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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

現実

作者: 鉄板料理人班長

テスト勉強の合間に軽く書いてみました。長編終わってないのに悠長なと思いつつ、今書かなければという謎の強迫観念に押され書きました。衝動的なものなので、パソコンではなくスマホで書いてますし。時代錯誤もいいところな作風です。

あるところに、理想を求め続ける者がいた。彼自身は、ポテンシャル自体は平凡そのもの、いや、不器用に分類される程のポテンシャルしかなかった。しかし彼は理想を求め続けた。勉強が出来るようになりたいから、必死に勉強した。運動が出来るようになりたいから、走り込みを欠かさずやった。ヒーローになりたいから、優しく、強くなろうとした。優しくなるために、我慢強くなるために、どんなことも笑って流した。強くなるために、どんな苦痛も耐えた。涙を堪えた。何度でも立ち上がった。そうして彼は、最大の過ちを犯した。彼は皆の理想になろうとした。皆の言う理想を求めるようになった。その理想は、あまりにも非現実的で、人のエゴが詰まった、皆にとって実に都合の良い像だった。「人の話をちゃんと聞いて偉いね」「勉強教えてくれてありがとう!」「あなたって、律儀よね。時間は守るし、ルールは絶対破らない。尊敬するわ」「小さい子にも優しく手を差し伸べるなんて、偉いねぇ」「提出率100%で、成績も良くて、先生からの評価も高い。お前なら、この県のトップ校全然狙えるぞ!頑張れ!〇〇!」「色々な尺度でモノを見れるのってカッコいいよね。大人っぽくて」「僕なんかとつるんでていいの?君だっていじめられちゃうかもしれないんだよ?え?そんなの関係ないって?っはは、変わった人だね。現実にいるなんて思ってなかったよ…ヒーローみたいだ」「〇〇!明日からテストじゃん?実は数学が全然分からなくて…え!教えてくれんの!ありがてぇー!サンキューな!」「〇〇!実は宿題やってなくて、出来れば…お!見せてくれるのか!〇〇は分かってるなぁ。お前ら、優等生君の宿題ゲット!写せ写せ!サンキュー〇〇」 「実は今月のお小遣い全部使っちまって…頼む!1000で良いから貸してくれ!…サンキュー!来月返すから!」「今月も…お、サンキュー、じゃ来月」…「今月も…あ?貸せないだって?良いじゃねぇかよぉ、ちょっとくらい。俺たちの仲だろ〜。…(パシッ)サンキュー」……「実はまたお金がなくなっちって…貸せない?何で?別に良いだろ?…良いから貸せって!(パンッ)…(ドサッ)…ッフ、コイツ律儀にサイフにちゃんと入れてきてるぜw。またよろしくな、ゆ う と う せ い 君」……ハハッ。…何してるんだろ、僕。優しくなければ、律儀にならなければ、人の話を聞かなければ、優等生でなければルールを守らなければ…ヒーローでなければっ!そうあり続けなくてはならないのに!僕は今何をしているんだ。何で怒れないんだ(〇〇って優しいよね…)、何で言い返せないんだ(人の話をちゃんと聞いて偉いね)、何で殴ったりやり返せないんだ(ルールは絶対破らない)、どうして!何も出来ないんだ!

そう叫ぼうとしても、その怒りを自分の横たえているじゃりじゃりした地面にぶつけようとしても、どうしても出来なかった。人の迷惑になるから、怒りをあらわにするのは、ヒーローじゃないから…。

彼は理想に囚われる。元々希望として存在していたそれは、いつの間にか足枷となり、彼を終わりへと誘う。理想は病的なまでに彼を魅了し、彼を呪う。内に巣食う病魔は、他人からは見えない。本人が見せようとしない限り。それは、理想「ヒーローは他人に弱さを見せない」で禁じられている。彼はもう、どうにもできない。

皆に褒められる、感謝される、尊敬される。皆に利用される、愚直な態度を嘲笑われる、都合の良いやつだと見下される。しかし彼は引けない。退路はない。一本の道を除いて。

中学を卒業し、トップ校に入学しても結局変わらず、エリート大学に進学しても陽キャの食い物にされ、その金を補填するためにバイトを頑張り、でも勉強もし、疲れが溜まる。寝れなくなる。思考回路が崩壊する。この道はきっと、生まれたときから、理想に魅せられた時から決まっていただろう。いや、理想に「ヒーロー」が無かったら、「他人に弱さを見せない」という理想が無かったら、きっと違っただろう。そんな彼は今、ヒーローになっている。

ここまで読んで尚理想を求める貴方は勇者であり英雄であり、ヒーローでしょう。彼に足りなかったのは自信。強い心の芯。取捨選択の冷徹さです。それが出来れば、貴方は何にでもなれる。

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