凪、人気者の歌を聴く。
「美味しかったですね。先輩」
「ああ、美味かった。今度もう一回行ってみよ」
「それは私を誘ってるんですか?」
「違う違う、西野とだよ」
「なんだ、つまらないの」
まあ、鈴原とも行きたいが鈴原を前にして誘う度胸は俺にはない。
カラオケが見えてきた。
「先輩、着きましたよ」
店に入り、お金を払い、部屋に入った。
二人きりで個室に入るのはやっぱり緊張してしまう。
「私から歌っていいですか?」
「いいぞ」
「ありがとうございます。なら早速」
鈴原はよくカラオケに行くと言っていたので上手だろうと思ってはいたがこれ程上手とは驚きだ。点数も95点と高得点。
歌った曲は俺もよく知るアニメの主題歌だった。
「鈴原、本当に歌上手いな」
「ありがとうございます。先輩この歌知ってますか?」
「勿論。去年の夏クールの一番人気と言われるアニメの主題歌だろ?」
「そうです。流石先輩ですね」
アニメのオープニングとエンディングは毎回飛ばさずに見ているから分かった。
「あれ面白かったですよね」
「オープニングもエンディングも良かったし作画も綺麗だったし、なにより声優が合っていたな」
「そうなんですよね!有名な人ばかりじゃなく本当にキャラに合った声の声優が選ばれていたので良かったです」
本当にそう思う。有名な声優は実力があるからどのアニメにも引っ張りだこだが、新人でもキャラに合った声なら俺はそっちの方がいい。
「次は先輩の番ですよ」
「言っておくがそこまで上手じゃないからな」
「分かりました。期待せずに聴いてます」
それはそれで悲しいが期待せずに聴いてくれたくらいが丁度いい。