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第二世代 対 勇者



「相変わらずにいいところだよね」

「いいからさっさと歩けよ」

「日が暮れちゃうわ」

「わーってるって」


 テスタロッサ、キッド、ルルの3人は難なく王都へと入る事が出来た。

 まあ来賓だから当たり前ではあるが万が一はとか考えていたが大丈夫そうだ。


「準備は?」

「万端」

「ちょっとキッド。あんた怪我人なんだから、あんま無茶しないでよね」

「平気平気、それよりもこの刻印とか言うの解析出来たのか?」

「んー…無理」


 それはキッドの腹に刻まれた未知の文字だ。それのおかげでキッドの腹の傷は再生してるし傷が塞がるにつれて文字も薄くなっている。

 で、便利な物だと興味本位で調べたら未知の魔法だったのだ。


「アイツだけが使えるって事か?」

「現状はね。まあ、仲間にさえなりゃこっちの…ん?あれ、おっかしーな。契約のスクロールが確認出来ない」

「はぁ?」

「えー、俺ちゃん初めてなんだけどこんなものなの?」

「知らないわよ」


 ステータス同様に確認できる筈なのに3枚とも見れないし…取り出せないし…


「あ、これもしかして消された?」

「…テス、馬鹿じゃないの?」

「ねえ、ガチトーンで女の子に罵倒されるのっていくつになっても効くからやめて」

「ダメだったなら他の事、考えよーぜ。無駄な時間過ごす必要なんてねえし」

「キッドォォォ、お前は俺ちゃんの味方なんだなぁ!」

「ちょ、引っ付くな!加齢臭臭えんだよ!」


 部下2人のメンタル攻撃で精神ズタボロにされてしまった…


「で、着いたけど?どうすんのよ?」

「ああ、うん。とりあえずメーヴィン探そっか。連絡付かないし」


 優秀な諜報員だ。なのにここ数日、とんと連絡が来ない。


「あの女の事か?それならメルカさんが尋問し終わって今は牢屋の中だ。ぺらぺらとよく喋る女だったよ」

「ん?んー?誰?」


 見覚えのない連中が道を遮ってきた。折角城に着いたというのに。


「お陰でお前らが攻めてくる事も知ってたし、あのなんたら兵器ってのも今頃兵士の人達が壊してる。仰々しいわりにはたいした事ない、見かけ倒したって事も教えてくれた」


 金髪、加護を受けたであろう神々しい剣、白銀の鎧。後方にいる奴らも同様の武器防具。計5名と後ろに兵士達が集まってくる。


「クロード=ツキシロ。僕はこの国の選ばれし勇者だ」

「ああ、はいはい。例のね」


 そういやそんな連中いたなとか思いつつも近づいて行きクロードの目の前に立つ。


「なんの真似だ?」

「いやー、噂に聞いた通りの腰抜け野郎だって実感した。敵がこの距離に居るのに斬り付けてもきやしない」

「はぁ!?」

「いい練習相手だ。キッド、ルル。とりあえず全力出して戦って。ダメそうなら俺ちゃんやるわ」

「戦えんのかよ」

「多少は」


 背中むせて2人の元に戻っても攻撃してこない。フェスティバル中だから?卑怯だから?話し合いで解決したいから?馬鹿かよ。お前ら今、攻められてんだぞ?


「あ、そーだ。人質とかは使えないからよろしくね」


 思い出したかのように懐からスイッチを取り出すとなんて事もなく押す。瞬間、地響きが起き城の中庭が隆起して大爆発が起こる。


「んあ、やべえ。火薬量間違えた」

「ちょっと、なんのボタン!?」

「メーヴィンの体内の爆弾」

「はぁ!?」

「訳は後で話すから。あとよろしこ」


 2人の肩を軽く叩くといつも通りなんかあるんだなって顔して、それからそれぞれが構える。


 どうなるか楽しみだな。



ーーーーー



「勇者と拳聖」

「それに賢者とサムライ。追加でプレゼンター」

「あと兵士」

「どうする?」

「男は男、女は女でいいんじゃない?」

「でもそれだとコダマの時と同じらしいよ?」

「えー、じゃあ勇者と賢者頼める?」

「拳聖とサムライは頼んだ。サムライの娘ならサムライと戦わねえとな?プレゼンターは後でいい」


 2人背中合わせに戦うようになってからどれくらい経つだろうとキッドは考える。何せ生まれた時からルルと一緒に両親に徹底的にスキルの使い方や戦い方を叩き込まれたのだ。

 蹴り技主体と刀主体。近接同士だ。


「ふん、僕がお前ら程度に負けるとでも思ってるのか?」

「援護は任せてねクロード」


 恋人達のことを彼方ではリア充と言うらしい。別にどうでもいいが戦いの場でイチャつくのはどうかと思うが。


「でも、コダマに負けたんだろ?無能って馬鹿にした奴に負けた負け犬共が傷の舐め合いか?」

「あ?」


 わかりやすく調子に乗ってくれて助かる。

 上には上がいるのは当たり前の事だ。コダマの攻撃…全く見えなかった。悔しかったし何よりも情けで生かされてルルも泣かせてしまった…もう2度とあっちゃいけない。


「ルル」

「なに?」

「強くなろうな」

「いきなりどうしたの?」

「いやなに…思っただけだ」


 お互い軽く手の甲でタッチすると戦闘を開始する。

 同時に勇者も…


「【アルスマグナ】!」

「魔法を作り出す魔法…だったか?やべえぞ!」

「ああ、もう作戦が狂う!」


 目の前に現れた巨大な火の玉。俺のスキルじゃ相性が悪い!?

 するとルルが虚空から一本の刀を取り出す。それはルルの父がルルの為に打った1本の魔刀。

 左足を後ろに引きルルが抜刀の構えを取る。


「キッド!私達に作戦なんて意味ない!いつも通りその場のノリ!」

「OK!」

「次元流 居合い奥義─」


 ルルが地面を砕き跳躍する。


「朧月ッ!」


 かちりといつも通り鍔鳴りの音がすると巨大な火球は霧に包まれたかのようにぼやけていき消えてしまう。


「なっ、またなの!?」

「ふんっ!」


 賢者の女が動揺してるのを見てたら拳聖が殴りかかってきた。


「おう、あんた名前は?」

「…賊に名乗る名など無い!」


 拳聖の拳を避けたが地面を砕き破片が襲い掛かる。


「ああ、そうかい」


横なぎに蹴りを一閃。破片全部が砂となって消える。


「んじゃ俺は名乗らせて貰うわ。キムドレッド=ヤサカミ。キッドって呼んでくれよな」


 離れ際に3発、蹴りを叩き込んだが鎧の防御力が相当高いのか拳聖は無傷だった。


「…痒いな」

「ははっ、だったら痛がらせてやるよ」



ーーーーー


「くっ…」

「勇者…勇者ねえ」


 父からは一刀に力を入れろ、連撃は向いてないと言われていたが…案外どうにでもなるものだ。


 右に左と斬りかかり、刺突し弾き隙があれば顔面を殴る。やりやすいったらありゃしない。

 しかも2対1と数の利があると言うのに仲間に被弾するのが怖いのか賢者も魔法を撃ってこない。


「よっわ」

「んだと、てめえ!」

「単調でそれでいて連携もクソも無い」

「黙れ!」


 ツキシロの剣が輝き始め聖なるオーラを纏う。その魔力量を見るだけでも身震いするものがあるが…敵国とは言えど魔王相手に召喚された人間だ。強い筈なのに…この程度なのか?


「【カオティックノヴァ】ッ!」


 聖魔の光が私に向けて撃ち放たれる。否、斬撃とでも言えばいいか。

 だが遅いし隙しかない。


「はぁ、はぁっ…やったか!?」

「あんなのでやられるわけないわ」


 抜刀した瞬間には既にツキシロの腕は上空を舞っていた。


「嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ!腕、ぼ、ぼぼぼ僕の腕が!!」

「うるさ」


 今まで人を殺したことがなかっただけで、いざ首を飛ばす時になってもこれといって何も感じない。


 ガギンッ


「…ああ、居たの忘れてたわ」

「クロード下がって!」

「賢者…賢そうに見えないけど」

「ふんっ、所詮は近接職。ツバキで予習済…」

「あんな雑魚と一緒にしないでくれる?」


 だらだらと話してたので居合の感覚で頭を賢者の鳩尾に深く突き込むと口から黄色い吐瀉物撒き散らして倒れ込む。

 魔法使わなければ何処にでもいる人間だ。


「サツキッ!」

「ああ、何?サツキって言うの?いい名前ね。まあもうどうでもいいけど」


 このまんま首を斬り落としてやろうと目の前でうずくまる馬鹿に刀を振り下ろすが再び(すんで) のところで止められてしまう。今度は誰だよと見ると私と似たような刀を持ったプレゼンターが体を光らせて受け止めていた。


「何それ?」

「わ、私の新技です!」


 知るかと思ったが膂力で負けていたので吹き飛ばされてしまう。


「クロードさん、今のうちにサツキちゃんの回復を!」

「お、おう!」


 面倒な事になった。勇者はまあ攻撃に当たらなければ良いとしても賢者の方は回復されて変な魔法でも使われたらおしまいだ。


「【エンチャント・重奏】!」


 ああ、なるほど。アクト コダマのように肉体への付与。

 だがアレと比べれば見劣りする物がある。


「コダマの真似事ですか。哀れですね。代わりに召喚されたと言うのに貴方の方が無能だなんて」

「…そうです。私は無能です。でも、コダマさんさえ帰ってくれば私と共に!」

「無理に決まってるでしょ。あんたらが見捨てたのに今度は助けてって虫が良過ぎる。それとも何?自分に惚れさせればコダマが手伝うとでも?」

「……」

「異世界の人間ってのはどいつもこいつも現実を見ないわけ?馬鹿らしくて笑えもしない」


 そうだ。どいつもこいつも自分のことばかりで嫌になってくる。


「私がその腐った根性叩き直してやるよ」


 煌く刀身をプレゼンターに向ける。

 

 ぶっ殺してやる。


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