221-225
221自分の貝殻を探している
晴れ渡る日曜日
白いTシャツを着て
海産物が
歩いている
不自然由来の
成分を撒き散らして
香水の匂い
鱗のとれたアジが
サンマの漁獲量の少なさを
嘲笑っている
情報バラエティという名のただのお笑い番組
笑点の座布団二枚重ねて
貝の身が
自分の貝殻を探している
探偵事務所は岐阜にある
晴れ渡る日曜日
空にサラダボールを
放り投げて
222食卓で卓球してはいけない
天体現象レベルの
昼食フィナーレ
誰もが裏切る
フォークではなく
スプーンをもって
オニオンスープをすする
食卓で卓球してはいけない
との校則
違反者は日本刀を
校内に持ち込んだ奴と
同じく罰せられるとのこと
食卓で日本刀を持ち込んでも
罰せられることはない
そんな校則は作っていない
との校長
うなぎ弁当を食べたら
食中毒にかかったとの
ニュース
あなご弁当だったら
無事だったかもしれず
土用のうなぎは
罪深い
天体現象レベルの
昼食フィナーレ
サンドイッチに
コーヒーミルクに
ちいさな
ちいさな
愛情を
223それが
朝の庭の水やりで
服が濡れた
濡れた男女の仲は
水やりで起こる
それが
運命
西部劇で
銃より速い
先生のチョーク投げ
ただし
暴投ゆえ被害者は
別にいる
それが
宿命
海洋生物学者が
物理法則を発見し
小学校の学級新聞に
掲載した
誰もが廊下を素通りする
廊下をモップで掃除したほうが
役に立つ
それが
人生
224犯人がわかる
てんびん座の
みずがめ座の
おとめ座の
点と線で
犯人がわかる
不思議現象
犯人は
ヘラクレス
かもしれず
疑いの目は
そこしれず
探偵の
へびつかいは
医療ならできると
自信を持って言う
本当の犯人は
双子のどちらかで
どちらも弁明する
真実は事実ではなく不実にあって
言葉を二分の一にして
発する奇声のその先に
文字を三分の一にした
理解者がいればいい
225毎日が月曜日
月曜の前日
土曜の次の日
それに当たる言葉が
見つからない
働き蟻は
蝉の死骸に群がっている
人類が初めて日曜日を知ったのは
神様が寝坊してそのまま職務放棄をしたからである
不登校、無断欠勤のはじまりである
毎日が日曜日
毎日が月曜日より
マシかもしれない
洗濯機は回転する寿司屋のごとく
賛美歌は三拍子で白拍子のごとく
蝉の死骸は日曜日の死骸のごとく
曜日は巡る
天の川の石の苔