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ダイジェスト③ 1943年2月→1944年12月







 1943年1月に批准された停戦は一年停戦と呼ばれた。というのも停戦期間の明記が44年1月までとされているからだ。

 無論、この期間中も日米は互いに戦力の回復及び増強が邁進されていた。


「鹵獲した空母も修理と改装が終わって再就役してくる。これらの空母も機動部隊配属だな」


 『ホーネット』は『蒼鶴』に『サラトガ』は『黒姫』に、『イントレピッド』は『銀鶴』に艦名を変更し日本式の装備を搭載して1943年5月頃から再就役を果たしていた。

 他にも『雲龍』型の『飛鷹』『隼鷹』も就役し他の損傷空母の修理も7月頃には完了して再配備されていた。しかし飛行隊の損耗回復は未だ途中であり将和は堀に直談判をした。


「幸いにも停戦という期間があるのだ。全空母を練習航空隊に編入して飛行隊の再編をしよう。そうしないとVT信管で南太平洋海戦のような大損害を食らう」


 『銀鶴』を鹵獲して対空砲弾を分析するとVT信管が使用されていた事が判明、各研究機関はVT信管の開発と妨害装置の開発に勤しんでいた。

 また、将和はVT信管が日本に渡った事をアメリカに知らされないために信管の情報は一切秘匿させ公式には「米軍の輪形陣による対空砲火での被害が大きい」と言う事でアメリカに悟られないようにしていた。

 実際、アメリカ側も情報が漏洩していないか確認していたが将和の見解に一安心をしていた。(全てを知ったのは戦後であった)


「来年の1月には『大鳳』も就役するし『信濃』も就役する。忙しくなるぞ」

「ですなぁ」


 将和は宮様とそう話すがそれはアメリカ側もそうであった。アメリカは1944年3月までに『エセックス』級12隻、軽空母12隻を揃えるよう手配されていた。

 また『モンタナ』級戦艦4隻も3月には就役するようになっていたのだ。


「本気を出した我がステイツ……侮るなよ?」


 就役予定計画書を見ながらルーズベルトはニヤリと笑うのである。

 翌年の1944年1月、日本海軍は基地航空の第一航空艦隊を創設し司令長官に小沢中将を充て司令部をヤップ島とした。そして1月に停戦が切れると同時に復活した米機動部隊はトラック諸島を空襲したが彼等を待ち受けていたのは約400機近い最新鋭艦上戦闘機『烈風』だった。(発動機はハ42-21を搭載)


「食わしゃあしねぇぜ!!」


 更にトラック諸島には台南空から改変した251空も展開しており三波も出した米攻撃隊は500機近い喪失を出してしまうのである。トラック諸島の基地喪失を狙っていた米機動部隊(第五艦隊)だったがこの被害にスプルーアンスは撤退を選択しこの選択は正解だった。

 日本側は彩雲等で索敵したが米第五艦隊は既に撤退した後で空振りだったのだ。


「空振ったのなら仕方ない。マリアナの要塞化を完全にしよう」


 この時、海軍はマリアナに米軍が襲来すると予測しておりサイパン島の要塞化を停戦発効時から行っていた。更に陸軍は守備のために第43師団を主力に第44師団、第51師団の三個師団と二個混成旅団、戦車第9連隊が布陣しており正しく太平洋の防波堤にならんとしていた。

 そして1944年6月15日、遂に米軍はサイパン島に来航した。

 この時、米軍は上陸用に三個海兵師団を投入していた。海軍も『エセックス』級空母12隻、軽空母6隻を主力にした第五艦隊を投入しており航空戦力も約1500機は揃えていた。

 しかし、先のトラック諸島空襲で500機余りを喪失しているので錬度は低かった。また約1200機もサイパン島攻撃時にサイパン島に残っていた局戦や陸軍飛行戦隊約450機近い戦闘機との空戦で疲弊しておりマリアナ沖大海戦の時は900機近くしかなかったのだ。

 そして日本海軍ーー第一連合機動艦隊は6月19日にマリアナ近海に到達していた。



 第一連合機動艦隊

 旗艦『大和』

 司令長官 三好将和大将


 機動艦隊司令長官 山口多聞中将

 旗艦『信濃』


 第一航空戦隊

 『信濃』『大鳳』『翔鶴』『瑞鶴』

 第二航空戦隊

 『加賀』『黒姫』(『サラトガ』)

 第三航空戦隊

 『雲龍』『蓬莱』『葛城』『笠置』

 第五航空戦隊

 『蒼鶴』(『ホーネット』)『銀鶴』(『イントレピッド』)『紅龍』)(『ヴィクトリアス』)

 第六航空戦隊

 『阿蘇』『生駒』『鞍馬』『身延』

 第七航空戦隊

 『飯盛』『信貴』『飛鷹』『隼鷹』

 第一防空戦隊

 『祥鳳』『瑞鳳』

 第二防空戦隊

 『千歳』『千代田』

 第十一戦隊

 『金剛』

 甲巡『最上』以下6隻

 護衛巡『五十鈴』以下6隻

 乙巡『阿賀野』

 艦隊型駆逐艦『嵐』以下12隻

 『秋月』型防空艦『秋月』以下32隻




 第一艦隊

 第一戦隊

 『大和』『武蔵』『紀伊』『出雲』『長門』『陸奥』『播磨』『近江』

 第二戦隊

 『伊勢』『日向』『但馬』『越後』

 第四航空戦隊

 『龍驤』『龍鳳』『日進』

 第四戦隊

 『高雄』『愛宕』以下甲巡5隻

 乙巡『矢矧』以下5隻

 艦隊型駆逐艦『陽炎』以下32隻

 『秋月』型防空艦12隻



 第二艦隊

 第三戦隊

 『河内』『因幡』『岩代』『薩摩』『備前』『常陸』

 甲巡『青葉』以下5隻

 乙巡『能代』『四万十』

 艦隊型駆逐艦『朝潮』以下16隻

 『秋月』型防空艦12隻




 艦隊は三個艦隊で形成されており南雲中将の第二艦隊は敵上陸船団攻撃を担当して二個艦隊からは大きく離れていた。

 更にヤップ島と硫黄島には小沢中将の主力基地航空艦隊の第一航空艦隊が展開しており日本は万全の態勢でマリアナに移動したのである。

 事態が大きく動いたのは6月19日だった。第一連合機動艦隊が所定の海域に到達後、第一次攻撃隊を発艦させた。

 その時に将和は電文を発信させた。


『三好艦隊発令0730。実施0945。以下座標ーーー』


 連合機動艦隊からの電文を受信したヤップ島と硫黄島からは待機していた陸上攻撃機隊が離陸を開始したのである。またグアム島、ロタ島では待機していた戦闘機隊が離陸して第五艦隊上空の制空権獲得に動いていた。他にもロタ島からはジェット戦闘機『橘花』36機が離陸してF6Fを多数撃墜し一部の空母には爆撃を敢行して損傷させている。


「敵機多数接近!!」


 第五艦隊のレーダーが敵機を探知したのは0925程、スプルーアンスは残っていたF6F約450機近くを上空に挙げていたが先の戦闘機隊との猛攻でその数を減らしており第一次攻撃隊270機を防ぐ事は不可能だった。


「対空砲Fire!!」


 第五艦隊はVT信管を搭載した対空砲弾を撃ちまくるが攻撃隊に同行していた偵察機彩雲が次々と落下式燃料タンクを投下。その途中で燃料タンクはパカリと割れて中からアルミ箔ーーチャフを投下して対空砲火を分散させる。

 更に彩雲隊には『銀鶴』で鹵獲したVT信管を解析しVT信管が使用する70MHzをあらぬ方向で乱射させるように妨害電波を出す二段構えを取りこれにより対空砲弾は無力化をされたに等しかった。


「全軍突撃せよ!!」


 第一次攻撃隊総隊長の村田中佐は『ト連送』を発信、第一次攻撃隊は第五艦隊に襲い掛かったのである。

 この攻撃で『エセックス』級1隻撃沈、2隻中破、軽空母3隻を撃沈した。だが連合機動艦隊の攻撃はまだ終わってはおらず第一次攻撃隊と入れ違う形で第二次攻撃隊360機が第五艦隊上空に到着し攻撃を開始したのである。

 第二次攻撃隊は中破していた『エセックス』級2隻を撃沈、更に3隻を損傷させ残っていた軽空母3隻を撃沈させ軽空母は全滅した。これにより第五艦隊は『エセックス』級空母9隻が残った。

 しかし、日本側の攻撃はまだ終わってはいない。第二次攻撃隊が引き上げてから48分後にヤップ島から飛来した第一航空艦隊の第一次攻撃隊540機が到着し第五艦隊に攻撃をしたのである。


「クソッ!! これがアドミラル・ミヨシの力か……」


 大傾斜をする『バンカーヒル』の艦橋で退避しようとしていたミッチャー中将はそう呟いて退艦した。この攻撃で損傷していた『エセックス』級3隻が撃沈し4隻が損傷した。

 だがスプルーアンスはこの合間にも山口機動艦隊に攻撃隊を発艦させており攻撃隊は機動艦隊に攻撃していた。


「『瑞鳳』左舷に魚雷命中!! 行き足、止まった!!」

「『祥鳳』沈没する!! 『霜月』航行不能!!」

「『笠置』左舷機械室に魚雷命中!! 左舷機械室、総員水死!!」

「『身延』飛行甲板大破!! 発着艦不能!!」

「同じく『黒姫』飛行甲板大破!!」


 それでも山口機動艦隊は最小限の喪失(『笠置』『身延』『祥鳳』撃沈)で済み、引き続き第五艦隊への航空攻撃は再開されるのである。


「閣下、このままでは……」

「それに敵戦艦部隊らしき艦隊も接近しているとの事です」

「……やむを得ない。サイパン島攻略は中止だな」


 スプルーアンスは深い溜め息を吐いた。この瞬間、米軍によるサイパン島攻略は永遠に中止されたのである。そして帰路をどうするかである。既に三個海兵師団がサイパン島で激闘を繰り広げていたがその戦力は大幅に低下していた。

 直ちに三個海兵師団は撤退を開始した。無論、闇夜に紛れてだがサイパン島守備隊は好機と捉えた。


「突撃せよ!!」

『ウワアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!』


 守備隊は第43師団を主力に夜間強襲突撃を選択し激戦となった。そして海上では第一艦隊が殿となった米戦艦部隊と艦隊決戦を繰り広げていた。


「奴等『モンタナ』級を投入していやがる。なら正面から立ち向かってやろう」


 将和は報告にニヤリと笑い横須賀のGF司令部に電文を発信させた。


「旗艦『大和』より発信!! マリアナ沖仮称456地点において『敵艦隊見ユトノ警報ニ接シ我ガ第一・第二艦隊ハ直チニ突撃、コレヲ撃滅セントス。本日天気晴朗ナレドモ浪高シ』以上です!!」


 そして将和は右手を挙げた。そして左に振り下ろす。その瞬間、第一戦隊司令の宇垣中将は伝声管に向かって叫んだ。


「とぉーりかぁーじ、一杯!!」

『とぉーりかぁーじ、一杯!!』


 『大和』は命令された海域で取舵を選択、後方に続く『武蔵』『紀伊』『出雲』『長門』『陸奥』らも『大和』が取舵をした同一地点に来るとよく訓練されたダンサー達のような正確さで取舵をする。

 一艦隊が取舵をした事に気付いたリー中将は即座に叫んだ。


「オーマイガ!? バトルシップ『ヤマト』にアドミラル・ミヨシが乗っている!?」

「全艦撃ちぃ方始めェ!!」

「撃ちぃ方始めェ!!」


 戦艦群の取舵を終えた一艦隊は砲撃を開始。『大和』の45口径51サンチ砲が唸りを上げるのである。

 一艦隊と米戦艦部隊は夜明けまで激戦を繰り広げた。一艦隊は『矢矧』らの水雷戦隊が突撃して『モンタナ』ら戦艦8隻を撃沈させる事に成功するが残存艦隊は撤退しようとしていた。しかし、その後方を遮断するように南雲中将の第二艦隊が突撃してきた。


「二艦隊旗艦『薩摩』より入電!! 『我、敵上陸船団ヲ壊滅ス。トラ・トラ・トラ』以上です!!」

「やってくれたか南雲……」


 報告に将和は笑みを浮かべる。前回と同じく敵哨戒圏を大きく迂回してサイパン島に突撃した二艦隊は撤退しようとしていた敵上陸船団を発見し南雲中将はニヤリと笑いながら一言呟いた。


「踏み潰せ」


 敵上陸船団はあっという間に壊滅されそのまま余力を以て米戦艦部隊に突撃してきたのである。米戦艦部隊も何とか撤退しようとしていたが最後まで残っていた戦艦『オハイオ』が駆逐艦『長波』が叩き込んだ酸素魚雷三本が命中したのが致命傷となりマリアナ沖にその巨体を沈めたのである。


「馬鹿な!?」


 第五艦隊及び上陸船団の壊滅(サイパン島に残置となった三個海兵師団は降伏した)にホワイトハウスで報告を受けたルーズベルトは驚愕した。


「そんな馬鹿な事があるか!? 何かの誤報ではないのか!!」

「いえ、三度確認しましたが……第五艦隊も上陸船団の壊滅は事実です」

「だが艦隊の壊滅と言ってもまだ空母が2隻も残っているではないか!!」

「たかが2隻では知れています」


 ルーズベルトの言葉にキング作戦部長はそう突っぱねた。


「作戦部長!?」

「だから……だから『ミッドウェー』級の投入まで待って下さいと具申したのです」


 キングとしては『ミッドウェー』級3隻の投入である程度の勝ち目はあったと認識していたがルーズベルトはそこまで待てなかったのだ。


「こんな……こんな失態をしては……ウグッ!?」

「プレジデント……? プレジデントッ!?」


 動揺するルーズベルトはそのまま心臓付近を抑えて倒れたーーそしてルーズベルトは病状が回復する事なく1944年7月7日に逝去するのである。

 後任は副大統領のヘンリー・A・ウォレスが就任しウォレスは早速閣議を開き対日戦を続行するか和平するかで検討した。


「キング作戦部長はどう思うかね?」

「……残念ながらこれ以上の続行は不可能でしょう。海軍の再建は最低でも2年は掛かります」


 今回のマリアナ沖大海戦で米海軍は『エセックス』級空母10隻、軽空母6隻、護衛空母8隻、戦艦10隻を喪失しており再建は並大抵ではなかった。一応、『エセックス』級が更に5隻建造中であったがパイロットも多数戦死しておりほぼ意味を成していなかった。


「……分かった。ジャップ……日本とは和平の方向に入ろう。それと自由イギリスへの支援だが……」

「艦艇の供与に留めましょう。世論の声がキツくなります」

「やはりな」


 斯くしてアメリカは1944年8月8日、スイスを通じて日本に対し和平停戦を申し込むに至るのである。


「マジか、ルーズベルト死んだからかそれとも何かの力が働いたのか……」


 いつもの料亭で会合していた将和は驚愕していた。だが日本も渡りに船だった。マリアナ沖大海戦では喪失艦艇は前回よりかは少なかったが(宇垣の戦死も防げた)航空機の喪失は相変わらず酷く戦闘機325機、艦爆197機、艦攻226機、陸上攻撃機378機、水偵38機の計1164機を喪失していたのだ。

 それでもパイロット等は水偵や潜水艦等の捜索で300名近くは救助しているが航空戦力の低下は免れる事は出来ず再度の航空隊の錬成に移行したばかりだった。


「だがこれは好機だろう。何としてもやり遂げよう」


 宮様らはそう頷いたが……暫くしてある国からの接触を受けた。


「何? 自由イギリスがアメリカとの和平を仲介すると?」

「えぇ、その代わり支援を頂きたいと……」


 風前の灯に近かった自由イギリスは再度日本に接触してきたのである。この時期ーー1944年8月は増強したドイツ海軍がマダガスカル島を後方基地にセイロン島を攻略し自由イギリス東洋艦隊は大打撃を受けていたのだ。

 自由イギリスに残っている海軍戦力はこの東洋艦隊の僅か一個艦隊しか無くその為味方では無いが日本に接触しアメリカとの和平を仲介する事で支援を受けようとしていたのだ。


「どうしますか?」

「……まぁ良かろう。自由イギリスなぞ後はドイツが蹴散らすだけだしな」


 廣田らもそう思っており仲介を依頼した。これにより1944年12月、ハワイオアフ島で再度の和平が結ばれた。『第二次ハワイ和平停戦』と呼ばれるモノであった。

 しかし、これを怪しむ国があった。三国同盟を結んでいるドイツだったのである。













御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 宇垣や南雲の戦死はなく、大和も沈まなかったので良かったです。
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