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テスタロッサの嘆き



 とりあえず落ち着いて話そうと言うことで近くのカフェにやってきたが…正直俺もアルマも話すことは無い。

 それにさっきからルルだったか?第二世代とか呼ばれる奴の片方からの視線が痛い。


「……」

「いや、まあ分かってるよ?敵同士だしさ」

「先に手を出してきたのはお前らだ」

「だからさっきのはヘキサが勝手に…」

「……アクト、アルマは大丈夫だから」

「…分かったよ」


 しかしまあ、あのクソトカゲを助けたいだとか、アルマさんも随分とお人好しに…いや、茶化すのもやめとくか。本人は至って真剣そうだし。


「はっ、魔族の尻の下に敷かれてんのかよ」

「刻印付与解除」

「ゴボッ!?」

「キッド!?」

「勘違いすんなよ、てめえはアルマの温情で生かしてやってんだ」

「…アクト!」

「アルマ、トビィは兎も角こいつは生かしておく価値ねえだろ。テスタロッサしか利用価値はない」


 ……


「……邪魔だからって消していくの…は良くないよ?」

「…わかったって、悪かったよ」


 アルマがいると若干調子狂うなぁ…

 まあ、もうどうでもいい連中なので無視しとくか。


「なあ、コダマもアルマ?もそっちのヴァリアントも─」

「エルヴァだ」

「失礼、兎も角3人ともこの国に忠義も何も尽くしてないんだろ?だったらさ、部下になれとは言わないけど俺ちゃん達のとこにこない?」

「テス!そいつ、さっきからキッドを散々苦しめてるのよ!」

「わーってるよ。でも、今はそんなこと言ってる暇はない。戦力は多い方がいいしな」


 まあ確かにこの国はどうでもいいが…


「大切な奴がいんなら、そいつらには手を出さねえぜ?」

「んー…断る」

「は?」

「嫌だって、メリット何もねえし」

「勇者合法的にぶっ殺せるぜ?」

「お前わざわざアリの巣に水流し込んで出てきたアリ潰すのか?」


 そもそも連中にはもう用は無い。


「まあ、なんだ。一応キッドだったか?そいつの刻印は傷が完全に治るまでは維持しといてやるからよ」

「待てよ」

「時間の無駄だ」


 椅子から立ち上がるとさっさと宿に戻ろうとアルマの手を引く…ん?アルマさん?なんで立たないの?


「……条件によっては考えても…いい」

「ちょ、ちょちょ。何言ってんの?」

「……トビィを救う方法を知らないと」

「いや、まあそうだけどさぁ…」

「諦める」

「…エルヴァ、それどっちに対して?」


 いや、まあ聞くまでもなく俺を指差してたけど。


「ほら、どうするんだ?俺ちゃんは別に構いやしないよ?」

「……ああ、もう知らねー」


 面倒くさいからいいや。アルマに任せよっと。


 再び座るともういいやと天を仰ぐ。今日もいい天気だ。


「で?条件ってのは?」

「……トビィの体内の魔石の数…と場所を教える」

「…冗談だろ?悪いが死なれちゃ困るんだが?」

「……死なない」

「はぁ…いいか、よく聞け。あのジジイは化け物だ。ドラゴンの肉体を手に入れてからはもう誰にも勝ち目なんか無い」


 ……アルマさーん?なんでこっち見たの?ねえ、なんで?


「……勝てる、アクトが」

「え、結局俺なの?」

「……」

「わかったから、涙目にならないで」


 キッドとルルに鼻で笑われたし。それだけ強いってことでしょ?無理だって。


 それでもアルマは真剣そうにテスタロッサを見ている。

 暫く見つめあってたがテスタロッサが折れたのか肩を落としてわざとらしく溜息をつくと話し出す。


「場所は分からない。だが、6箇所。人体に特殊な魔石を埋め込んで帝国の研究者からあのドラゴンの体を操っている」

「あ?ヘキサってのは生きてんのか?」

「当たり前だろ?今は新しい肉体を作成中だから、直接操作してるが後々ドラゴンも命令を聞く人形になる予定だ」

「……なるほど」

「悪いがこれ以上は知らねえし、知ってても話せねえからな?」

「そんな大事なもん話していいのかよ?お前らの国の戦力削ぐようなもんだぞ?」

「国家反逆罪で最悪打ち首だろうな。んでも、優秀な駒が3つも手に入ったんだし…バレなきゃいいだけだ」


 そう言って懐から羊皮紙を取り出す。


「だが、悪いけど信用は出来ないからな。途中で逃げ出した時用にこれに名前を書け。

 俺らへの不利益な行動をとったら…即座にデスが召喚されるからな?」

「まあ…そんくらいはな」

「あと、アルマ。ワルプルギスを自分に対して発動して契約解除なんて出来ないからな?契約のスクロールに対してはいかなる魔法を発動出来なくなる」


 チラリとアルマを見るが問題ないと言いたげにさらさらと自分の名前を書いてしまう。

 本当に大丈夫なのだろうか?


「よし、じゃあ契約成立だ」


 書き終えたスクロールがテスタロッサが手を叩いたのと同時に半分に別れテスタロッサと俺たちそれぞれの体内に入り込んでしまう。


「それと、ヘキサとの戦闘で死にかけた時には体内のスクロールが反応してヘキサへと伝わる。その時は全力で命乞いでもしろよな?」

「……ん」

「不快」

「ああ、時期に慣れる」

「よかったなぁ、これでお前ら俺の部下って事だろ?こき使ってやるよ。へっ」

「キッド、やめて。そんな奴に近付かないで」


 散々言われた挙句に立ち上がると2人はさっさと行ってしまう。


「明日の明朝。ヘキサは王都を攻めるつもりだ。本当はやめて欲しいんだが…まあ、健闘を祈ってるよ」

「そうかよ」



ーーーーー



 テスタロッサ達が立ち去った後に、薄まったコーヒーを飲んで一息…


「……」

「……」

「え、で、どうすんのこれ?」


 なんかアルマの奴隷契約の時みたくスクロール体内に入ったけど大丈夫なのか?


 しかしアルマは何知らぬ顔で俺とエルヴァに手を向けると魔法を発動させる。

すると体内からスクロールが出てきて青い炎をあげて燃えてしまう。


「…えっ?」

「……ふふっ、契約のスクロールは便利だけ…ど上書きは出来ない」

「知らない?」

「……そんなことも知らない…の?って」

「うん、知らない」

「……アルマは既にアクトと奴隷の主従契約を結んでいる…から、契約のスクロールは効果無い。

 テスタロッサは詰め…が甘い。普通は確認する…けど、アルマ達が手にはいる喜び…で忘れてた」


 うーん…なるほど?つまり二重の契約は出来ないから別に良かったと。

 それどころか重要な情報だけもらって自分らは何も渡さないと。


「バレないのか?」

「……問題ないよ?どうせ殺せるし」

「悪魔かな?」

「……角は生えてるけど、尻尾は無い…」

「あら、首を傾げて可愛い」

「可愛い」

「……むふー」


 ドヤ顔してまたもや可愛い。


 兎も角、問題は1つ無くなったと言うわけか。


「……多分、敵はヘキサだけじゃ無い。おそらくもう1人…いる」

「そうなのか?」

「……ん。トビィは単体での兵器。だから、きっと予備として他にも…いる筈」

「ふむ…」

「……そっちはアルマが足止めする。アクトはトビィをお願い」

「うーん…しかしなぁ魔石の場所がわからないし…」


 闇雲にやっても鱗の鎧を貫通して体内にダメージなど…


「……オーディンなら、刻印付与と千里眼…で行ける」

「ああ、言われてみれば」

「……あとは代わりのが出来れば…」

「代わり?」


 なんのだ?と聞く前に突然アルマが立ち上がると行こうと手を引いてくる。

 代金多めに机の上に置いておいて、エルヴァを連れてアルマについて行く。


 ……自分より年下に手を引かれてされるがままについて行くって普通に考えてヤバいよな。


 まあ、なんかエルヴァが羨ましそうなので代わりに俺が手を繋いでやると普通に引っ掻かれた。何しやがる。


 そうして黙々と歩くアルマに引かれること数分。見覚えのある店に着いた。


「いらっしゃい、嬢ちゃん!」

「……頼んだ3つ目のやつ」

「丁度完成したぜ!いやー、今回もギミックに時間かかったけど…良い出来だぜ?」

「まーた、ヘンテコ頓珍漢武器か…」

「…ろ、ま、ん!」


 いつもの武器屋だった。



ーーーーー



「で?今回はなんだってんだ?」

「まあ、まずはコイツを見てくれ」


 また変なものだろうなと予想はしていたが…オヤジの取り出したのは舐めした皮だった。


「…?」

「コイツにちょいと魔力を注ぐとな」


 ずるりと言うかずりゅりと言うか…取り敢えず集合恐怖症では無いが皮から突然生えてきた鱗を見て普通に気持ち悪いと思った。


「ドラゴンの皮だ」

「あ?」

「少し手を加えるとな、こうやって鱗の生えてくる皮になるんだよ。で、上等な防具の素材になるってわけだ」

「….…見た目は兎も角、普通に防御力…は高い」

「で、これを元に作ったのがコイツだ」


 そう言って奥に一旦戻って数分後、手に持ってやってきたのは無骨な籠手。金属的光沢を持つが、同様にどことなく見覚えのある気が…あ。


「嬢ちゃんの持って来た、ドラゴンの皮と鱗と爪!そいつをふんだんに使った新世代の武器2号ってわけよ!」

「……欲しいッ!」

「…エルヴァ、俺にはさっぱりなんだが」

「同意」

「で、コイツの機能なんだが…取り敢えず裏な」

「帰っていいか?」

「……だめー」


 渋々後を付いていくとアルマが籠手を装着して的に向かって構えた。


「まあ、籠手としても使えるが…仕込みがよくてな」

「……発射!」


 ダンッ!と破砕音がして的が粉々に砕け散る。


「一つ目はさっきの魔力による鱗形成を利用して鱗を飛ばすスケイルバレット!」

「…凄い!」

「……」

「……」

「んで、もう1つ!嬢ちゃん!」

「……ん」


 カシャンと何かスライドする音がして掌底辺りからブレードが飛び出してきた。


「仕込みのブレードだ!どうだ凄えだろ!」

「すぅぅぅ…個別に分けたほうが良くね?」

「ニイちゃん見る目がねえな!玉付いてんのか!?」

「やれ、エルヴァ。なるべく無残にあの頭を噛み砕け」

「ムカデ」

「だーっ!冗談に決まってんだろ!」


 まあ、突っ込むのも面倒だしもう良いや。


「名付けてドラゴンハンド!耐久性は今まで作った中で1番あるぜ!」

「ねえ、素材以外にドラゴン要素皆無なんだけど。せめて爪出せよ」

「無意味」

「カーッ、わかってねえなぁ」

「……アクト、エルヴァ。これは浪漫」

「……」

「……」

「で、そのトンチキ(ロマン)武器でどうすんだ?」

「……なんか悪意感じる」


 気のせいだよ。


「……アクトのエンチャントで炉心石の代わりにする」

「んー?」

「……ん」


 いや、んじゃなくてさ。俺のエンチャントそんなこと出来んの?

 エルヴァから何か面倒なので巻き込まないでくださいって見られてるし。アルマとオヤジは期待の眼差し向けられてるし…どうすんだよこれ…

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