表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/70

62.魅了魔法

 首都上空にはサバンナで、弱った獲物を狙う禿鷹の様に、無人機の群れが市民を狙っている。私達の編隊は、そんな禿鷹達の上まで高く飛ぶと、そのまま急降下で速度を稼ぎながら突進した。無論、セオリー通り太陽を背にした状態での突撃である。


「落ちろ!」


 レーヴェン機はそれぞれに無人機に狙いを定めると、各々、ミサイルや機関砲を放つ。伊達に今まで生き残ってきた連中ではない。放たれた矢は、それぞれ、暴虐の限りを尽くしていた無人機を射抜いた。


 奇襲が成功した事で、10機程の無人機が火を吹いて落ちる。


「ざまぁみろ! 悪魔共め!」


「『バグパイプ』、油断しないで! 敵の反撃が来るわよ。一撃離脱!」


 興奮している『バグパイプ』に釘を刺す。初撃は成功したが、まだ安心できる状態ではない。まだまだ敵の方が数が多いのだ。


 再度高度を稼ぎつつ、敵機の群れを見る。怒った様にミサイルを乱射しているが、確かに足は遅い。乱射されたミサイルを探知し、アラートが鳴り響く。


「釣られてくれよ!」


 アナベルはアフターバーナーに火をくべると、機体は一気に加速する。そのまま僚機達とは別の方向に機首を向けると、敵機の群れはまるで狙いすましたかの様に、こちらに追撃を仕掛けてくる。


「魅了魔法は!?」


「もうかけている」


「凄い。敵の無人機の群れは、全てこちらに食いつきましたよ!」


「当たり前だ。こちとら、元聖女様の使う魅了魔法だぜ!」


 当然、こちらに向かってミサイルが飛んでくる。だが、それはフレアをばら撒き、狙いを定めさせない。彼我の角度的にも命中させるのは難しいだろう。


「『ホワイトアウト』、敵機の編隊が何故か(・・・)こちらに付いてきている。このまま引き付ける」


 空中管制機にそう告げると、アナベルは機体をダイブさせ、更に増速する。ジェットコースターの数倍はある速度とGに歯を食いしばりつつ、私は意識を手放さない様に気をしっかり持つ。


「……理由は不明だが、『シルバー』の機体に敵は引き付けられている様だ。全機、今のうちに敵の背後をつけ!」


「よし、良いぞ」


『ホワイトアウト』の指示に満足しつつ、アナベルはそのまま機体を低空飛行させる。眼下には炎に包まれた首都が見える。


「酷い有様ね……一般人から沢山犠牲者も出ていそう」


「復興する為には、まず、奪い返さなきゃな。もうひと踏ん張りしてくれ、『ストライク』!」


「アイサー!」


 ***


 私達が囮になって敵の無人機を引き付けた事で、味方は後ろを取り放題になっている。次々と、無人機は撃ち落され、数は徐々に減ってきていた。


「敵無人機、残り10!」


「凄い、あっという間に形勢逆転しちゃった……」


「それもこれも、囮になっている『シルバー』と『ストライク』のクソ度胸のお陰だ。お手柄だな」


「『クロスボー』、『バグパイプ』、まだ戦闘は終わっていない。無駄口を叩くのはもう少し我慢しろ」


 そう言うアナベルだったが、心なしか、声は興奮をまとっている。凄まじい速度で、敵機から逃げ回るというシチュエーションに、アドレナリンが噴き出していると思われる。


 そうしている間にも、味方の対空砲と僚機が無人機を撃ち落していく。


「……無人機の全滅を確認! よくやった!」


『ホワイトアウト』からの通信に、私は後ろを振り返る。撃墜された最後の1機が墜落していくのが見えた。


「制空権を確保。これより地上部隊が首都の解放作戦を実施する」


「空軍の仕事はひとまず一段落って所だな」


「一時はどうなるかと思いましたが……案外やれるじゃないですか。この子も」


 少し前まで埃をかぶっていた機体だが、想像以上に良い機体ではないか。そう思った。軽戦闘機として、動かし易かったのも良かったのかもしれない。


「……航空隊は一時帰還。整備と補給を受けろ」


「了解」


 さて、後は陸軍の連中の仕事である。私達は少し休憩させてもらおう。


 そう思っていると、再び『ホワイトアウト』から通信が入る。 


「……? 何だ、これは?」


「どうした?」


「レーダー上に新たな反応。『シルバー』、君の目の前だ!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ