40.vs無人機
後方を振り向くと、のっぺらぼうの無人機と、顔が合った様な錯覚を感じる。機関砲を撃ってきた時は思わず身をすくめた。何発かはかすめたが、直撃はしていない。
更に後方からは、『バグパイプ』と『クロスボー』がついてきているのが分かる。後は私達が落とされるのが先か、奴が落とされるのが先かのチキンレースだ。
「ミサイルアラート!」
不快な甲高い警告音が聞こえる。敵にミサイルを放たれた時の警告音だ。
「回避する」
アナベルは冷静に、急旋回でそれをかわす。ミサイルは避けれたが、今度は機関砲が飛んでくる。だが、こちらもバレルロールでぎりぎり回避した。
だが、それでも数発、機体に銃弾が当たってしまった様だ。機体に穴が開く嫌な音が響く。
「被弾!」
「ダメージは?」
「自動消火装置が作動したので、飛行には支障なし! しかし、燃料漏れが発生しているようです!」
「あまり長くは飛べないか……」
帰りの燃料がもつと良いのだが……。
その時、後方で爆発音がした。
「ミサイル命中! さすが『パファー』!」
通信的に、『クロスボー』機の放ったミサイルが命中した様だ。見ると、無人機は所々が破損した状態だった。逆に言えば、そんな状態でも問題なく飛んでいるという事でもある。
「奴はまだ飛んでいます!」
「こっちは、残りの燃料計算しながら飛ばなきゃならんってのに、それに比べてタフなもんだなぁ」
だが、それでも空戦はきついのか、こちらの追跡を諦め、フラフラとした挙動で、無人機は戦場から逃げようとしている。
「逃がすか!」
今度は背後をとった『バグパイプ』が機銃を放つ。いくら強固といっても、空を飛ぶものに戦車の様な重装甲は施されていなかった様だ。たちまち、機体に穴が開く。無人機はそのまま失速して墜落していった。
「グッドキル! 『バグパイプ』」
「無人機相手なら人殺しにならん分、幾らか気は楽だな」
「同感でごわす。侵略者相手とはいえ、人を撃つのは心が痛むでごわす」
墜落して爆発した無人機を眺めながら、そんな事を言う『バグパイプ』と『マンティス』。
「そんな事を言ってられるのも今のうちかもしれんぞ。技術の進歩は速い。飛行機を舐めてかかって全滅したドラコニア王国の竜の二の舞になりかねん」
「だな。油断大敵だ。それより『シルバー』、撃たれた様だが、機体は大丈夫か?」
「燃料漏れが発生している。基地まで燃料がもつか分からん。最悪、機体を体を捨てる羽目になるな」
「あまり無茶はするなよ」
「これも国民の税金で作られた物だと考えると、あまり無駄にはしたく無いが」
私は残った燃料残量から、基地まで飛べるかを素早く計算する。恐らく無理だ、という結論に達するのに時間はかからなかった。
「恐らく、もちませんよ。燃料」
「……仕方ない。『ストライク』、パラシュート降下の訓練はきちんとしていたよな?」
「教官からは筋が良いと言われました」
「よろしい。上出来だ。最悪スカイダイビングをすることになるかもしれん、心の準備はしておいてくれ」




