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Be careful !!   作者: 湖灯
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【ロボット世紀(robot century)】

 US101年

 地球上では数多くの『Unmanned System』つまり無人システムやロボットが活躍し、その数は今や先進国に於いては人口を大きく上回るまで成長した。




 例えば、交通。


 自動車の無人運転は常識であり、その自動車にはもはや“個人”の物ではなくニーズに応じて運用される。 普通乗用車であれば、使用者が居ない時はタクシーや軽貨物輸送に自動的に割り当てられる。


 大量輸送を担うトラックも、事業所にイチイチ戻る必要もなく、荷室が空になった時点でその場所での出荷もしくは最寄りのターミナルでの入荷を待つので、空車で走る事は稀になる。

 もちろんこの輸送トラックも無人システムであり、電車や航空機、船舶などの運行も、もはや人が操るモノはなくなった。




 例えば、農林水産業。


 農業では田畑を耕したり、苗や種を植えたり、収穫するときに使われるトラクターなどの農業機器全般に於いて既に各種無人機器が担っており、間引きや受粉、雑草や害虫駆除、更に収穫物の検査や分別・梱包作業から出荷に至るまで各種ロボットが行っている。


 林業では、森林の整備から伐採、木材の輸送から加工に至るまで各種のロボットが担っている。


 水産業では、漁だけではなく網の手入れや網に掛った魚の分別(小さな個体を海に戻す)だけでなく漁獲資源調査を同時に行い、常に各魚種の安定数を保つ漁獲調整が行われている。

 更に収穫物の仕分けや加工、各市場への輸送準備まで行い、そこから先は搬出用ロボットが運送用無人トラックに積み各小売店に運ばれる。



 サービス業でも状況は同じで


 飲食店では殆どの飲食店の店舗から店員は消え、オーダーと支払いは個人の携帯端末、もしくは店に備え付けてある端末で行った後に自動調理器が食品を調理して自動搬送機により運ばれる。


 化石燃料で動く車は、とっくの昔に消滅して、発達した電気伝送システムによりEV車は止まることもなく走りながら給電が出来てしまうので給電スタンドは存在しない。


 デパートとかスーパーとか言った各種小売店も無くなり、注文は家庭の端末から注文したものが家に直接届けられる。

 この場合、地域ごとにある配送用ロボットにより各家庭に届けられ、大型の物品であればロボットが直接玄関を開けて指定された場所に物を運び、冷凍や冷蔵保存が必要な食品などは家庭の冷蔵庫は家の構造物の一部となっているので、その背面ドアから直接冷蔵庫に配達される。




 生産業、およびその他


 全ての工場や企業から人の影は消え、代わりにロボットが働いている。


 小説家や画家、俳優やミュージシャンと言った職業も全て消え果て、代わりAIが担っている。


 電機の殆どは原子力発電で賄い、発電所の中では人間が作業することが出来ない箇所にもロボットによる細かいメンテナンスが行われている。


 警察権はほぼ全てのロボットが担っており、いちいち警察に連絡しなくても最寄りのロボットが異常を検知し、それを共有することで対応能力のあるロボットが対応する。

 また全ての人はDNAを登録しているので、犯罪検挙率は100%となっている。


 消防も各種の乗り物に備え付けられている自動消火器による初期消火と、専門の消防車が行い、救急搬送も最寄りの無人自動車が行える仕組みになっているので通報から到着までの時間は1分以内の場合が殆どとなっている。

 また病院への搬送も、違法駐車や渋滞もないのでスムーズに行え、助かるはずの命が失われる確率も極端に減った。


 政治に於いてもAIが平等かつ適切な判断を行い、人々にとって快適で不公平感のない政治が行われるようになった。




 既にロボットの能力は人類の能力を超えており、人が働く余地は殆どなくなった。




 この頃になると、人々は何自由のない暮らしが約束され、まさに時代は憧れていた夢のような世界となっていた。




 地表は2層の空間に分かれ、地面のある1層目は動物や植物の住む世界、そして道路や住居のある2層目が人の住む世界となっている。

 全ての国民に住居が与えられ全ての農家が保有する農地は取り上げられ国有地となり、このことでプランテーションが実現でき生産性は格段に上がった。

 今や日本の食物自給率は100%を超え、一部の農作物は輸出するまでに成長した。




 人間から職を取り上げたことで、利水権や漁業権と言った意味もない利権問題が消えて、調査結果と計画に基づいた開発がタイムリーに行えるようになった。




 電気伝送システムの発達により交通インフラは、それまでの化石燃料依存型から完全に電気にシフトし、そのために必要な発電なども植物由来によるバイオマスに分解水素などを加えた自然合成燃料が開発され、石油やガスに頼らないシステムが構築された。


 その中でも特に化石燃料資源のない日本は大いにその恩恵を受けたが、一方石油産出国では輸出による国内収益を担っていたフラッグシップを失うことになり深刻な貧困化への対応が迫られる事態となっている。




 一部未解決の問題はあるものの順調に進んでいたと思っていたが、思わぬところで思わぬ落とし穴があり、やがて世界は大きく変わることになる。


おそらく不定期になると思いますが、週1回のペースでの連載を始めようと思います。

次の投稿・・・と言うか、なるべく毎週木曜日に投稿できるように頑張りますのでよろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[一言]  こんなにロボット頼りの世界で、では人間は日がな一日何をしているのだろう、と思いました。  この中にスポーツが抜けていたので、スポーツばかりしているのでしょうかね。  芸術方面までAIに取り…
[一言] うまくいったら、本当にシンギュラリティ以降、人工知能社会はいいようにいきそうなのですが、開発者の面々を見ると、真っ先に弱者が排除されるようなシステムを作りそうで怖い僕がいます。 この作中社会…
2024/03/15 19:37 退会済み
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