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第八十話








 見張り員が叫ぶ寸前、防空指揮所から上空を見ていた将和は残存のSBD隊がバンクした瞬間に叫んでいた。


「艦長、とぉーりかぁーじ!!」

「は、はい!! とぉーりかぁーじ!!」


 将和の叫びに岡田次作大佐は瞬時に反応し『加賀』はSBD隊が急降下をする前に左に転舵したのである。そして見張り員が叫ぶ。


「敵ィィィィィィ直上ォォォォォォォォォ!! 急降下ァァァァァァァァァァァ!!」


 『加賀』には8機のSBDが急降下してきたが将和の咄嗟の判断により最初の3機を回避する事に成功、残りの5機も戦艦『日向』艦長の松田千秋大佐が書物に纏めた『爆撃回避操艦法』を熟読していた岡田艦長により回避に成功する。

 他にも4機が『瑞鶴』を爆撃するも『瑞鶴』は回避に成功した。しかし『翔鶴』は10機のSBDに襲われたのである。


「おもぉーかぁーじ!!」


 『翔鶴』艦長城島高次大佐は懸命に回避をするも最後の4機が回避出来なかった。最初の1000ポンド爆弾は『翔鶴』の中部エレベーターに突き刺さりそのまま格納庫に転がって力を解放したのである。爆風により中部エレベーターは吹き飛び海面に落下した。だがまだSBD隊の攻撃は終わりを告げていなかった。


「続けて急降下!!」

「おもぉーかぁーじ!!」


 前方から緩降下で3機が接近してきた。先頭の1機は投下するも左舷への至近弾となった。しかし残りの2機は経路を修正しながら投下、前部飛来甲板に2発が立て続けに命中したのである。


「報告及び応急急げ!!」

「合計で3発が命中!! 完全に飛行完全は発艦不能です!! なれど着艦は可能!!」

「現在、散水器で消火中!! 鎮火には時間を有しますが完全鎮火は可能です!!」

「なら頼むぞ!!」


 城島艦長はそう返し『加賀』に発光信号で伝えるのである。報告を聞いた将和は安堵の息を吐くのであった。


「まぁ沈む気配が無いならいい」

「艦隊はどうしますか?」

「このままウェーク島方面に向かいトラック諸島経由で内地に向かう」


 上空を乱舞していた米攻撃隊は既に引き上げていた。だが米攻撃隊が帰還しても降りる空母は既に無いのであった。


「行き掛けの駄賃だ。ついでにウェーク島も空襲して第四艦隊を支援するか」

「それが宜しいですな」

「それと山口からの連絡は無しか?」

「未だ……ですな」

「……逃げられたかな?」


 この時(12月9日)、山口の機動部隊はミッドウェー島に航空機輸送をしていた空母『レキシントン』を主力にした第12任務部隊は同島に対して航空機輸送を行う最中だったが真珠湾の報を受けて任務を中止し偵察機を発艦させて偵察行動をしながらウィルソン・ブラウン中将の部隊と合流し索敵行動を繰り返していた。だが山口は根気良く彩雲を出して偵察を繰り返していたおかげで遂に空母『レキシントン』を発見したのである。


「全機発艦!! 始めェ!!」


 零戦54機 艦爆72機 艦攻72機を出した時点で結末は空母『エンタープライズ』と同じであった。第12任務部隊は空母『レキシントン』甲巡『シカゴ』を撃沈され壊滅したのであった。更に山口は帰還途中にミッドウェー島を航空攻撃してこれも壊滅状態にさせるのである。

 また、ウェーク島攻略には空母『葛城』『笠置』を主力とする第六航空戦隊第二小隊と護衛艦隊が前進しており将和の艦隊が空襲してから二日後の12月11日に二空母からも攻撃隊を出してウェーク島を空襲していた。ウェーク島側も戦闘機を出そうにも全て破壊されており残っていた対空砲も撃っても直ぐに破壊された。

 1015には第六戦隊第一小隊の『青葉』『衣笠』がウェーク島に接近して砲撃を開始した。二隻には三式弾が搭載されており一砲撃ごとに火の海が形成されるのである。

 この砲撃は1055まで行われ砲撃終了後、沖合に待機していた輸送船4隻から大発が降ろされ陸戦隊一個大隊が九七式中戦車を先頭に上陸するのである。

 大半以上の施設を破壊された米海兵隊も上陸された時点で諦めており同日1430には降伏の白旗を掲げるのであった。ウェーク島の攻略には成功したわけであった日本軍だが他の戦線ではそうはいかなかった。


「自由イギリス艦隊がいなかっただと?」

「はっ、関少佐機からの連絡です。自由イギリス東洋艦隊はシンガポールに在泊せずです」


 第二航空艦隊司令長官の小沢中将は参謀長大西 少将からの報告に顎を撫でる。


「むぅ……感づかれたか」

「となればマレー沖の船団が危うい危機に……」

「心配あるまい。船団には近藤さんの二艦隊がいる。それに二艦隊は海軍一の精強だ」


 大西の言葉にニヤリと笑う小沢である。その一方でマレー沖の船団護衛に従事していた近藤中将の第二艦隊は第二航空艦隊からの報告に船団護衛を牧野中将の第七艦隊(旗艦『畝傍』)に任せ南進を開始し偵察機を放つのである。

 また、南雲中将の南遣艦隊も索敵行動を開始していた。




 第二艦隊


 司令長官 近藤中将


 旗艦『愛宕』

 第二戦隊

 『伊勢』『日向』『但馬』『越後』

 第四戦隊

 『高雄』『愛宕』

 第二水雷戦隊

 旗艦『神通』

 第八駆逐隊

 『朝潮』『大潮』『荒潮』『満潮』

 第十五駆逐隊

 『黒潮』『親潮』『早潮』『夏潮』

 第十六駆逐隊

 『初風』『雪風』『天津風』『時津風』

 第十八駆逐隊

 『霞』『霰』『陽炎』『不知火』

 第四水雷戦隊

 旗艦『那珂』

 第二駆逐隊

 『村雨』『夕立』『春雨』『五月雨』

 第四駆逐隊

 『嵐』『舞風』『萩風』『野分』

 第九駆逐隊

 『朝雲』『山雲』『夏雲』『峯雲』

 第二四駆逐隊

 『海風』『山風』『江風』『涼風』




 南遣艦隊


 司令長官 南雲中将

 旗艦『備前』

 第三戦隊

 『備前』『常陸』

 第九戦隊

 『八雲』『和泉』『伊吹』『六甲』

 第三水雷戦隊

 旗艦『川内』

 第十一駆逐隊

 『吹雪』『白雪』『初雪』『深雪』

 第十二駆逐隊

 『叢雲』『東雲』『薄雲』『白雲』

 第十九駆逐隊

 『磯波』『浦波』『綾波』『敷波』

 第二十駆逐隊

 『朝霧』『夕霧』『天霧』『狭霧』




 二個艦隊が自由イギリス東洋艦隊を捜索する中、シンガポールから出撃した自由イギリス東洋艦隊もまたコタバルに上陸した日本第25軍を撃破するべく北進をしていた。


「やはり来たか……だが俺は負けんぞマサカズ」


 自由イギリス東洋艦隊司令長官に就任したトーマス・フィリップス中将は旗艦『ネルソン』と共にいた。この時、自由イギリス東洋艦隊は以下の艦艇で編成されていた。




 自由イギリス東洋艦隊


 司令長官 トーマス・フィリップス中将

 旗艦『ネルソン』


 戦艦

 『ネルソン』『プリンス・オブ・ウェールズ』

 巡戦

 『アンソン』『レパルス』

 重巡

 『コーンウォール』『ドーセットシャー』

 軽巡

 『エメラルド』

 駆逐艦

 『テネドス』以下14隻




 本来ならセイロン島の東洋艦隊主力も持ってくるべきだが、主力も艦艇を増強したドイツ海軍が怪しい動きをしていたので警戒のため動ける状態ではなかった。

 だが、それでも自由イギリス東洋艦隊は負ける気はなかった。40サンチ砲搭載の『ネルソン』はいたし最新鋭の『プリンス・オブ・ウェールズ』も展開していたのでそれも要因の一つだった。

 しかし、フィリップスは『伊勢』型が改装によって41サンチ砲を搭載していた事は知らなかったのである。

 そして12月9日2058、『日向』に搭載された22号水上電探改【出力50kw 40km(戦艦に対して)】が反応したのである。


「戦艦級が4隻!? 出てきたな自由イギリス海軍……」


 電探員からの報告を受けた参謀長の白石少将はびくつきながらもその顔は嬉々としていた。それは隣にいた近藤もそうであった。


「距離の測定を急げ。零観の発艦も急がせろ」

「はッ!!」


 直ちに艦隊から数機の零式観測機が吊光弾を多数搭載して各艦のカタパルトから発艦していくのである。その反対に自由イギリス東洋艦隊も水上警戒の271型レーダーが第二艦隊を発見していたのである。


「各艦陣形を入れ換えろ!! 早くしないと奴等が来るぞ!!」

「アイサー!!」


 フィリップスは部下に檄を飛ばし第二艦隊がいるであろう方向を見つめる。

 そして2139、動いたのは第二艦隊だった。


「た、『高雄』増速!! 後方から右舷に航行中!!」

「何?」


 提督席に座っていた近藤は見張り員からの報告に腰を浮かせて右舷を見る。確かにぼんやりとであるが『高雄』が全速に近い航行をしていた。


「何をする気だ朝倉……」


 そう呟かれた『高雄』艦長の朝倉豊次大佐は『愛宕』に敬礼をすると艦を自由イギリス艦隊の方向に向けながらーー探照灯を照射させたのである。


「た、『高雄』探照灯照射!?」

「……朝倉………」


 近藤は『高雄』の行動を直ぐに理解した。『高雄』自らが囮になる気だったのだ。自由イギリス艦隊も突然の探照灯照射に驚きながらも探照灯に向けて砲撃を開始するのである。


「ファイヤー!!」


 『ネルソン』以下から放たれた砲弾が『高雄』の周囲に着弾し多数の水柱を吹き上げる。それを見た近藤は思わず声を荒げる。


「此方はまだ撃てんのか!?」

「『高雄』被弾!?」


 そう叫んだ時に降り注いだ砲弾が『高雄』の後部四番砲塔に命中、その余波で五番砲塔も吹き飛ばして後部砲は完全に射撃不能となる。

 その時、自由イギリス艦隊上空に到着した零観が吊光弾を投下した。投下した吊光弾は第二艦隊側から自由イギリス艦隊を見渡せる程だった。


「見事な背景照明だ……」

「目標を敵一番艦に捕捉急げ!!」

「準備宜し!!」

「長官」


 全ての準備を整えた事を確認した白石は近藤に視線を向ける。向けられた近藤はゆっくりと頷いた。


「砲撃始めェ!!」

「砲撃始めェ!!」


 斯くして『伊勢』型を主力とする第二戦隊は距離2万3200で砲撃を開始するのである。









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