49.銀竜と吉弔の帰還
と、まあ、そんな約束をしておよそ1日。私達は雨上がりの中、ケルベロスの森を踏破し、味方の陣地にたどり着いた。
着く頃にはすっかり2人とも泥だらけで、最初は、味方に浮浪者かと思われた程だったが、階級章を示して、ようやく信用してくれた。
レッドリー基地に連絡すると、大層心配してくれていた様で、すぐに迎えの車をよこしてくれた。
「お二人とも、よくぞご無事で」
車を運転していたのは若い男で、何度か私達とも顔を合わせた事もあったので、すぐに打ち解ける。
「貴重な機体を壊してしまった。始末書かな」
「はは、パイロットの方がよっぽど貴重なので、大丈夫でしょう。パイロット1人育成するのに必要なお金は、衣食住まで含めたら最新鋭戦闘機以上に必要と聞きます。それに、敵の新型機を落としたのでしょう? それで十分採算は取れているでしょう」
そういえば、そうだった。2日も、森の中の道なき道を歩いていたので、すっかり過去の出来事の様に感じる。
「司令より、一応、検査の為に軍病院に入院せよとのお達しです」
「一刻も早く復帰したいのですが。戦況はどうですか? まさか、負けていませんよね?」
不安になっていた事を聞くと、若い兵士はそれを笑って否定した。
「まさか! むしろ我々の優勢です。ちょうど中尉達が行方不明になっている間に、南東戦線で大規模な戦車戦がありましてね。我々の大勝利に終わりました。いよいよ、首都解放も目の前に迫ってきました」
「なんだ。陸軍の連中も頑張ってるじゃないか」
そんな重要な局面で入院とは……。なんだか申し訳ない気分だ。とはいえ、アナベルは甲殻を撃たれて負傷しているし、しばらく休養と思うしかない。
***
レッドリー基地についた所、こちらでも歓迎してくれた。
「はは! この野郎、案の定生きてたか!」
「貴方達に死なれるのは色々と悲しいからね。帰還を歓迎するわ!」
「まぁ、簡単に死ぬ様な人達ではないでごわすが」
「……帰還、歓迎する」
特に部隊の連中は心配してくれた様で、帰還報告の為に司令部まで行く私達についてくる。
「心配をかけたな。お前らも無事で何よりだ」
「私達が留守の間、何か変わった事は無かった?」
私の疑問に、やや興奮気味に戦友達は口を開く。
「南東戦線の戦車戦の支援で、俺たちも出た。凄い激戦でな」
「あんな大規模な戦車戦は、将来教科書に載るレベルね」
「貴方達は歴史を作っていたってのに、参戦出来なかったのが残念ね」
そんな大作戦が行われていたというのに、参加出来なかったのは遺憾である。
「まあ、そう腐るな。手柄を立てる機会はまだあるさ。……いよいよ、首都も射程内に入ってきた所だ。『シルバー』と『ストライク』は、早く復帰してくる事だな」
「いよいよ、首都奪還作戦。というわけですね。武者震いがします」
「まあ、数日後って事は無いだろう。それまでには回復してみせる。こういう時、竜の回復力の強さのありがたみを実感するよ」
それから司令に生還と、捕獲した部品を提出すると、私達はそのまま軍病院まで連れて行かれるのであった。帰ったら、アナベルとイチャつけると思ったんだが、もう少しお預けらしい。




