ダイジェスト② 1942年8月上旬→1943年1月
「馬鹿な、奴等はどんな魔法を使ったんだ……」
ガダルカナル島が米軍に占領されたの報告を将和が聞いた時、そう漏らした。事実、米海兵隊はガダルカナルに上陸していた。
海兵隊を支援していたのは6隻の護衛空母だった。その6隻ともう2隻いた。自由イギリス海軍の空母『イラストリアス』『ヴィクトリアス』だった。
米国は自由イギリスから二空母を一時的に借用という形で『エセックス』級が就役する10月上旬まで乗り切る腹だったのだ。
「奴等は四空母も喪失している。早々に動きは無い筈だ……」
不安しか残らない材料にニミッツは祈るしかなかった。そしてそれはニミッツの最悪の結末になるのである。
「この海戦はただの海戦ではない。殴り込みだ!!」
ソロモン諸島方面を担当する事になった第八艦隊司令長官の三川中将は旗艦『鳥海』の艦橋でそう訓示する。第八艦隊は超巡2、甲巡5、乙巡1、駆逐艦8の編成であり本来なら到着したばかりの超巡『八雲』に旗艦をするべきだが三川は時間が無い事から『鳥海』のまま出撃していた。
1630の戦闘前訓示で三川はこう発した。
『帝国海軍ノ伝統タル夜戦ニオイテ必勝ヲ期シ突入セントス。各員冷静沈着ヨクソノ全力ヲツクスベシ』
斯くして第八艦隊は2240にガダルカナル島泊地に突入を開始。2343に距離9000で敵艦隊を見張り員が視認し砲雷撃を開始したのである。
「ジャップの奇襲だ!?」
「そんな……まさか……」
最初に第八艦隊と遭遇した重巡『キャンベラ』は『八雲』の30.5サンチ砲弾を叩き込まれ轟沈した。連合軍の南方部隊は僅か19分で主力の『オーストラリア』『キャンベラ』『シカゴ』が撃沈された。
続いて第八艦隊は北方部隊と交戦を開始、北方部隊も『クインシー』『アストリア』が撃沈され壊滅した。二個部隊を壊滅させた第八艦隊だがこのまま続行するか反転するか迷ったが『鳥海』艦長の早川大佐は突撃を具申した。
「ソロモンの海は青い……だが赤く染まります。あの島に数万の兵士の命が失われるかもしれません。その前に……その前に選択を間違えてはなりません!!」
「………」
早川の主張に三川も頷こうとした時、艦橋の隅に誰かいる気配がした。だがそこには誰もいないが三川には誰か分かった気がした。
「左16点一斉回頭!! サボ島を一周して再度泊地に突入する!!」
「長官……」
(これで良かったのだろう……なぁ『鳥海』……)
斯くして第八艦隊はサボ島を一周して再度ガダルカナル島泊地に突撃を開始したのである。この突撃で泊地に停泊していた米輸送船団は全滅し船団司令官のターナー少将も負傷したのである。
更に第八艦隊は艦砲射撃を行い揚陸させた物資を焼き払う事にも成功している。
「初戦は我々が制した。米海軍が本腰を入れる前にガダルカナル島を再攻略しなければならない」
「空母は全て俺に預けるなら9月には投入は可能だぞ」
「そうしたいのは山々ですが……」
「まぁそうしたら予備隊も注ぎ込む羽目になるからな……」
海軍は陸軍にも協力を要請し陸軍は二個師団と一個旅団をガダルカナル島に投入する事を決定、海軍も小沢中将の第二航空艦隊を投入して制空権を取ろうとしたが米軍も負けじとガダルカナル島に大規模な航空戦力を派遣し制空権の死守を展開していた。
だが海軍は増援として一戦隊の『長門』型4隻をも投入していた。その為、日本軍は9月下旬には二個師団と一個旅団の揚陸に成功していたのである。
「マズイ、このままではガダルカナル島が陥落してしまう。ソロモンでの反攻作戦を延期させるのは駄目だ」
報告を受けたルーズベルトは就役したばかりの『エセックス』級4隻の投入を許可した。そして10月26日、日米の機動部隊が南太平洋で激突した。『南太平洋海戦』の始まりであった。
日本側は将和の第一航空艦隊と小沢中将の第二航空艦隊であり9隻の正規空母と3隻の軽空母が参戦した。対する米機動部隊は『エセックス』級4隻に護衛空母5、そして自由イギリス海軍の2空母だった。
「『エセックス』級を投入してきたか……(やはり向こうの開発能力も数年上回っている……油断は出来んな)」
彩雲からの報告を受けた将和はそう思いながらも攻撃隊を発艦させるのである。攻撃は日本側が当初主導権を持ち、二波に及び攻撃で空母『エセックス』『ヨークタウン2』を撃沈、『イントレピッド』大破漂流とさせた。
だが米機動部隊も反撃とばかりに二波の攻撃隊を出し空母『翔鶴』『蓬莱』『葛城』『笠置』『蔵王』が被弾炎上したがミッドウェーのような誘爆での爆沈は避けられ大破後退となった。また、小沢中将の第二航空艦隊(無傷2隻)から発艦した攻撃隊が『ホーネット2』を撃沈し『イラストリアス』大破をさせたのである。
米機動部隊司令官のスプルーアンスは撤退を決意し南太平洋から撤退、空母機動部隊決戦は将和ら日本側が制したのである。
また、大破漂流していた空母『イントレピッド』は残敵掃討のため前進していた近藤中将の第二艦隊が発見し鹵獲してトラック諸島まで曳航するのであった。
なお、同日夜半には第17軍がヘンダーソン飛行場に総攻撃を開始し第八艦隊と『長門』型4隻の一戦隊の支援砲撃の元で飛行場になだれ込んだのである。
「突っ込めェ!!」
第17軍はチハを先頭に突撃、数両が破壊されながらも27日の早朝には米軍司令部には星条旗は降ろされ日章旗が掲げられるのである。
『万歳!! 万歳!! バンザァァァイ!!』
何とか日本は三ヶ月程度でソロモンの戦いーー『ソロモン・キャンペーン』を終わらせる事に成功したのであった。だが、南太平洋海戦で第一航空艦隊と第二航空艦隊は米機動部隊の激しい対空砲火によって航空機276機を喪失していた。パイロット等の戦死は少なかったが(パイロットが脱出をして水偵や大艇、潜水艦による救助活動をしていた)機材の損耗が激しかったのだ。
そこで堀GF長官は一旦は二個航空艦隊を解体し第一機動部隊(正規空母5隻、軽空母3隻)を創設、司令長官に将和を任命させFS作戦の準備に取り掛かったのである。
12月1日にFS作戦は発動され将和の機動部隊と近藤中将の第二艦隊が主力となってニューヘブリデス諸島を攻撃しこれを攻略、翌年の1月にはニューカレドニア島まで攻略に成功する。これによりFS作戦は成功し一先ずは米豪分断作戦は成功に終わったのである。
「やむを得ない、一先ずは一年間の停戦としよう」
「宜しいのですか?」
「戦力回復のためだ。一定の戦力が回復すればまた始める」
ルーズベルトは苦虫を噛み潰した表情で停戦(一年間)を承認し1月下旬にはオアフ島にて『ハワイ停戦条約』が発効されたのである。
「一先ずの平和だな」
「えぇ、偽りの平和でしょう。どうせ来年には平気で破ってきますよ」
「それまでに此方も戦力を回復させないとな」
「課題は多いですな」
斯くして日米は停戦期間に突入したのである。
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