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怪獣  作者: かめのこ
3/6

第一話 発砲

「パイフ!飯!」

「ん゛、あぁ…、」


 パイフが目を擦りながら、草葉のテントから出てくる。

 白髪交じりの髭は、胸のあたりまで伸びている。

 髪は前話目にかからず、後ろは背中の中腹辺りにある。

 対してゼイは、髭は全く伸びていないが、背丈は大きめのパイフより少し小さくなるまで伸び、後髪は背中の上の方でまっすぐ切られている。


「おぉ、卵か、俺のは火、通してくれ」

「ん」


 火の横に対になる形で石が2つ、打ち付けられてある。

 ゼイはその上に平な1枚の石を載せる。

 しばらく黙って待ってから、石の上に卵を2つ、割って入れた。

 白身が気泡を出しながら色を変えていく。

 ゼイは、落とした卵の内一つを、まだ黄身の色が濃いうちに端をつまんで、一気に吸い込んだ。

 そこにパイフが森の中から現れて言った。


「林檎、もう良くなってきてたぞ」

「早!もう食った?」

「んいや?採ってきた」

「いいね、俺のは?」

「ん?ない」

「嘘つけよ」


 パイフはへへへと笑って林檎を一つゼイの方に投げた。

 ゼイは片手で取ってから、林檎を火の中に入れたが、パイフは林檎をテントの横の底の浅い籠に入れて、隣の豆を掴んだ。


「パイフは?焼かないの?」

「んや、ちょっと熟成させる。」

「また虫に食われるぞ」

「黙れ、豆でいいか?」

「ん」


 パイフは、そこがでこぼこした小さな石の皿を2つ持ってきて、火の中に投げ入れた。

 それをゼイが取り上げて、薪から少し離れた池に入れて、水が入っているまま平な石の上におく。

 掴んでいた豆と、すりつぶした木の実を入れて指で混ぜる。

 それらの工程を済ませると、黄身の色が薄くなってきていた卵を拾って一口で吸い込んだ。


「うえっほ!ゲホッ」

「一口で食うなって言ってんだろ?」

「ゥ゙ェ゙゛ッ、死ぬ、水!」

「ちょっと待ってろ!」


 ゼイは器を取りに立ち上がる。

 すると、ゼイの耳に、近くの草の根をかき分ける音が入ってきた。


「パイフ!静かに!」

「う、!はやくしろ、、、!」

「わかったから、、、!」


 ゼイの判断では、自分の半分ほど歩幅の生物が草を踏む音が一度だけ聞こえてから、静かになった。

 ゼイは、右と左を交互に見て、ゆっくりと向かって左の方向に歩いていった。


「、、ゼイ、、、みず、、!」


 パイフを無視して踏むと音がなるほどに高くなっている草の一歩手前まで歩いていくゼイ。

 パイフは、悶えたまま足を引きずって器のある場所までゆっくり移動している。

 ゼイは、左足を半歩分後ろに下げ、上半身を少し前側に倒した。

 そして、右足のかかとを上げてー


「ふん!」


 爆音。

 ゼイの右足が置かれていた位置の地面はえぐれて、空気は渦を作っている。

 ゼイは空中で着地のために姿勢を整えて、指を鳴らす。

 着地。

 同時に発砲音。

 ゼイは音のした方向をむいて、直進。

 発砲音。

 横に跳んで、横の木が中ほどで折れると同時に元の直線の道に戻る。

 それでもお構いなしに敵の方向へ走る。

 とても小さい草の根を踏み分ける音がした。

 ゼイは、一本の木を睨んで、一歩強く踏み込む。


「B班!助けてくれ!」


 音がした。

 発砲した者は怯えた。

 急いで先程の対象の方へ降り向こうとするも、指も、足も、銃も、動かない。

 地面に転がった通信機に、叫ぶことすらできない。


「どこだ!どこにいる!応答せーーー」


 通信機の音が遠のく。

 音がした。

 何か、硬いものが折れる音。

 銃身を折られた。

 目の前で。

 目の前に建つ男の足から、白い煙が小さく起こっている。

 発砲した者は思わず、銃身から手を離してしまった。

 目の前の男は銃を降って発砲した者の片手を強く弾く。


「痛っっつ、、!」


 手の平に穴が空いたような感覚がする。

 その痛みに悶える暇もなく、もう片方の手を引っ張れて抱き寄せられる。

 そして、打たれた方の手も掴まれて、後ろで組まれる。

 発砲した者にとってそれは、痛くはない。

 ただ、抵抗できない。

 しようとすら、思わない。


「何しに来たんだ?」


 発砲した者は、ゼイの耳をほじくってやりたい気分でになった。

 通信機は、まだうるさくなったままだ。


「卵の回収、、、ついでに、周辺の調査。」

「本当か分かんねぇから、パイフのとこ連れてくね。」


 発砲した者にとって、それはどこかで聞いたことのあるような名前であったが、声も顔も出てこない。そんな名前。


「歩ける?」

「あぁ、、」


 ゼイは、発砲した者を引っ張って立たせようとするが、発砲した者は立ちきれず、関節に翻弄されている。


「立てもしねぇじゃんかよ」

「、、、」


 発砲した者は頬を少し上げて眉を落とし手の平で顔を押さえた。

 そのまま引きずられて、行くうちに、発砲した者が少し口を開いた。


「思い、、だしたよ」

「ん?」

「パイフ、、聞いたことある名前だと思ったんだ」

「そんなわけない」


 ゼイは、足を止めない。


「いや、この辺のはずだよ、、あれは。」

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