20.レッドリー上空 高度5000m
「こちら空中管制機『ホワイトアウト』。全機、上がったな? 現在、エイボン隊が爆撃機部隊、および護衛機部隊と交戦中である。敵はヴェル属州軍機だ。お前たちは、これの増援に向かえ」
レッドリー上空高度5000m。ついにここまで来てしまった。私達は、愛機『スカイシャドウ』の狭いコックピットに座って、他の部隊の連中と共に編隊飛行をしている。空模様は晴天。絶好の空戦日和である。
「こちら、ネクロノミコン隊2番機の『シルバー』。こちらは隊長機不在だ。どこかの隊と合流するか?」
「いや、ネクロノミコン2はネクロノミコン4と共にバディを組め。このまま2機編成で交戦せよ。ネクロノミコン4は後衛。前衛は君が務めろ」
「了解」
空中管制機の指示に従う形で、ネクロノミコン4……『クロスボー』の機が後衛についた。
「『シルバー』、頼んだわよ」
「ああ、隊長が帰って来た時に褒めてもらえるように頑張ろうじゃないか」
「あまり功名心を出さないでよ。『シルバー』は割とバトルジャンキーな所があるから……。アグレッサー部隊の教官達が基地に指導に来た時、勝てるまで模擬戦を挑んで、あまりのしつこさに教官達をギブアップさせた事、忘れてないからね」
そういえばそんな事もあった。あれは付き合わされた私も地獄だった。まぁ、お陰で嫌でも経験はつめたが。
「それに貴方は勿論、今後部座席に座っている恋敵ちゃんに死なれるのも、中々後味が悪い」
「何よ。撃たれて死んじまえ、くらい思ってるのかと思ったけど、意外と殊勝じゃない」
「恋は実力で相手を振り向かせてこそよ。相手が死んで不戦勝じゃあ女がすたる」
そんな適当な事を言いつつ、私達は交戦中の味方がいる空域に直行した。ちなみに、『パファー』は私達のやりとりを聞き流しつつ、兵装の準備を黙々としていた。彼の様な人がいるからこそ、適当な人が一定数いても世の中が回るのだと思う。勿論、私も自分の仕事はサボったりしない。
「……早速おっぱじめているな」
バイザーごしにも、前方下方にミサイルの軌跡や、撃墜された機体なのか、地上から吹きあがる黒煙が見えてきた。
「兵装のロック解除。……空対空ミサイル1番から12番まで発射可能……いつでも撃てます」
「……よし、始めるか。ホワイトアウト、戦闘エリアまで到達。交戦許可を」
「交戦地帯に進出を確認。ネクロノミコン隊、ネームレス隊、フェイスレス隊、エンゲージ! 自由戦闘開始!」




