凪、フィギュアを買う。
5月10日。午後十時。
俺は今、非常に困っている。
それは何故か。
俺の好きなマンガのフィギュアが今日で予約締め切りだからだ。
俺は締め切りまでにお金を集めたがあと五千円だけ足りない。
どうする。どうしたらいい。このまま諦めていいのか。それだけはダメだ。でももうあと二時間で予約が。
「兄ちゃん、さっきからドタバタうるさいけどどうしたの?」
妹の結衣が部屋のドアを開けて話しかけてきた。
「聞いてくれるか、妹よ」
「早く話して」
「はい。実はお金が少し足りなくて」
「何に使うお金なの?」
「フィギュアに・・・・・・」
フィギュアと言った途端に結衣は興味なさそうな顔になった。
「なんだ、フィギュアか」
「なんだとはなんだ、フィギュアだぞ」
「フィギュアって高いよね。余裕で一万超えてくるじゃん。まあ、高いやつは出来が良いけど高すぎるよ」
妹もアニメや漫画が好きだから少しはこの手の話もできる。
「それで何円足りないの?」
「五千円」
「それくらいなら私貸してあげるけど」
「ま、まじで!?」
「うん。良いよ」
ここに神が。
結衣がそう言ってくれたのでサイトで直ぐに予約した。
「ありがとう、結衣。お前は本当にいい妹だよ」
「倍にして返してね♡」
もう注文したから従うしかない。
神じゃなく悪魔だった。