夕菜の決心
夕菜は昨日風呂場で決めたことを実行するために学校に来た。
授業を受けるためにではなく、直樹に自分の事を言うために行った様なものだった。
学校で直樹に会ったがそのときは夕菜の方から小声で今日の放課後、屋上に来てと言っておいた。
夕菜(でも直樹に言っても信じてくれるかどうかは半々だな…)
夕菜は放課後が近くなるにつれて心配になってきた。
そのため放課後が近くなるにつれて授業の内容は頭に入ってこなかった。
そしてついに残り一時間、最後の授業は池田の数学だった。
池田「そのためsin(α+β)=sinαcosβ+cosαsinβとなる。」
夕菜には池田の授業はただのBGMでしかなかった。
池田は夕菜が授業を聞いていないことは分かっていたが昨日の屋上での夕菜との会話を思いだし
そっとしておくことに決めた。
そして夕菜にとっては短い、他の生徒にとっては長い一時間が終わった。
夕菜は授業が終わると自分の鞄を持って屋上に向かった。
そこには昨日と同じで誰もいなかった。
夕菜(まだ直樹は来てないんだな。)
夕菜は壁にもたれかかり直樹の到着を待った。
夕菜(なんかこんなことしていると恋人を待っているみたいだな…)
夕菜はよくテレビで見る恋愛ドラマで彼女が待ち合わせ場所で待っていて彼氏が遅れてきて
彼氏が「ごめん。まった?」と聞いて
彼女が「ううん。全然私も今来たところ」って言う場面を思い出していた。
するとそこに直樹が現れた。
直樹「ごめん。待った?」
直樹は定番の言葉を言ってきた。
夕菜「あぁ。10分ぐらい待ったぞ。」
夕菜は腕時計を見ながら元々の自分の口調で言った。
直樹「そんな訳あるか!!授業終わったの5分前だぞ。10分前からこれるはずがない。」
直樹はツッコんできた。
夕菜「ハッハッハッハばれたか。」
直樹「ところで今日俺をここに呼んだのは昨日の事だよな?」
直樹は夕菜が勇馬の口調に戻しているのに気がつかなかった。
夕菜(直樹って鈍い…)
夕菜は自分も鈍い事に気がついていなかった。
夕菜は話を進めた。
夕菜「あぁ。そのつもりで呼んだんだが。時間は大丈夫か?」
直樹「大丈夫だ。長くなろうとも今日は部活休んだしな。」
夕菜(そういえば直樹の奴池田に授業後何か言ってたな…)
夕菜「昨日の答えはこの質問に答えてもらってから教えてもらう。」
直樹「なんだ?その質問とは?」
直樹は夕菜に聞いてきた。
夕菜「俺が元々男だったとしたら?」
夕菜が言った瞬間、夕菜と直樹の間を風がふいた。
直樹「そ、それはどういう意味で?」
直樹は夕菜の言った意味が分からなかったのかもう一度聞いてきた。
夕菜「その言葉通りだよ。直樹。」
直樹はここでようやく夕菜の変わりように気がついたのか顔を強ばらせた。
直樹「………本当なのか?」
直樹は尋ねてきた。
夕菜「あぁ本当だ。ついでに俺は直樹もよく知っている人物だ。
最近急に消えた知り合いはいないか?」
夕菜は直樹に尋ねた。
直樹「も…もしかして勇馬なのか?」
直樹は信じられないような目をして夕菜に聞いた。
夕菜「あぁ。」
直樹「本当に、勇馬だという証拠は?」
夕菜「そうだな…お前の部屋の屋根裏にはエロ本が大量にある。」
直樹「なっ。そのことは俺と勇馬しか知らないはず…だがそういうのは勇馬から聞けばいい話の事」
夕菜「そんなんだったら。お前が質問してこいよ。何でも答えてやるぜ。」
直樹「じゃぁな…中学校の頃殺した体育の山田をどこに埋めた?」
夕菜「確かあれは…桜の木の下だったかな…」
直樹「その通り…な訳ないだろ!!だがそのボケは勇馬か…」
夕菜「俺ってボケしかないのか?」
夕菜は自分の事がいったいどう思われているか心配になり直樹に聞いてみた。
直樹「ない。」
直樹は即答してくれました。
その後直樹は夕菜に多数の質問を問いかけ夕菜は全てを的確に答えていった。
10分後
夕菜「とりあえず俺の事信じてくれたか?」
直樹「信じるしかないだろう。あそこまで正解されてしまったら非のうちようがない。」
直樹は夕菜が勇馬だと言うことを信じた。
直樹「なんでそうなったんだ?」
直樹は当たり前のように聞いてきた。
夕菜「あぁそれはだな…」
夕菜がこの前池田にしたような説明をするために口を開きかけたが直樹が言葉をさえぎった。
直樹「あっ待て」
夕菜「あ?なんだよ。」
直樹「ちょっと心当たりがある。」
すると直樹は何かを思い出したかのように語りだした。
直樹「そういえば某メーカーから出た飲み物を飲んだ男子が性転換したってネットで叩かれていたような…」
夕菜は直樹が言った瞬間驚いた。
夕菜「なっ。そのことは変わった人と警察関係者しか知らないはずだ。」
しかし直樹は落ち着いた風に
直樹「そうなのか?
だがその掲示板は次の日には削除されてしまっていたがな。
でもこの話でその反応は勇馬もそれでなったんだな?」
夕菜「あぁ。その通りだ。」
直樹「で。どうなんだ?女の体は?」
直樹は聞いてきた。
夕菜「はぁ?特に何も思わないぞ。」
夕菜はあっけなく言った。
直樹「なんだよ。」
直樹は残念そうに言った。
夕菜「ところでお願いがあるんだが」
夕菜は直樹にお願いするように言った。
直樹「なんだ?」
夕菜「このことは内密にして欲しい。特に友梨にはな」
直樹「内密にする理由は大体分かるが、なんで特に友梨にはなんだ?
友梨がお前がいなくて寂しがっているのを知っているだろ?」
夕菜「だからだよ。
俺が夕菜だと分かったら友梨は俺にばかりくっついて来るだろうからな
そしたら周りがおかしいと感じるに違いない。」
直樹「なうほど。そしたら二人の間に変な噂が立ちそうだしな。
もしくはお前が勇馬だと多くの人にばれかけるかも知れないな。」
夕菜「さすがこういうときは頭がよく回ることで。」
今さっき直樹が言ったことは起こり得ることだ。
前者は本人達にしてみれば男と女だが、他者からみると女と女の禁断の恋のように見られてしまうし、
後者は、友梨にばれた場合友梨はところかまわず勇馬と呼ぶ事が考えられ、周りにばれるリスクが高くなる。
直樹「今度はこっちからお願いがあるんだが…」
次に直樹からの要望が来た。
夕菜「なんだ?」
直樹「すまないが。俺の偽装彼女になってくれないか?」
夕菜「…は?」
夕菜は直樹の言った言葉が理解できなかった。
夕菜「まずは…作者!!」
作者「ほいほい。」
作者は床からせり上がってきた。
ドコッ
作者「いったぁ~
なにすんのよ。夕菜!!」
夕菜「そんなところから何でくるんだ普通に現れろ。」
作者「いや。」
夕菜「とりあえずもう一発」
ドコッ
作者「なんで!!」
作者は瞬時に復活、
夕菜「ただムシャクシャしてたから殴っただけだ。」
作者「そんなので殴らないで欲しいわ…」