41.sideヴェル 戦後
「ドクター・ネック、偉そうな事を言っていた割には、君の子供は今一つだった様だが」
僕、エルネスト・フェルトマンは、錐もみ状態になって落ちるC.H.A.O.S.を眺めつつ言う。
「自立制御の無人機としては良い性能ですが……あれなら、私でも落せるでしょう。あっさりと囮に釣られていましたし。ただ、いくらGをかけても問題ないのは良いですね。量産されたら脅威になるでしょう」
ハンナもパイロットとしての視点で評価した。僕よりは脅威を感じている様な感じだ。
生みの親であるフローラ・ネックはというと、しばらくは悔しそうな顔をしていたが、やがていつも通りの冷静そうな顔と、慇懃無礼な態度に戻った。
「……ま、今回は初の実戦テストですし、あそこまで出来れば上出来でしょう。すぐに改良に移りましょう。データは取れました」
「大丈夫かな? 自立稼働兵器なんて、暴走して制御不能になるのがSFもののお約束だが……」
「私の子供達を、そんなフィクション上のポンコツと同じ様に扱わないでください」
僕の不安をよそに、フローラはククク……と悪い顔をしている。なんとなく、嫌な予感がするのは何でだろう……。
それはハンナも同じだった様で、彼女はフローラを警戒の目で見ている。
「ハンナ大佐、でしたね?」
そんな彼女の視線に気づいたのか、フローラは挑発するような表情をする。
「いずれ、この機体は量産される。あなた達パイロットには楽をさせてあげられると思いますよ」
「……一々、気に障る言い方をしますね。我々戦闘機乗りの仕事を奪ってやるって言いたいのですか?」
「私とて、命が無意味に散っていくのは見るに忍び無いのですよ」
それから彼女は、うっとりとした表情になった。
「もっと命は派手に散るべきなのです。C.H.A.O.S.が完成したあかつきには、この世界から戦争が消えます。私が消します。それまで貴官には頑張ってもらいたい」
「「…………」」
なんというか、とことん胡散臭い奴だ。僕とハンナは顔を見合わせて、反応に困るだけだった。
短いので今日中にもう一話投下します。




