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怪獣  作者: 吉屋 沿道
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第十三話

「はーい、しゅうごー!」


 ゼイを除いた全員がその場で姿勢を正し、胸に軽く手を当てた。

 血を抜いていた白衣の女性がゼイに手を振る。

 ゼイは少し遅れて反応し、小さく振り返す。


「みんな優秀ーなので知ってると思いますが、今からここの隣の部屋で隊分け、その後入隊式を各々の隊で行ってもらいまーす」


「はい!」


 ゼイを除いた全員が、その場で頭を下げる。

 ゼイと白衣の女性の目が合う。

 白衣の女性は、より口角を上げてゼイに笑いかけた。


「じゃあ、こっちにね」


 白衣の女性がポケットからカードを取り出し、壁に設置してある出っ張りの箱に投げ入れる。

 すると、壁がひとりでに開く。

 壁が開くと巨大な円卓が現れる。

 何人か、ゼイの見たことのある顔も円卓の座についている。

 白衣の女性も、円卓の内一つの席につく。

 ゼイ達は入口すぐで姿勢を正した。

 円卓の、ゼイ達から一番遠く離れた席から声が発せられる。


「君たちの情報は学校から提出された書類と、ついさっき君たちが行った検査でわかっている。よって、君たちの自己紹介は省きたい。いいかね?」


 声の主はシャンセン・ユードレッヒ。

 日光の影響を頭頂部に強く受け、背の低い中年の男、修行僧のような風貌をしている。

 誰も、彼の回答に答えられるほどの力を持ち合わせていなかった。


「では、私から時計回りに。私は国王より第一部隊隊長兼AI会長を任されている、シャンセン・ユードレッヒだ」


 シャンセンは杖を人差し指の上で器用に回転させ、地面をつく。

 『フクロウ』が顔のみをシャンセンの後ろに出現させる。


「第二、ヴィオラ・エリベールよ」


 彼女は青と白で彩られたドレスを着こなし、彼女の周囲の温度を下げてしまうような瞳を持つ。

 ヴィオラは持っていた髪、こちらに見せられると、ペンギンが書いてあるのがわかるから生まれでてくるように氷で造られたペンギンを出現させ、鋭利な氷の柱を背後に4本づつ交差させるように生やした。


「第三部隊隊長、パイフ・モルガンだ」


 ゼイと共にAIに来たときは考えられないほど髪を切り、髭を伸ばしていた。

 どこから持ってきたのかスーツを着こなし、ネクタイを首に止めている。

 パイフが持っていたペンを少し濡れたティッシュで触れると下手な槍より大きく巨大化し、地面に突き刺さる。

 ゼイはなんとなく、パイフに見られているような気がした。


「第四部隊副隊長、カーム・ドライタルク、私の名前はそこまで覚えなくても大丈夫です」


 どこかベルを想起させるようスーツに、赤いネクタイ。

 髪の毛を後ろで縛り、尻尾を作っている。

 背中からベルやチェロと同じ翼を生やし、手からコウモリのような形の影を一匹、生み出した。

 チェロがゼイの方を見て、笑っている。

 ゼイはよくわからなかったので、頭を撫でておいた。

 人間の熱を感じた。


「第五、ピア・ノートルよ、よろしくね」


 ピアは肌に張り付くスーツの上に1枚だけ前を閉めずにコートを羽織っている。

 ピアが軽く手を振ると、手の輪郭がぼやけて周囲を暗く包み込む。

 それは一瞬で、次の瞬間には何事もなかったかのように辺りは明るく戻っていた。


「私は第六、エリーゼ・レイドカルム、よろしくねー」


 オレンジ色の髪の毛をしたついさっきの白衣の女性。

 彼女が何処からかナイフを取り出し、髪の毛を切るが、髪の毛が地面に散らばり落ちることはなく、そのまま空中にとどまった。

 そして、彼女がポケットから取り出した緑色の液体を口に入れると、彼女は音を立てて顔から倒れた。

 髪の毛は伸びてゆき、もとより長くなった。

 空中に静止した髪の毛は地面に落ちていった。

 


「第七は今回不在となるので、私が変わりに、第七部隊隊長はカッダルワン・モザルカン、特徴的な髪型をしているので、配属されたらすぐわかるだろう」


 円卓の周囲が一時の静寂に包まれる。


「では、君たちの希望する隊を聞いていこう、どこでもいい、無いならないと言え、そうだな、二列に並んでくれ、そして、私からみて左の方から一番右まで一列、その後後ろの列だ。名前と希望隊だけいいなさい」


 ゼイは流れるまま、後列の一番左、、シャンセンから見て、右側に押しやられた。

 一番左前に押しでた男が喋る。


「アンドビカル・エイドバルドです!第一部隊への配属を希望しております!」


 大層な眼鏡をかけて、きれいに整えられたキノコのような頭。

 何処かの軍隊の大尉あたりが着ているであろう白に金色の装飾が散りばめられた服をしている。

 体が殆ど直線の棒でできているように見える。

 彼の目線はシャンセン一人に真っ直ぐ伸びており、他の隊長達など見えてすらいない。


「じゃあ、よろしく頼むよ」


 彼の服の後ろが空中に引っ張られる。

 彼は咄嗟に服の襟を抑えて首を守るようにする。

 彼の足は地面から離れ、そのまま空中を一定の速度で移動し、シャンセンの隣に落とされた。

 彼が深呼吸を一度終了するまで待ってから、シャンセンは口を開いた。


「異論なし、かな」


 隊長たちは一切動かず、目をつぶる。

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