表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/130

祭り騒ぎ



「人が多い…」

「人混みは嫌いですか?ご主人様?」

「やめて、変な趣味の人に見られる」

「もう十分に変な目で見られてるので問題ないかと」


 エルヴァの悪ノリのせいでメイド従えるボンボンみたいになってる。最悪だ。


「着替えろよ」

「面倒なんですよ。服着るのって」

「え、ヴァリアントって裸族なの?」

「下着くらいは着けてますよ。失礼ですね」

「それもう殆ど裸族と同義なのでは?」

「しょうがないじゃないですか。私達は魔物になった時に服とか破けるんですよ」

「ああ、そう…」


 ……ん?


「お前普段魔物になってる時、服破けてなくね?」

「……」

「ああ、気にしてなかったのね」


 まあなんか…異世界にある伸縮自在の服的なやつなんだろう。多分。


 それにしても人が多い。もうそれしか感想が出てこない。

 アルマもラークス君達もプラスアルファもどこだ?


「悪いのですが匂いとかは追えませんからね?私そんなに鼻いい方ではないので」

「わかってるよ。まあ、そのうちアルマが魔力探知して来るだろうし」

「なぜわざわざ相棒の寿命を減らそうとするんですか?人間の屑なのですか?」

「…そんな口悪かったっけ?」

「公私混同しないタイプなので」

「ああ、そう…」


 そういや長い付き合いになるが…まともに話すことはそうそう無いよな。普段いたとしてもアルマが側にいるから意思疎通出来ないし。


「えーと…趣味は?」

「どうしたんですか、急に。頭がよりおかしくなりましたか?」

「話す事がねえんだよ」

「無理に話さなくてもいいですよ。私は貴方よりもアルマと話したいので」

「そういや、アルマが最近はエルヴァが自分の心に正直だって喜んでたぞ」

「…よかったです」


 ……


「なんか食うか?」

「貴方の奢りでなら」

「いいぞ。臨時収入があったからな」

「肉系は今日はやめておきます。あそこのわたあめ?ってのが気になりますね」

「ん?どうかしたのか?」


 今まで普通に食べてたよな?


「昨日、3人ほど殺して来たんで」

「あぁ…」

「人肉って硬くて不味いんですよ。しかも貴族ともなると脂っこいし」

「魔力補給のためだっけか?そういや賢者のアイツ…ハミズとかそんな感じの名前奴の腕を喰いちぎったんだろ?美味しかった?」

「ああ、勇者パーティーの。アレは…そこそこいけましたね」

「多分また生えてるだろうから食ってやるといいよ」

「ええ、ええ。楽しみにに待ってます」


 ヴァリアントにも種類がいるらしくエルヴァ比較的雑食寄りの肉食だとか…他は気になるがエルヴァの村は全滅。あとはミュルメクスの店員さん曰く獣人領近くにもヴァリアントの村があるらしい。


 適当に屋台で買ってエルヴァに渡すと興味深げに見てから食べ始める。

 しかしよかった…聞いたことあるようなものばかりの屋台ばかりで。


「…今まで食べた肉の中で1番美味しかったのは…両親のでした」

「……」

「ははっ、親不孝もいいところですよ。私を庇って亡くなった両親を私が食べていたなんて…」

「それは…」

「だから貴方が嫌いだったんですよ。親が生きているのに嫌ってるの…どんだけ贅沢な野郎なんだと…まあ、でも貴方には貴方の訳があったので…知らずに嫌ってたのは申し訳ないです」


 何も悪くは無いだろうに、なんで謝ってるんだ?


「…この間、王都から帰ってくる時に魔族の遺体運んでもらっただろ?」

「あー…」

「アイツ魔王軍の四天王の1人のウォーデンって言う奴なんだ」

「…貴方は何とでも仲良くなりますね」

「どうも」

「それで?」

「……」


 それから最初に戦った時のこと、その後の王都での戦いと彼の死…


「…兄弟って言ってくれたんだ。こんな俺の事を。実の弟ほっぽって、恩人と勘違いしてよ…」

「…あの、アクト」

「なんだ?」

「別に話を合わせなくてもいいですからね?」

「…ごめん」

「まあ、言いたいことはわかります。俺も家族の大切さを知ったって言いたいのでしょう?」

「お、おう」


 自分でもなんで話したのかはわからないがそういうことにしておこう。


「まあ、貴方の自分語りなど毛ほど興味ないので2度としないでくださいね」

「…すみません」

「はぁ…そんなんで普段からアルマと何話してるんですか?」

「うん?そりゃあ、武器の事とか仕事の事とか…」

「へえ〜」


 なんだよ。


「そういうお前はどうなんだよ?」

「私は…ほら、天気の事とか、暇な日は何をしてるとか男性の前で話せないようなこととか?」

「あんま変わんねえじゃねえか」

「しょうがないじゃないですか。アルマは私達が話してるのを見てるのが楽しいらしいので」

「へぇ〜」

「うわっ、知らなかったんですか?相棒失格ですね」


 ……


「あれ…?もしかしてアルマって俺といても楽しくないのか!?」

「逆に聞きたいんですが、貴方のどこが面白いと思われてるんで?馬鹿みたいですよ」

「うごごご…」

「はぁ…冗談ですよ。女ってのは時にムカデ」

「は?」


 え、何?何かに例えたかったの?


 エルヴァを見ると本人も首を捻っている。

 アルマか?それとも別の魔族?


 辺りを見渡しても特に此方へ敵意を向けて来ている者はいない。どういう事だ?


「血生臭い」

「あ?あー…喧嘩か?」


 よかったムカデ云々だったらわからなかった。


 今度は首を横に振り自分の腹に手を当てて…何?開く?


「殺し合いってことか?」

「当たり」

「いや、普通に話せよ」

「着いてきて」

「ん」


 初日から大変なことになってるな…



ーーーーー



「や、やめ…」

「……」

「あ、あぁぁぁっ!?俺…の体…まっぶだづうう」


 エルヴァに着いて行くと人気の無い公園に着いた。

 祭りのため裏通り側は殆ど人も来なく、特にこの時間は昼時という事もあってかみんな表の屋台を回っている。


「…何者かわかるか?」

「不明です」


 物陰から隠れて見ていると最後の1人であろう冒険者が一目散に逃げて行く。


 …酷いものだ。


 力付くで胴体を捻じ切られた遺体が数個…奴がやったに違いない。


 黒い騎士。最初に思ったのはその見た目の禍々しさからだ。しかしよくよく見ると見覚えがある。

 身長こそ成人男性の物に近しくなってはいるが、所々鱗のようになっていたり、顔の部分がドラゴンのようだったりと…


「エルヴゥはここに隠れてろよ?」

「こくこく」


 自分も急に可愛らしい見た目をした少女に付き纏われて少しだが浮かれていたらしい。


「おい、クソトカゲ」

『…?』

「結局てめえが俺に近づいてきた理由はそれか」

『汝は誰ぞ?何を気安くわしに話しかけておる』


 嗄れた老人の声…否、バレないとでも思ったのだろうか?

 

 ゼウスエンチャントを発動する。赫雷の手は…まだいい、アルマがここに来たら大変だ。


「どうりで胡散臭いと思ったが…その仮面剥ぎ取ってアルマにツラ見せてやるよ」

『ほう…貴様が雷霆か…くくっ…フハハハッ!惰弱な魔力だ。まあ、所詮はカールスマイドの元勇者か』

「あ?」

『弱いという事だよ』


 どういう意味だと質問する前に腹に神速の蹴りが放たれる。

 いつ動いたか、或いは攻撃を行われたかなどと理解したのは壁に激突した後だった。


『なるほど、多少は耐久力がある。まあいい…精々、仮初の平和と祭りを楽しんでいるがいい』

「……」


 それだけ言い残すと何処かへと飛び立ってしまった。


 どうやら手を抜かれたようだ。全然ダメージが来てない。


「アクト、大丈夫ですか!?」

「平気平気。それよりもエルヴァ。鼻は悪かろうが、臭いくらいは憶えただろ?」

「え、ええ…」

「アルマたちが危険だ。あのクソトカゲをどうにかしに行くぞ」


 体についたホコリを払うと肉塊となった冒険者たちの身元を確認する。


「……?コイツら、うちの冒険者じゃねえな」

「他所の街という事で?」

「見覚えがある…気がするが、気のせいか?」

「兎も角アルマが危険な目に遭ってると言うのなら急ぎましょう!」

「ああ、わかってる」


 近くの住人に公園には近づかないでくれとだけ伝えるとアルマを探し始める。

 これだけ人がいれば探すのも一苦労だと思ったが…流石はフードファイターアルマさん。結構な屋台を回ってたようで聞き込みをしてたらすぐに見つかった。


「アルマ!」

「……?アクト?どうしたの?」

「あの、クソトカゲは何処だ!?」

「……ドラゴンなら、そこ」

「…うん?呼んだかい、旦那様ァ!?」


 胸倉を掴むと持っていたたこ焼き的なのを落としたが関係ない。


「てめえ、何を呑気に飯なんぞ食ってんだ?」

「えぇ!?いいじゃないか、僕だって味くらいは感じるのさ!と言うかいきなりなんなんだい!?」

「さっき他所の街の冒険者殺してきた挙句に喧嘩吹っかけてきといて何言ってんだてめえは」

「……アクト、落ち着いて」

「…エルヴァ、匂いは?」

「同じ」


 何をしらばっくれてるのやら…やっぱりドラゴンなんぞが人間の真似をしても根本が違うのだ。


「【武器召喚・神槍】」

「…え?」

「今度はてめえを殺せるんだよッ!」


 破壊のルーンを付与し放り投げたドラゴンに向かって槍を投擲する。


 頭を破壊されりゃ流石に…


 だが、その槍は当たる事なく空中で霧散する。

 アルマがスキルを発動させたようだ。


「……アクト。たしかにドラゴンはアルマ…の両足を消し炭にしたり、大勢の人…を殺した。けど、それは生きる為…」

「はは、いいなぁ。だったらさっき殺した連中はなんだ?思い出したぞ。ありゃ昼間の偽物の仲間だろ?だったらてめえが私怨で殺したんだろうが!」

「な、なんのことだい!?さっきから僕にはチンプンカンプンで!」

 

 別にあの連中がどうなろうが関係ないし、興味も湧かない。だが、アルマたちの側にコイツはいるのだ。だったら話は別だ。


「【エンチャント・夢げ…】」


 新たに発動しようとした時だった。頬をアルマに叩かれた。


「……アクト、おかしいよ」

「…何がだよ」

「……アクトは敵に容赦ないけど…話も聞かずにそんなことしない」

「…もういい、勝手にしろ」

「…アクト!」

「エルヴァ。そいつよく見張っとけよ。いつ引き千切られるかわかんねえぞ?」

「…ムカデ」


 ……


 なんだよアルマ。俺の事よりもそんなドラゴンの事信用すんのかよ。


 こうして祭り初日。またしてもアルマと喧嘩をしてしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ