「バカ女が!」
駆け出した女の両足が、地面から離れる。
女は右側に1メートル近く飛んで、右足で体を抑えて右手で打たれた左脇腹を抑える。
そして、飛んできた者を睨んで、
「クソ野郎め!」
叫んだ。
同時に、女の手のあたりから黒い何かが出てくる。
それの奥にぼやけて地面が見える。
岩も、火も、まるでそこに無いかのように通り抜けていく。
飛んできた者、、パイフは、正面から黒い何かに突入し、女に近づく。
黒い何かは、パイフの形を歪ませが、パイフの速度は落ちない。
一歩が大きく、足を大きく曲げて伸ばす走り方。
女は腰につけてあるポケットから小さなライターのようなものを取り出し、少し離れた位置から口に向ける。
「やめろ!」
パイフが黒い何かの大群のなかから跳び出して、片足で女のライターのようなものを持つ手を蹴り飛ばす。
「あっ、!」
女は叫んで手を伸ばすが届かない。
パイフは女を通り過ぎてライターのようなものを掴み、地面へ叩きつけて壊した。
そして、ゆっくり後ろを向いて喋る。
「堪忍しやがれよ、3番野郎」
「野郎じゃないわよ」
パイフは女に笑いかける。
女は怪訝そうにしたあと、腰のポケットを掴んで、無理矢理取り外した。
パイフがゼイに喋りかけてくる。
「ゼイ、アイツの捨てたやつ、取っとけ」
「ん、、あぁ」
ゼイはゆっくり歩いて、捨てられたポケットを拾った。
パイフは女の方を向き直して、喋りだす。
「それで、、何のようだ。AI」




