なにも
夕菜は授業開始のチャイムが聞こえてきたので周りを取り囲んでいる生徒達に向かって言葉を投げかけた。
夕菜「ほ、ほら。チャイムなったよ。先生きちゃう。」
夕菜がそういうと周りを囲んでいた生徒達は散りじりに自分の席へと戻っていった。
夕菜は授業の教師が来る前に直樹に昼休みに屋上に来るように言った。
そして夕菜が自分の席に座ったと同時ぐらいに教師が教室に入ってきた。
夕菜(昨日直樹と帰ったり悪戯で抱きついたのは失敗だったかな…
だがこれは逆にチャンスなんじゃ…)
しかし授業は進んでいく。
そして休み時間に夕菜は生徒達に追いかけられるという騒動が起きたが
無事に昼休みを迎えた。
夕菜は授業が終わるとすぐに屋上に走っていった。
夕菜が屋上に行くとやはりまだ誰もいなかった。
夕菜(まだ直樹はいないか。)
夕菜は昨日と同じように壁にもたれかかった。
夕菜(直樹はどういうだろうか・・・あくまで俺達が楽できるようになったんだ
なるようにするか…)
しばらくすると直樹が屋上に上がってきた。
直樹「すまねぇあいつらをまくのに一苦労した。」
直樹の言うあいつらとはクラスメイト達のことだ。
夕菜「それはごくろうさまだったな。」
直樹「ところで俺をここに呼んだのはあれだよな?」
夕菜「そうだ。」
そのあれとは朝から騒がれている夕菜と直樹が付き合っているという噂のことだ。
夕菜「まぁこれで手間が省けたと考えたら楽なんだが…」
直樹「なにの手間だ?」
直樹は夕菜の言葉の意味が分からなかったみたいだ。
夕菜「それはな…俺達の事を他の奴らがこの噂通りに勘違いしてくれるんだ。
おかげで鬱陶しい奴らが来なくなるんだ。」
直樹「なるほど。俺達が特になにもしなくても、周りの奴らが勝手に勘違いしてくれるのか。」
直樹は納得したようだ。
直樹「じゃぁこの噂の真実を聞かれたら肯定すればいいのか?」
夕菜「いや。はっきりとした肯定はしなくて良い。」
夕菜は何か考えがあるのか、直樹の質問に否定した。
直樹「じゃか否定するのか?」
夕菜「いや肯定も否定もしなくて良い。聞いてきた奴の想像にまかしておけばいい。」
直樹「なんでだ?」
夕菜「それでなかったら俺が元に戻った時に直樹があいつらに問い詰められることになるんだぞ。」
夕菜は元に戻った後の事を考えていった。
直樹「・・・お、俺には難しすぎてわからない。」
直樹は夕菜の話した意味が分からなかったみたいだ。
夕菜「もういいよ…」
夕菜は呆れた。
夕菜は家から持ってきていたメロンパンの袋をあけて食べ始めた。
直樹「勇馬はメロンパンか。
てかちゃっかりここに持ってきてたのかよ。」
夕菜「なんだ。直樹は弁当持って来てないのか?」
夕菜が覚えている限り直樹は弁当派だったはずだ。
直樹「今日は持ってくるの忘れたんだよ。」
直樹は残念そうに言った。
夕菜「学食行けば良いんじゃねぇか?」
直樹「今行ったら注目されてしまうだろうが」
直樹は噂のおかげで自分が注目さてれしまうのを嫌がり学食に行くのをためらった。
夕菜「じゃぁこれ食うか?」
夕菜は食べるものがない直樹に向かって未だに半分残っているメロンパンを差し出しながら言った。
直樹「いいのか?」
夕菜「別にいいぞ。女になってから食欲があまり無いんだ。」
夕菜は自分が口をつけていたところのパンをちぎりながら言った。
夕菜が直樹にメロンパンを渡すと直樹は一心不乱に食べ始めた。
直樹は1分で残りのメロンパンを食べきった。
直樹「あ~旨かった。」
夕菜「直樹、今日の朝飯食った?」
直樹「食ってない。」
直樹はさも当たり前のように言った。
夕菜「そこは昔から変わらないな…」
直樹は中学のときから朝飯を抜いて学校に来ている。
直樹「習慣はかえられない。」
夕菜「ハハ
俺は先に教室に帰るよ。」
夕菜は校舎に入っていった。
直樹は夕菜が校舎に入っていった5分後に教室に戻っていった。
夕菜が教室に入ると中にいた生徒達から好奇の視線を向けられた。
すると友梨が近づいてきた。
友梨「ねぇ夕菜。どこ行ってたの?」
夕菜「ご飯を食べにちょっとね。」
友梨「ふぅ~ん。」
友梨は興味をなくしたのか夕菜から離れていった。
周りを見ると好奇の視線を向けてきていた人々も興味をなくしたような顔をしていた。
夕菜(なんだ?)
とことん疎い夕菜であった。
夕菜は暇つぶしに髪をいじっていた。
ポニーテールをツインテールにしたり団子を作ったりして遊んでいた。
するとそこに直樹が教室に入ってきた。
友梨は先ほど夕菜にした質問を直樹にしていた。
直樹「屋上で一服してた。」
直樹は指で煙草をはさむ格好をした。
友梨「未成年でしょうが」
友梨は直樹の頭を叩きながら言った。
直樹「もちろん冗談だ。」
直樹の言葉に誰も笑うものはいない友梨と直樹のいつものボケとツッコミだからだ。
いつもはそこに勇馬がいていつも違うことを言って皆を笑わせるのだが今はその場に勇馬はいない。
それから夕菜と直樹は噂の真偽を調べる生徒達に質問攻めされたが上手くはぐらかした。
夕菜「俺ってどういう方向になるの?」
作者「戻りたいんでしょ?」
夕菜「戻りたいに決まってるだろ」
作者「じゃぁ戻してあげるよ。」
夕菜「え?そんなに簡単に?」
作者「まぁ女と男を行ききしてもらうかもしれないけど…」
夕菜「どういう意味だよ!!」
作者「呼んで字の通りよ。」