3 自由を勝ち取れるのか? その為に自分の配下達をを………
自由になる為には、配下達を全員纏めて首にしたい。
冒険者に成りたいと望むトモルシード!
計算通り事は運ぶのか?
ドアを強くノックしながら
「トモルシード兄様!
大丈夫なのですか?」
と泣きそうなルシーシアの声で目覚めた。
どうやらスマホで色々と調べながら寝落ちして、
寝坊したらしい。
「悪いな…ルシーシア。
どうやら心配させた様だ。」
寝室のドアを開けながら
ルシーシアに謝ったが…
ホッとした表情で
「只の寝坊ならば、いいのですけれど………
それよりも、早朝からお母様の元へ
トモルシード兄様の配下の者が、苦情を述べに大勢押し掛けて来ています。」
成程
意識不明から目覚めた俺に対し、何故 自分達配下の者に知らせなかった件だろうと
予想はついた。
俺はルシーシアに頼み事をした。
「ソフィーシア様には、
只の寝坊だから、謝って置いて欲しい。
配下の者達には、昼食後に話は聞くから出直して来い!」
と伝言を頼んだ。
俺は、冒険者になる為には
意識不明に陥った自分を、
見限った配下達を処断しなければ、
自由に行動出来なくなる。
ストレッチしながら
策を練る。
昨日决めた運動メニューをこなせば、もうすぐ昼食会である。
身体を水で絞ったタオルで拭き、正装してルシーシアの部屋へ向かった。
部屋には、既にソフィーシア様もいらしたので
「今朝の寝坊の件と元配下達の無礼をお詫びいたします。」
とソフィーシア様に
頭を下げれば
「寝坊の件は、構わないのですけれど?
元配下達と言うのはどういう意図なのですか?」
俺は素直に話す事にして
「一度死にかけたのですから
自分は自由な冒険者に
成りたく思っています。」
ソフィーシア様の声色が変化した。
「其れは、スペイ王国の国政には一切関わらないと云うのですか?」
エッそう言う訳では無いのだけども……
「イエ・そうでは無く、勿論スペイ王国がピンチな場合は
駆けつけます!
冒険者に成り自由に
生きたいと考えが変化しただけです。」
ソフィーシア様は、少しばかり安堵されたのか?
「今現在トモルシードさんの配下の者を、元配下達と
おっしゃるので、
スペイ王国を出て行く御積りなのかと。」
スペイ王国を出て行くつもりは全く無い。
だが配下の者達は、全員切るつもりだ。
「意識不明に成った自分に
見切りを付けたのは、配下の者達の方です。
この先、自分に何かあった場合 同じ様になるでしょう。」
と答えた俺に
「確かにそうでしたわ。
5日程度は、ルシーシア
部屋の前に居た側近達で
さえ
目覚めなかった
トモルシードさんから
離れて行きましたから……」
少しだけ暗い雰囲気の中で昼食会が始まった。
食事が終るのを待って
「ソフィーシア様とルシーシアには、
この後の配下達との話し合いに証人として
参加頂けませんか?」
俺は切り出した。
ルシーシアは困った表情だが
ソフィーシア様は
「解りました。
私くしの広間にて話すと良 いでしょう。」
そう言うとソフィーシア様の護衛兵の1人を呼ぶと
俺の配下の者達へ第3王妃の広間へ来る様にと伝えさせた!
肝が座っていると言うか?
直感力が鋭いのか?
その愛くるしい見た目とは
真逆な強さを感じる。
「自分の為に御足労掛けてしまい。
有り難う存じます。」
そうしてソフィーシア様の広間にて話し合いが始まろうとしていた。
俺の元配下達を全員広間に
入れた所で扉を閉めさせた。
広間の壇上には、ソフィーシア様とルシーシアが豪華な椅子に座している。
俺は、壇上の前に行き
「早朝から、第3王妃のソフィーシア様に対し私が目覚めた事を、
何故知らせなかったと
無礼を働いた者達が居たのは
本当か?」
俺の発言に騒ぎ始めた者達を一喝した。
「黙らぬか!事実であろうが!!」
その言葉に慌てて反論した者が居た。
「ルシーシア王女御自身が
トモルシード王子の看病をといいだされましたので…
当然トモルシード王子が目覚めた場合は、連絡が有るものだと!」
想像した通りに、話が進み俺はニヤリと笑い。
「俺は、ルシーシアを庇い意識不明に成ったから、
ルシーシアは、看病すると成ったのはしょうが無い!
だが、俺の配下の者が1人も居なかった事とは、別問題だ!!
1日交代でも良いからルシーシアの部屋の前に居たならば、
ソフィーシア様に迷惑をかける事さえ無かった!
そんな配下は、要らぬ!!」
俺の自由の為には、1人として許す訳にはいかない。
ざわめく配下達を征して
老齢な配下が手を上げた。
「確かにトモルシード王子が仰る事が正解でしょうが…
私達を全員首にすれば、
トモルシード王子は、国を敵に回す御積りですか?」
自分達を首にすれば、
要はスペイ王国の者達まで敵にすると、脅して来たのだ。
「その可能性はあるが、
第4王子とはいえお前達は、俺が国の要職に付き
配下であるお前達も、それなりのポストに就けると踏んでいるのだろうが………
俺は死を直前にし考えが変わった。
冒険者に成り、自由に生きる。
この考えは変わらぬ。
フラン学園都市を卒業後に首を切られるのか?
入学する前に言われるのか?の違いしか無い!」
そこで老齢な配下が
「その決断は、何が起ころうと変わらないのですか?」
と俺を睨みながら宣言した。
此処で俺は一切怯まずに
老齢な家臣を睨み返す。
一歩でも引けば、
自由が俺の手をすり抜けていくだろう。
引いたのは配下達であった。
「フラン学園都市を卒業後に、冒険者に成ると告げられるよりは………
入学する前に言い渡された方が、色々な意味で対処出来る。」
自然と今首に成った方が良い
と云う流れになり
「今迄、トモルシードに
御使え出来…
本当に感謝しております。」
老齢な家臣が代表で俺に申した。
その言葉に、一人の反対者も出なかったので
「ソフィーシア様、この結果を証人として、同意して頂けますか?」
ソフィーシア様は
愛くるしい微笑みを見せながら
「第3王妃ソフィーシアの名に誓います。
トモルシード王子の配下全員の新たな就職先は、
私くしから推薦状を贈ります。」
この一言で、元配下達は納得した表情で広間を跡にしていった。
これからが自由への第一歩だ
と自分に言い聞かせながら
大きな溜息が溢れていた。
俄然 体力アップと魔法学に
集中出来そうだ!
ニヤけてしょうが無い顔を
引き締めてから
「ソフィーシア様。
ルシーシア。
本当に感謝して居ます。」
そんな俺に二人共微笑みながら
「本当に冒険者に成りたいのですね~。」
と少しばかりからかわれた様な気がしたが、笑って誤魔化した。
破壊的な体力の無さと魔法学を学び
1から始める
異世界生活。配下全員を首にして、トモルシードは生活して行けるのか?