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第六十七話







「え、ドイツが建造依頼?」

「『アドミラル・ヒッパー』級の四番艦と五番艦を建造してほしいとの事だ」


 日ソ戦争が自然休戦状態となった1938年9月18日、ドイツ海軍がというかドイツがそう申し込んできたのだ。


「図面を渡すので二隻を代わりに建造してもらいたい」


 日本は日独伊防共協定後からドイツに対してジェットエンジンやロケットエンジン、高射砲の購入を交渉していた。だがジェットとロケットは難色を示され高射砲アハトアハトは購入が決まって購入したりしていた。だが今回はドイツ側からの交渉だった。

 ドイツ海軍は再建の最中だったが再建するための艦艇が多く、記憶を持つ海軍総司令官のエーリヒ・レーダー海軍大将は新Z計画の構想のため大型艦艇の諸外国建造に乗り出したのだ。

 無論、これは内部からの反発もあったがレーダーは何とか押さえ込んだ。


「我々の建造技術は前回の大戦で止まっている。それを進化させるには外からの建造しかないのだ」


 建造技術がww1で止まっているドイツ海軍からにしてみれば情勢は変わるものであり仕方ないものであった。そこで建造中だった『アドミラル・ヒッパー』級の三番艦『プリンツ・オイゲン』を日本に回航させ日本で完成させてもらう事にしたのだ。(この時点では進水済みであり無かった構造物だけであった)

 まぁ日本海軍としてもドイツの技術を知る一環でもあったので建造依頼を承諾、それによって『プリンツ・オイゲン』とそれらの武器を載せた輸送船が日本へ回航され到着したのは大晦日であった。なお、この移動にイギリスやフランスも警戒して臨検したりしたがドイツが従順に臨検に応じたりと拍子抜けだったらしい。

 それは兎も角として日本で『アドミラル・ヒッパー』級の四番艦と五番艦は建造される事になる。

 また、ドイツ海軍は空母や駆逐艦の図面を購入したりと忙しく動き回るのである。

 翌1939年1月7日、モスクワにて日ソ和平条約が締結した。約一年続いた戦争(半年程休戦していた)は思わぬ幕退きをしたのであった。即ち、此度の日ソ戦争は奉天軍と中国共産党の手引きによって行われたモノであり両国の行き違いがあったと公式に認めたのである。

 無論、奉天軍の張学良や中国共産党は「手引きするような行為は一切していない」と身の潔白を主張したが到底認められるわけではなかった。

 なお、以下が日ソ和平条約の内容だった。


 ・日本は占領していた満州の領土をソ連に返還する

 ・ソ連は日本軍の死傷者に哀悼の意を表して弔慰金を金銀ダイヤモンドで支払う(トン数については明確に記載はされていない)

 ・日本はソ連のハルピン以北の支配を認める

 ・ソ連は日本の関東州の保有及び南満州鉄道の運営を再度認める




 等々が記載された条約だった。なお、弔慰金で貰った金銀ダイヤモンドについては一旦国が預かり、第三国(アメリカやイギリス等)に売却をしてカネにしてから戦没者遺族や負傷者へ渡したのである。思わぬ金銀ダイヤの保有にウハウハのアメリカやイギリスだったのは言うまでもない。

 そして進退窮まったのは奉天軍の張学良や中国共産党であるのは改めて言うまでもない。日ソ戦争が終了し関東軍はそのまま中国共産党の封じ込め対策として遼寧省の盤錦市や錦州市、遼陽等渤海に面した地域に進出し事実上占領したのである。この行動に中華民国の蒋介石も封じ込め対策として容認していた。また、日本は直ぐに地質調査を日米共同で促しアメリカも参加し2月には油田(後の遼河油田)を発見するのである。


「取り敢えずは和平が結べた事に乾杯ですね」

「それも何時まで持つかだがな……」


 いつもの会合で将和の言葉に東條はそう呟く。和平を結べた事でさえ奇跡に近かった。あのスターリンに何があったかは分からないが………。


「本当に満州は奇々怪々だな……」

「それを言った本人は追いやられていますけどね」

「触らぬ神に祟りなしだよ三好君」

「デスヨネー」


 そう思う将和である。話題を逸らすように杉山は口を開いた。


「それで先頃見つかった油田はどうするので?」

「日米共同での投資だろうな。取り分はアメリカ7の日本3にしてな」

「アメリカ様々ですからねー」


 それでも日本に油が近くから入ってくるので問題はなかった。なお、アメリカでも取り分については少しの驚きがあった。


「何と、日本は共同出資と言いつつそのような取り分で良いと?」

「はい。日本側はアメリカの出資により此処までやれたからと……」


 補佐官からの報告にルーズベルトは腕を組む。


(フム……以前から言い日本はそれなりの知恵はあるという事か……)


「ならば此方も日本にはある程度の投資をしよう」


 ルーズベルトはこの頃、蒋介石の中華民国と日本とどちらと手を組むか悩んでいた。その現れとしての日本への投資だったりする。また、ボーイング社もそれに影響して採用されたばかりのB-17の売り込みをする程だった。なお、その結果として日本はB-17を3機購入するのである。

 それはさておき、日ソから名指しで批判された張学良と中国共産党であるが未だ主力は延安地域を支配しており更には残存奉天軍も合流した事で兵力は増強されていた。無論蒋介石もそれには危機感を覚えており中国共産党を征伐する軍勢を整えていたが、その一方で中華民国政府に不満を持つ者達も少なくはない。

 そのため共産党側に流れたりと少しずつダメージが出ている程である。そんな中で日本は3月から漸く戦備の動員解除となっていた。


「昨年新設した師団のうち二個師団は廃止して動員解除にはなるでしょう。残り三個師団は錦州等で一定の守備を担当してもらいますがこれも年末には動員解除となるでしょう」

「ただ関東軍は二個師団と一個旅団態勢になるかと……」

「まぁやむを得んな……兵器の開発は?」

「ボフォース社を通して75ミリ高射砲のライセンス契約は取り付けました。八八式野戦高射砲の代わりも40年頃から配備されると思います」


 史実で四式中戦車や五式中戦車の戦車砲となった75ミリLvkan m/29をライセンス生産という形で採用され生産中であった。


「それと……冬戦争にはどう致すので?」

「……陸軍が出せるとしたら一個旅団、三個飛行戦隊くらいだろう」


 これまでにフィンランドに支援してきた日本にしてみれば冬戦争には介入する気で……いやする気満々でいた。


「海軍もそれを護衛する艦隊の派遣は必要でしょうな」

「三好君、行きたい気満々なのは有難いがまた賞金が上がるぞ?」


 宮様の言葉にウグッと身体を震わせる将和であった。なお、現時点では以下の部隊を義勇軍として派遣予定だった。


 陸軍

 一個歩兵旅団(北方の部隊を中心に構成予定)

 一個野戦重砲兵旅団

 二個戦車大隊

 三個飛行戦隊(戦闘機二個戦隊、爆撃機一個戦隊)



 海軍

 一個艦隊(陸軍の護衛)

 一個航空戦隊




 また他にも兵器支援として先の日ソ戦争で鹵獲したBT戦車や野砲等もフィンランドに送る予定であった。また戦車大隊もチハやハ号となっており冬戦争が終了すればドイツに売却するつもりだった。事実、既に一両はドイツに売却しておりそのチハの性能にはドイツ陸軍も目を見張るモノだったという。

 だが海軍は海軍で一時期は戦闘機無用論が出ていたが将和を筆頭にパイロット達が「ぶち殺されたいのか?」と主張する輩(源田達)に一喝してほぼ閑職に追いやられていた。

 また将和は実際に演習をさせて攻撃側(九六式陸攻)と防御側(九四式艦戦)で対決させ防御側は対空電探等の誘導によって攻撃側を壊滅させたりと無用論を撲滅させていた。なお、無用論の山本は演習を見て直ぐに将和の元に訪れ謝罪をして以後は航空隊を育てている。


「まぁ取り敢えずはどうなるかですな……」


 そう呟く将和であった。4月1日、スペイン内戦はフランコ将軍側の勝利宣言を出した。

 そして6月下旬、将和らはコッソリと会合に集まりある話をしていた。


「それでウランの確保は?」

「ウム、取り敢えずは人形峠でウラン鉱床は確認され実際に採掘されている」

「……分かりました。使う必要は無いと願いたいですね」

「あぁ、それとアインシュタイン博士は日本に来ないと言っていた。先にアメリカに拾われた恩義があるとな」

「まぁ仕方ないですな」


 日本もアインシュタイン博士の確保を急いでいたがアメリカに取られたのである。だがそれでも日本の原爆開発が止まる事はないのである。


「それとジェットエンジンについては?」

「それに関してはヘルマンがユンカースユモ004のを購入又は図面を譲渡してくれると……」

「チハを売却したのが効いているな」

「これで独ソ戦が前回よりもまたマシになればいいですがね」


 まぁ今回はどうなるかは将和も分からなかった。それはさておき1939年9月1日、遂にドイツはポーランドへ侵攻を開始した。侵攻理由は史実と同じくイギリス・フランスとの相互援護条約が理由であり3日にはドイツがポーランドへ宣戦を布告した。

 第二次世界大戦の始まりだったのである。











御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 開戦しちゃったけど、ドイツ海軍大丈夫か・・・?
[一言] 源田達、戦闘機無用論派が原因で航空技術が半端になりますからね 戦闘機無用論派は頭が空っぽなんですかね?
[一言] 戦闘機無用論派の源田達はこれで少しは収まるでしょうね
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