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第四十六話







「………」


 東京の将和の自宅にてアナスタシアーーナーシャーーは長女ソフィアーー愛称はソーニャーーをあやしながらボケッとしていた。


「将和が心配になるのかしら?」


 そこへ紅茶とジャムを持ってきた夕夏がアナスタシアに言う。夕夏の隣にはタチアナもいた。


「ユーカ様は心配にならないのか?」

「あの人が帰ってくると言ったら必ず帰ってくるわ。だから私は将和が帰ってくるまで家を守るの」

「……ユーカ様には敵いませんね……」


 アナスタシアはジャムを口に入れて紅茶を飲む。


「貴女も直ぐに分かるわ。さて、ソーニャのオムツ交換ね」


 泣き出したソーニャに二人がオムツを交換するのであった。


「オムツの交換は難しいわね……」

「直ぐに馴れるわよ」


 その頃の将和は上海沖に停泊する空母『鳳翔』の艦橋にいた。


(はぁ……早く家に帰りたいなぁ。上陸してチャイナドレス買って取り敢えず全員と……ヌヘヘヘ♪)


 内心、何を考えているか分かるようである。


(でもこの時代、チャイナドレスあったかな? まぁ上陸した時に服屋に突撃して聞いたら分かるだろ……)


 そんな事を思いつつ作業をする将和である。日米英連合軍は上海に上陸後、南京を目指し南京を包囲していた。揚子江からは第二四駆逐隊を筆頭に砲艦や小型艦艇等が南京を監視し時折艦砲射撃をしていた。南京にいた蒋介石は完全に孤立無援であった。蒋介石は武漢国民政府に救援を依頼して武漢国民政府は一個師団を派遣した。

 しかし、南京を前に日本軍と交戦して敗退していた。外からの救援は不可能と判断した蒋介石は和平に傾いた。日米英連合軍も無闇に損害を出すのは避けたかったので和平交渉に取り掛かるのであった。


「よーし、服買いに行こ」


 上海沖に第一機動部隊は投錨していた。将和は時間を見つけて上海に上陸したのである。勿論護衛付ではある。


「隊長、ここの店ですよ!! いやー此処の酒も美味くて美味くて……」

(……コイツ、護衛の意味を分かってるのか?)


 一応護衛である吉良は将和に酒屋を教えて入っていた。


「お姉さん、二人ね」

「ハーイ。ご苦労さんね」


 女主人に吉良はそう言う。なお、店内は複数の中国人達が飲み食べ騒いでいた。


「活気あるじゃないですか……こういうのも良いもんですよ隊長」

「まぁな」


 二人はそう言いつつ昼間から酒を飲むのである。


「いやぁ……この白酒はもう……」

「……お前が酔い潰れてどうすんだよ……」


 出来上がった吉良に将和は溜め息を吐く。この辺でお開き……と思ったが将和の元に新しい白酒が入った小酒杯が置かれた。


「俺の奢りだ」


 そう言うのは隣で飲んでいた褐色の肌を持つ女性だった。赤を主張するチャイナドレスに豊満に溢れる巨乳にチラ見をする将和だが咳払いをする。


「済まないが相方が潰れたので帰るのだが……」

「隣で見ていたが中々の者とみたんだ。良いじゃないか日本人?」


 挑発するような言葉を放つ女性だが将和も相手は女性なので一応の警戒はしていたが女性は自身が持っていた小酒杯に白酒を注いで飲み干す。

 そして飲み干した証として将和に向けて杯を傾け底が見えるようにした。


「毒は入っちゃいないぞ」

「……少しだけだぞ」


 将和の言葉に女性はニヤリと笑い将和は置かれた小酒杯を飲む。そして二人の飲み合いは始まるのである。








「ぐがー……ぐがー……」

「……お前かよ……」


 吉良の隣に女性が突っ伏して爆睡していた。将和は頭を抱えながらも三人分の料金を払って爆睡している二人の左右の肩を抱えて店を出た。なお、心配してきたのか小沢らも途中で来てくれた。


「すいません隊長、この馬鹿にはキツく言っておきますので……」

「あぁ。取り敢えずこの婦人は適当な宿屋に放り込んでくる」


 謝る小沢に将和はそう言って近くの宿屋に事情を説明し、宿屋の親父には倍の料金を払って女性を部屋に寝かして出たのである。


(……まぁもう会う事は無いだろう……それにしてもデカイ胸やったなぁ……ありゃあ夕夏やターニャらよりもデカイわな)


 そう分析し『鳳翔』に帰還する将和であったが戻って直ぐに思い出した。


「あっ、土産のチャイナドレス買うの忘れてた」


 翌日、将和は護衛付で再度上海に上陸した。(なお、護衛は山口と大西である)そしてちょっと路地裏の商店街でチャイナドレスを選んでいる時だった。


「~~~ッ!?」

「ーーッ!!」

「喧嘩か?」

「いや……あれは……」


 山口の言葉に大西がそう言った時、銃声が商店街に響いた。直ぐに悲鳴が上がり三人は懐に入れた拳銃に手をかける。

 そして店に入ってきたのは昨日、将和と飲み合いをして負けたあの女性だった。


「あッ!?」

「およ、昨日負けた君か」

「悪いな、話をしたいがちょっと込み合っていてな!!」


 女性はそう言って持っていた拳銃を外に向けて数発撃つ。無論、将和らはしゃがみ店主は逃げ出していた。


「物騒だな」

「ちょっと仕事に失敗して殺されそうになっていてな。何なら手を貸してくれるか?」

「隊長、向こうは10数人はいますよ」


 鏡で外の様子を見ていた山口がそう言う。


「勝ち目は無いからずらかるか。ついてこい」


 そして将和ら一斉に射撃をしその隙を突いて店の裏口から逃げ出す。なお、チャイナドレス(人数分)の料金はちゃんと机の上に置いてである。


「全く……『鳳翔』に女性を乗せるのは……いや芸者を呼んだ事あるから大丈夫か」

「士気向上のためですからねぇ」


 一先ず、『鳳翔』に戻った一行は取り敢えず従兵を部屋の前に立てて女性から事情を聞く事にした。


「それで何で追われていたんだ?」

「原因はあんただよ」


 取り敢えず白酒を女性に勧め飲み干した女性は将和に視線を向ける。


「というと?」

「うーん……こうなったら全部喋るが俺、国民党から雇われた暗殺者の類いなんだ」


 女性の言葉に山口と大西がいつでも捕縛する態勢に入ったが女性は手を挙げ降参のポーズをする。


「やめろやめろ、元々殺す気は無い。世界中で有名なあんた……三好将和を殺したら本気でマズイのは学が無い俺でも分かる」

「ふむ……けど、昨日は俺と会っていたよな?」

「いやー隣で白酒を飲みまくるあんたに興味が出てな。ちょっと飲みの勝負を……と思ったけどまさか俺が酔い潰されるとは思わなかったぞ」


 ハッハッハと豪快に笑う女性であるが山口と大西は溜め息を吐いて「取り敢えず吉良はシバきだな」「てかまた落としてるよ隊長……」と呟くのである。


「てか何で国民党が俺の暗殺指令を出すんだ?」

「さぁ、詳しい事は俺は知らん」


 なお、国民党の蒋介石はそんな指令は出していない。というのも将和の暗殺指令を国民党にさせたのはコミンテルンだった。

 1925年に建設された国民革命軍は支援をコミンテルンから受けていた。しかもその前年には第一次国共合作が成立して中国共産党員が国民党に加入していた。コミンテルンの目的は共産党員を「細胞」として国民党に植え付けておき、オルグ活動で共産シンパを増やしてゆくゆくは乗っ取らせるための寄生先として利用することにあった。

 そしてその芽を利用したのがグルジアの髭親父ことスターリンであった。

 ちなみにソ連での将和は賞金首として掲げられており(ロマノフ王朝の皇帝一家の娘二人を嫁にしている)名指しで『ソ連人民最大の敵』の一人目として言われている。(ちなみに後に数人増える事になる)

 また賞金に関しては50万ルーブル(当時)でありスターリンは国民党のスパイに対して「上手く事が運べば50万ルーブルを国民党に寄付してやる」と囁くのであり、後はそれに乗せられ実行する国民党が出来上がるのである。


「どうしますか隊長? というより自分らでは判断出来ませんので隊長に任せます」

「それ一択」


 山口と大西は肩を竦めてメシだメシと言って部屋を出るのである。なお、将和は悩んだ末に……。


「取り敢えず日本に亡命の処置をするよ(大陸にいれば反逆したとして殺されると思うしそれは後先悪いしな……)」

「おっ、悪いな」


 宮様にまた迷惑をかけるなと思いつつそういやと口を開いた。


「そういや名前を聞いていなかったな」

「悪い悪い、俺は超麗蓮ちょう りーれん。宜しくな」


 麗蓮はそう言ってニカッと笑うのである。ちなみに日本に戻るまで麗蓮は烹炊所付(無論特例)となり水兵から人気があるのは言うまでもなかった。









御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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― 新着の感想 ―
[一言] 流石の蒋介石も将和を殺すことはしないでしょう。そんなことをしたら全面戦争になりかねないですし。 そしてやはり糸を引いていたのは共産党。 そして、またお前かスターリン
[一言] 最大の敵のくせ複数人居る件(笑) てか、三好、ルーデル以外にもおるんかい。
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