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第七十九話







「長官!! 電文です!!」


 1941年12月8日、柱島泊地に停泊するGF艦隊旗艦『敷島』の作戦室に通信参謀が電文を堀悌吉GF司令長官に渡す。


「……『トラ・トラ・トラ』だ」

「奇襲成功ですか!?」

「やりますな……」

「流石は三好長官だ……」

「今日は祝杯だな」

「……………」


 参謀達がそう感想を述べているが堀は黙ったままであった。


「やはり意に沿いませんか?」


 それを見た首席参謀の島本久五郎大佐は堀に問う。島本の言葉に堀はゆっくりと頷く。


「……三好さんは回避派だからな。それが自身で開戦をさせる引き金を引く……皮肉なものだよ」

「ですな。私としては対潜作戦等で大変お世話になりました」


 島本ははっはっはと笑いながら頭を撫でるが直ぐに表情を変える。


「南方作戦は上手くいくでしょう。三好長官が育てた空母部隊が支援してくださるので」

「……その空母が無ければ到底戦争なんぞ出来んな」


 日本陸海軍は前回通りの展開をしていた。ただ違うとすれば南方部隊に大規模な機動部隊が展開していた事であろう。

 南方部隊指揮官は史実通りに第二艦隊司令長官の近藤中将が指揮をしており馬来艦隊(南遣艦隊)は南雲中将が、高橋中将の第三艦隊は比島へ展開していた。更に馬来艦隊の援護として小沢中将の第二機動部隊が展開していた。


 第二機動部隊はハワイ作戦で練度不足として判断された空母『阿蘇』『生駒』三航戦の『妙義』型、四航戦の『龍驤』の6隻で編成されていた。

 しかし、比島支援のため『阿蘇』と『生駒』は駆逐艦八隻を率いて比島沖から零戦隊を発艦させて比島の飛行場を台湾の陸攻隊と共に叩いていた。ちなみに護衛艦艇は以下の通りである。




 第三戦隊第二小隊

 『備前』『常陸』

 第七戦隊第一小隊

 『最上』『三隈』

 第九戦隊第二小隊

 『春日』『六甲』

 第七水雷戦隊

 『阿賀野』

 第六駆逐隊

 『暁』『雷』『響』『電』

 第十四駆逐隊

 『浜波』『朝霜』『岸波』『沖波』

 第二六駆逐隊

 『清風』『村風』『里風』『山霧』




「長官、第二機動部隊から電文です」

「話しているうちに来ましたな」

「あぁ」


 堀は電文を一目すると島本に渡した。


「シンガポールは空襲に成功するも英東洋艦隊は在泊せず……ですか」

「取り逃がしたようだ。まぁ行き先はコタバルだろう」

「なら基地航空隊の出番ですな」

「あぁ」


 開戦を受けて密かに南下していた第二機動部隊はシンガポールに攻撃隊を出したが肝心の英東洋艦隊は不在だった。


「小沢には予定通りにしろと伝えろ」

「分かりました」


 英東洋艦隊をシンガポールで撃滅出来なかった場合、第二機動部隊は直ちに比島の支援に赴く事になっていた。


「英東洋艦隊は基地航空隊に任せよう」


 そう判断する堀だったがマレー沖海戦は前回と異なる海戦になるのである。それはさておき、場所は再び第一航空艦隊へ移動する。


「長官、空母を探すべきです!!」


 旗艦『加賀』の艦橋で内藤航空参謀は将和にそう主張する。しかし草鹿参謀長は首を横に振る。


「空母を探したいが燃料の消費が心配だ。それに真珠湾は徹底的に叩いたし封鎖もした。此処は無理にすべきではない」

「ですが空母を逃がしては後の禍根を残す事になります!!」

「……まぁ落ち着け航空参謀」


 興奮する内藤に将和は落ち着かせる。


「空母を捜索して叩きたいのは俺も同じだ」

「では……!!」


 内藤は将和に近寄る。将和も前回の反省を活かすつもりだった。幸い、堀長官も将和のその意向を感じていたのかタンカーは更に6隻追加されておりまだまだ余裕はあったのだ。


「恐らくはウェーク島とミッドウェー島に航空機の輸送をしていたのだろう。そのいない時に我々は真珠湾を叩いた……」


 将和は真珠湾周辺の海図を見る。ハワイ北方には第一航空艦隊が展開している。


「……では……」

「……艦隊を分割する!! 『加賀』及び五航戦『翔鶴』『瑞鶴』はウェーク島方面に、残りはミッドウェー方面に捜索展開し可能な限り索敵、敵空母を発見次第撃滅せよ!!」


 将和は決断する。そして草鹿に視線を向ける。


「ミッドウェー方面には山口、奴に艦隊を預ける。奴に任せろ」

「分かりました」


 斯くして、第一航空艦隊は分割してウェーク島方面に、ミッドウェー方面に航行を開始したのである。



 ウェーク島方面


 第一航空戦隊

 『加賀』

 第五航空戦隊

 『翔鶴』『瑞鶴』

 第七戦隊第二小隊

 『鈴谷』『熊野』

 第十一戦隊

 『金剛』

 第一護衛戦隊(対潜も兼任)

 『五十鈴』

 第一七駆逐隊

 『谷風』『浦風』『浜風』『磯風』

 第三十一駆逐隊

 『長波』『巻波』『高波』『清波』

 第六十一駆逐隊

 『秋月』『照月』『涼月』『初月』




 ミッドウェー方面



 第一航空戦隊

 『赤城』『天城』

 第二航空戦隊

 『蒼龍』『飛龍』

 第六航空戦隊

 『雲龍』『蓬莱』

 第三戦隊

 『河内』『因幡』『岩代』『薩摩』

 第八戦隊

 『利根』『筑摩』

 第一護衛戦隊

 『名取』

 第一水雷戦隊

 『阿武隈』

 第四駆逐隊

 『嵐』『萩風』『野分』『舞風』

 第十駆逐隊

 『秋雲』『風雲』『巻雲』『夕雲』

 第六十二駆逐隊

 『新月』『若月』『霜月』『冬月』





 また、将和は三戦隊司令官の三川中将に無線連絡を行い「航空戦のため艦隊指揮を序列を無視して山口に任せて申し訳無い。此処は隠忍自重してほしい。無論、山口が負傷すれば貴官に艦隊指揮を任せる」と伝え三川中将も将和の言葉に納得し山口の指揮下に入るのである。

 無論、山口も将和のやり取りに感謝しこの恩返しは敵空母を見つける事としたのであった。

 直、将和も分割した後は直ちに全彩雲と零式水偵を発艦させてウェーク島方面を徹底的に捜索した。

 その甲斐があったのか『瑞鶴』から発艦した彩雲4号機が真珠湾に向かう空母『エンタープライズ』を発見したのである。


「敵空母です!! それに甲巡もいます!!」

『直ちに艦隊に打電しろ!!』

『後方から敵グラマン!!』


 機銃手が後方から接近するF4F戦闘機6機を発見、13.2ミリ旋回機銃で応戦を開始する。操縦するパイロットは速度を620キロまで上げて逃走を開始するも第8任務部隊上空を通過したりと詳細な情報を『加賀』に発信したのである。

 無論、『加賀』もその電文は受信していた。


「敵空母1、甲巡3、駆逐艦多数の艦隊です」

「攻撃隊は?」

「いつでも行けます!!」


 将和の問いに内藤はそう答え将和は頷いた。


「全機発艦!! 始めェェェ!!」


 直ちに『加賀』から発光信号が『翔鶴』『瑞鶴』に向けて飛び交い、飛行甲板で待機していた攻撃隊(零戦54機 九九式艦爆72機 九七式艦攻72機 彩雲3機)はプロペラを回し始め相次いでカタパルトで発艦していくのであった。

 また、発見されたのは将和の艦隊もだった。発艦中に『エンタープライズ』から発艦したSBDに発見され報告されたのである。無論、報告したSBDは直ちに上空警戒をしていた零戦隊に追い回され撃墜されたのである。


「来ますかな?」

「ハルゼーなら来るさ」


 草鹿の問いに将和はニヤリと笑うのである。そのハルゼーも『エンタープライズ』から攻撃隊を急いで発艦させていたのである。


「全機発艦だ!! 真珠湾を攻撃したジャップを生かして帰すな!!」


 『エンタープライズ』はF4F8機 SBD35機 TBD18機を発艦させた。上空警戒機以外は全て出したのである。これが空母9隻も揃っていた一航艦ならハルゼーは逃げていたであろう。

 ハルゼーは報告での空母3隻なら何とか勝機があると踏んでいたのだ。だが実際にその空母3隻の航空機搭載能力を見誤っていたのである。

 淵田中佐の攻撃隊が到着したのは発艦してから一時間半後でありハルゼーはその攻撃隊の多さに驚愕していた。


「空母3隻でこの多さの攻撃隊を搭載しているのか!? クソッタレ、嵌められた!?」


 ハルゼーは己の判断に罵倒しつつも対空戦闘を発令、上空警戒のF4F 8機は敵攻撃隊に向かうも板谷少佐の零戦隊に阻まれ空戦で全機撃墜をされてしまう。その間にも攻撃隊は所定の位置に着き、淵田中佐はト連送を発信した。


「全軍突撃や!!」


 自身も18機の水平爆撃隊を率いつつ高度3000から800キロ爆弾による水平爆撃を敢行、17発は外れるも1発が中部飛行甲板に命中弾を与えさせた。


「Shit!! ジャップの爆弾は当たるぞ!!」


 爆発を間近で目撃したハルゼーは罵倒しながらも上空に視線を向ける。上空では高橋少佐の艦爆隊が編隊爆撃で急降下していた。


「用……意……撃ェ!!」


 高橋少佐は高度500で500キロ爆弾を投下し操縦桿を引いて再度ゆっくりと上昇していく。爆弾の投跡は後方の野津特務少尉が見ていた。


「命中!! ど真ん中です!!」


 高橋少佐が投石した500キロ爆弾は先の800キロ爆弾が命中して形成していた破口に飛び込んで中層を突き破り下層でその力を解放したのである。爆発により『エンタープライズ』は震え爆風は乗員達を吹き飛ばす。

 更に4発が命中し『エンタープライズ』は空母としての機能を完全に停止した。だが攻撃はまだ終わりではなかった。


「左右から雷撃機多数!!」

「クソッタレがァ!!」


 護衛艦艇の対空砲火を飛び越えて敵雷撃機が接近してくるのをハルゼーは見て叫ぶ。『エンタープライズ』の左舷から突撃したのは村田少佐率いる18機の艦攻隊である。


「見つけたぞ」


 村田少佐は炎上する『エンタープライズ』を見つつニヤリと笑い高度5メートルを維持しつつ投下索に手を添える。


「距離1000!!」

「……………」

「距離800!!」


 『エンタープライズ』からの対空砲火を避けつつ村田隊は距離700に到達した。


「距離700!!」

「撃ェ!!」


 九一式航空魚雷改三が投下され村田少佐はゆっくりと上昇し戦果を確認する。


「水柱一つ!! ……二つ、三つ……六つです!!」

「よし……三好長官に土産が出来たな」


 星野機銃手の報告に村田少佐は笑みを浮かべる。そしてハルゼーは大傾斜をする『エンタープライズ』からの脱出をしていた。


「急げ野郎ども!!」


 ハルゼーは飛行甲板をマレー艦長と転がり落ちながらも海面に飛び込み、そのまま泳いで出来るだけ離れようとしていた。


「今に……今に見ていろジャップ!! Admiralミヨシィ!!」


 第8任務部隊は空母『エンタープライズ』甲巡『チェスター』『ソルトレイクシティ』を喪失、甲巡『ノーザンプトン』が大破し更に駆逐艦3隻を喪失したのである。

 そして将和の艦隊もハルゼーが放った攻撃隊が飛来していたのである。


「零戦隊の包囲網を潜り抜けたようです!!」

「フム……奴等もやるな」

「そのようです」


 上空に零戦隊36機を挙げていた将和だが米攻撃隊はSBD22機とTBD8機が包囲網を抜けて将和の艦隊に攻撃を開始した。3隻を守るよう輪形陣に展開しており接近してきたTBD8機はあっという間に全滅した。

 しかし、SBD22機は勇敢だった。彼等は上空の雲を利用しつつ数を減らしながらも三空母上空に取りつき急降下爆撃を開始したのである。

 それを見た見張り員は叫んだ。


「敵ィィィィィィ直上ォォォォォォォォォ!! 急降下ァァァァァァァァァァァ!!」













御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 前回もですが、史実と違う戦法を取ればエンタープライズも呆気なく沈みますね。 史実は順次修正爆撃でしたが、三好日本軍は連携による編隊飛行の水平爆撃ですし。
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