表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/44

夕菜初登校 その①

八栗高校の制服は男子はブレザー

女子は下がスカートなら上はブレザー、セーラー服どっちでもよい。


今日は始業式の一日前だ。

だが夕菜の場合は関係がない。

夕菜には学校の学籍自体、いや戸籍自体がない架空の人物なのだ。

勇馬の学籍はあるが優子が言うには『休学届』を出したみたいだ。


優子はどこかに電話をしている。

優子「こんにちは《・・・》えぇ」

優子の話し相手の声までは聞き取れなかった。


夕菜はソファーに座ったまま、思いにふけていた。

夕菜(あんなところで友梨と会うなんて考えてなかったな…)

夕菜は先日の初詣でぶつかった友梨の事を考えていた。

夕菜(多分ばれてないよな・・・)

夕菜は友梨に自分が勇馬だって事がばれてないかどうかが気がかりで仕方が無かった。

夕菜「はぁ…」


夕菜は考えるのをやめ、今だに話している優子を見た。

優子「そうなのよ《・・・》」

相手の声はやはり聞こえない。

向こう側の声が小さいのだろう。

夕菜はテレビをつけのんびりと過ごしだした。


数十分後、優子の電話が終わった。

優子「夕菜!!明日学校言ってね。」

そう言いながら、椅子に置かれていた紙袋を取った。

夕菜「なんでだよ!!今の俺には学籍どころか戸籍自体ないんだぞ!!」

優子「そんなのいくらでもなんとかなるわよ。」

夕菜「ならねぇよ!!」

優子の言葉に夕菜は全力で突っ込んだ。

優子「そんなのどうでもいいのよ。ひとまず夕菜これを着てみて。」

そう言って、紙袋を夕菜に渡してきた。

夕菜「これは?」

夕菜は、紙袋の中をのぞいた。

そこには・・・

夕菜「俺の高校の女子の制服じゃねぇか!!」

そこには夕菜(勇馬)の学校の女子の制服が入っていた。

優子「そうよ。明日から夕菜は八栗高校に女子高生として転入してもらいます。」

優子は胸を張って言った。

夕菜「・・・」

夕菜は開いた口がふさがらなかった。

優子「とりあえず着てみて。」

そういって、優子は夕菜を紙袋と一緒に夕菜の部屋に押し込んだ。


夕菜は着替えを始めた。

夕菜(はぁ・・・なんで俺はこの格好で高校に行かなきゃいけないんだ・・・)

夕菜はぐちぐちといいながらも制服に着替えていった。

夕菜(どうもスカートって落ち着かないな・・・)

夕菜は率直な感想を頭の中で考えた。


優子「夕菜~着替え終わった?あけるよ。」

ガチャ

優子が夕菜の部屋に入ってきた。

優子「夕菜。KA・WA・I・I~」

夕菜「なんで可愛いだけローマ字なんだ?」

優子「本当に可愛かったからよ。

   それに夕菜こうしたほうがもっと可愛いわよ。」

優子はどこからかゴムを取り出してきて夕菜の髪を後ろで一つにくくり始めた。

夕菜「どうするきだ?」

優子「まぁ見てなさい。

   はい。できたわよ。」

優子は夕菜の前に手鏡を持ってきた。

夕菜「こ、これは・・・」

そこには頬を少し赤らめ髪をポニーテールにしている夕菜がいた。

優子「う~ん。やっぱり可愛いわね。」

優子は満足そうだった。

夕菜(これじゃ男だった面影なんてないな・・・)

そう思いつつも夕菜がこの髪型を気にいってしまった。


その夜友梨からメールが来た。

『From:友梨

 本文:勇馬!! 明日何時に迎えに行こうか?』

夕菜 (・・・どうしようかな・・・)

『To:勇馬

 本文:明日からは向かいに来なくていい』

夕菜は簡単な文章にして、携帯の電源を切った。

夕菜(ごめんな。友梨。)

夕菜は顔の見えない友梨に謝った。


そして初登校日当日


優子「夕菜~早く起きないと遅刻するわよぉ~」

夕菜「は~い」

夕菜は起きるとすぐに女子の制服に着替えた。

髪型は昨日優子にやってもらったポニーテールにしている。

夕菜は朝ごはんを食べると家を飛び出した。


そして夕菜は誰かに話しかけられた。

???「え~とあなたは確か元旦に神社であった…」

夕菜は話しかけてきた人を見た。

夕菜(友梨?!)

夕菜「え?あっはい。あの時はどうも。」

友梨「なんであなたが勇馬の家から出てくるのよ。」

夕菜「だってここ私の家…」

友梨「だってここ勇馬の家よ。」

夕菜(友梨は俺だと気がついていないんだな)

夕菜「私は勇馬の妹ですが?」

友梨「私、勇馬に妹がいるなんて聞いたことないんだけど?」

夕菜「そうですか?私ほとんど祖母の家にいましたし。」

夕菜はあくまで勇馬と別人であるといった。

友梨「そうなの?勇馬しらない?」

夕菜「ゆ、勇馬なら休学届だしてど、どこかに行っちゃった。」

夕菜はみぐしい言い訳を言った、これで友梨は納得してくれるとは思っていなかったものの

友梨「そんな。どこに行ったのよ勇馬~」

意外と真に受けていた。

夕菜「多分戻ってきますよ。」

友梨「そうね。」

夕菜はフォローをしたが友梨はどんどん白けていった。

夕菜(友梨がどんどん白けていく…どうにかしなきゃ。

   それにしても自分のフォローってむず痒い気分がするな…)

夕菜「私、今日から八栗高校に行くんだけど一緒に行かない?」

友梨「いいけど。」

友梨の声には活気が無かった。

夕菜「私の名前は 山崎 夕菜。夕菜って呼んでね。」

夕菜はなるべく明るく言った。

友梨「私の名前は 宮崎 友梨。なんとでも呼んでもらって良いわよ。夕菜ちゃん。」

少し友梨が元気になったようだ。

夕菜(俺がいないことがそんなに残念なのか?)


そして夕菜と友梨は大して会話もないまま学校へとついてしまった。


夕菜と友梨は別れ夕菜は職員室へ友梨は自分の教室に向かった。


友梨が教室につくとすぐに机に突っ伏して死んだように動かなくなった。

周りの生徒達が友梨の元気の無さと友梨と一緒に勇馬が入ってこなかったことに異常を感じていた。

友梨(勇馬が私に何も言わずにどっかに行っちゃうなんて…

   勇馬はもし帰ってこなかったら私、どうしたら良いのよ…)

友梨は思考の渦に飲まれていった。


友梨「なんで勇馬私に何も言わずにどっかいっちゃうのよぉ~」

作者(あのむちゃくちゃな言い訳にこんなに引っかかるなんて…)

夕菜(俺自身もあれは無茶だと思ったのに…)

作者「いずれ帰ってくるわよ。勇馬は。」

友梨「ヴッヴッヴッヴッ」

友梨は泣き出してしまった。


↓夕菜と作者の小声話

夕菜「作者。俺って本当に戻れるんだろうな?」

作者「いつか戻さなくちゃ。友梨がかわいそう…だから戻すわよ。」

夕菜「いつだ?」

作者「ん~まだまだかな?

   戻る前に誰かに正体ばれるかもね」

夕菜「え?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ