表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Be careful !!   作者: 湖灯
73/92

【招かれざる客⑥(Uninvited guest)】

 数日後に、本物の招かれざる客がやって来た。

 映像に映った彼らは100体以上のロボット兵を先頭に、8本脚の巨大な電源供給用ロボットが数体続き、その後ろにはおそらく人を乗せているであろうオフロード型輸送車両、そしてまたロボットの隊列が続いていた。

 かなりの戦力。

 不思議なことにジャンが非常訓練用に作成した画像と同じ様に1体のロボットが罠に掛っても誰も助けようとしないばかりか、8本脚の電源供給用ロボットは大きすぎて洞窟に入ることは出来なくて中に入ったロボットたちは次々にエネルギーを奪われて倒れていき、ロボットとの通信が途絶えたことに慌てた十数人の武装した人たちが台車に火を焚いて洞窟の中に入って行った。

 ジャンの眼が僕を捕らえた。

 何人の命も大切だという思いは訓練の時も今も変わらない。

 しかし僕はジャンに騙されて一度この状況を体験したことで、彼らを救うために行動を起こすことはなかった。

 彼らは武器を持っている。

 おそらく僕がそこで何を言おうが、自分たちが有利だと思っている彼らは言う事を聞かないはず。

 仮に僕たちが彼らと同じ様に武器を持って行ったとしても、それは変わらない。

 銃撃戦になり、その間も篝火は酸素を奪い彼らも、そして彼らに付き合って身動きの取れなくなった僕たちも酸欠で倒れてしまうだろう。

 悲しい事だけど、止むを得ない。

 人を傷つけようとする人は、必ず自らも傷つけてしまう。

 それが戦争。

 エネルギーを奪われたロボットたちが倒れ、その様子を見に行った人たちが倒れ、更に人間の救助に向かったロボットたちがまた倒れた。

 最後にまた数人の武装した人が入ったが、その中の2人だけが命からがら元の場所に戻ることができて幹部らしい人に状況を報告していた。

 その幹部たちの真ん中に居る人物に気がついたトムが叫んだ。

「あの野郎、スミスじゃねえのか!?」

 たしかにスミスに間違いなかった。

 しかしスミスはシリコンバレーで行われた反対集会にジョウと一緒に参加していたはず。

 そして彼らは粛清された。

 命からがら逃げてきたジョウもシェアーハウスに辿り着いたところで何者かによって殺された……待てよ。

 スミスならジョウが何処に逃げるかを知っている。

 あの体格のいいムサラドがいとも簡単に殺されていたのも、顔見知りのスミスが相手なら何となく理解が出来る。

 実は自分たちも危うい目に遭って逃げて来たと言えば、ムサラドも信用するだろう。

 でも何故、スミスが?

 敵のボスは、スミスなのか?

 報告を受けた幹部は先に輸送車両に中に入ったスミスを追って輸送車両に入り、しばらくして出てくるとドローンを飛ばすように命令し数機のドローンが洞窟のある山を越えて洞窟の出口を探すために飛んで行った。

 あの輸送車両の中に彼らのリーダーが居るのだろう。

 そしてこの場所が見つかるのも、もう時間の問題。

 あれだけのロボット兵を相手に、守り切れるとは思えないけれど、ジャンはどうするつもりなんだろう?

 やがてドローンによって洞窟の出口が見つかり、そして崖の上にあるこの施設の入り口も見つかった。

 もちろん出入り口の扉は閉じてあるからドローンは中には入られないし、閉じてある緊急事態用の扉は30㎝厚の鉄製なので如何にロボットが数台頑張って力を合わせてもそう簡単に開けられることはないだろう。

 2日後に彼らは山を超えずに、谷沿いに遠回りしてやって来た。

 おそらく山には沢山の罠が仕掛けられてあると思い警戒したのと、輸送用車両では山を越えることは出来ないので谷を周って来たのだろう。

 しかし2日も掛かるのなら、輸送車両を置いて歩いて山を越えた方がはるかに速いのに……。

 “ひょっとして、あの輸送車両には歩くことの出来ない人が乗っているのか?”

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 これが経験と言う事だつたのですね。  なるほどお、盲目的に命は大事と行動することがどれだけ危険かジャンは教えたかったんですね。  敵はラルフが自分達に危険な存在であることを何でしったのでしょう❔  …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ