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2人の関係 その1

本当にすみませんでした。言い訳させてもらうと、ゴールデンウィーク中に実家の手伝いのため執筆の時間が取れなく、皆様をお待たせさせてしまいました。

今後は投稿ペースを戻す所存なので今後ともよろしくお願いします。

 暫く休暇なんて聞いた時には何事かと思ったが、どうやら療養に行っていたらしい。

 

 2人が帰ってきたらアルマから温泉まんじゅうと言う菓子を貰った。

 クララが随分とご執心していて珍しく女の子らしいななんて思えたつい最近の記憶だ。


 それに旅先でもドラゴンの討伐の貢献なんて偉業を成し遂げてきた。相変わらずアクト達は凄い。


 更にガルドさんじゃない冒険者組合長から直々にランク6への昇進が推薦されたらしいがまたそれを蹴っていた。

 今度の理由は不相応じゃないなんて言ってたらしいけどそこまで来ると謙虚なんて言葉じゃなくて嫌味に聴こえてくるよと言いたい。


 いつも通り朝はクララと並んでアクトとアルマの見える席に座り2人を観察している。

 別に人間観察が趣味ってわけじゃないけどあたふたしてるのを見てるのは少し楽しい。


「いよっ、御大将!今度おごらせてくれよな!」

「ちょ、やめてくれよ」

「流石っすアクト先輩!」

「出世頭ー!」

「やめ、やめろぉぉ!」

「アルマちゃんも凄い貢献して、一緒に昇進出来たんでしょ?よかったの?」

「……ん。アクトと一緒が…いい」

「ああん!もうなんて可愛いのかしら!お姉さん興奮しちゃうわ!」

「アルマの角、触るときっとご利益あるよね」

「ねー」

「……ご飯、食べられない…」


 相変わらず賑やかだ。


「アクト、ランク6と7の連中から結構な数の申請書来てるぞ」

「それなんすか?ガルドさん」

「あー…パーティー要請だ。組まねえかって話だ」

「パスで」

「はぁー…わかったよ」

「やっぱりアルマと2人きりがいいのかー?」

「いや、そう言う事じゃ…」

「お暑いねえー!」


 面倒な絡みになってきてる。


「チッ…おい、お前ら!アクト達が迷惑してんだろ!飯くらい食わせてやれ!」

「うおっ、びっくりした。野郎ども、解散だー!クララちゃんが仕事仲間とられて嫉妬してるぞ!」

「お前にはデンがいるだろ〜!」

「バッ、私とデンはそんなんじゃねえよ!なあ、デン!」

「ははは、そうだね。取り敢えず行儀悪いから机に足乗っけるのはやめようね」


 いつも通りだとみんな思ってる。でも僕はどうしても気になる事があった。


 帰ってきてから妙にアクトとアルマの距離が遠い。

 いや、物理的にはいつも通り近いけど何というか…精神的に?心が読めるわけじゃないけど、前と比べて少し遠い。そんな風に思えた。



ーーーーー



「喧嘩?なんだ、いつもの事じゃないか」

「あー…まあ」


 久しぶりに一緒に仕事どう?なんて声をかけると見事に男女で別れた。

 現在はランク2のドレッドスパイクと呼ばれる体長5メートルを超える巨大なハリネズミの様な魔物を捕獲しに来ている。

 因みに彼女たちは今日は人手が足りないとランク1の採取クエストだ。羨ましい。


 まあ、男同士の方が話しやすいこともあるしいいか。


「ちょっとな、色々あったんだよ」

「その、色々が聞きたいんだけどな」


 一ヶ月程度の付き合いだがしょっちゅう喧嘩して直ぐ仲直りしての繰り返しだ。喧嘩するほど仲がいいってのを文字通り体現してる。


「…本心を知られたんだ」

「え?何かやましいことでも?」

「いや、普通に」


 曰く、アルマの恩人である騎士様と呼ばれる人とアルマを会わせてあげたい。そこまでは別にいいと思う。でも、その後が問題だ。


「なんでそこからアルマの側から離れるのか僕には理解できないのだけど…」

「間引き」

「え?」

「世の中には綺麗なものだけ残ればいい」

「あれっ、君ってそんな過激思想だったっけ?」

「いや、汚い物って俺だよ。産まれも育ちも精神構造も家庭環境も全部ゴミ」


 そこまで卑下しなくても…


「それにアルマと別れた後もやりたい事が決まったんだ。

 楽しいな。何か目標があって生きるってのは」

「前世って言い方はおかしいかもしれないけど、君は前の世界では目標が無かったの?」

「無いよ。まあ、仮にあったとしても突然の死だったし」

「そっか…」


 異世界から来る人達は大抵「とらっく」と呼ばれる鉄の肉体で両眼が光る獣に殺されてこちらに来るらしい。

 魔物など比にならない素早い動きで昼夜問わず活動する随分と活発だと聞いている。

 たまに「でんしゃ」と呼ばれる巨大でとてつもなく長い鉄の竜にも殺されて来る人もいるようだが…


 思い当たる節としてはトラロックと呼ばれる雨を操る魔物がいるが、それの仲間だと思われる「とらっく」はアクトの世界で信仰されている魔物か或いは神なのか?「とらっく」が止まった場所に賜物を与えるらしいが、やはりそれなりの対価は必要という事で生贄になって代わりにアクト達はこちらの世界に来たのか?

 異界文化に興味はあるがそこら辺は生きてはいるが死因なので聞かないでおこうと思う。


「デン?おい、デン。どうした?」

「ん、いやいやごめん。ちょっと考え事していた」

「大丈夫か?」

「いや、僕が言いたいよ。君なんか少しやつれてるよ?」

「え、まじでぇー?」


 変なテンションになってるし…まあ、僕がどうこう言った所でどうにも出来ないし、下手に助言なんて出来もしない。

 我ながら冷たい奴だなと自覚するが、彼らの問題は時間が解決してくれることを願おう。


「…で、どうする?」

「どう。と言われても、今回は討伐じゃなくて捕獲だよ?」


 アクトが指差したのは針山のように丸まって寝ているドレッドスパイク。

 針の部分もそうだがとにかく背中が硬く今の僕の矢では肉に刺さらない。アクトが旅先で会ってきた弓矢の勇者の様な特殊スキルがあればいいのだが…


 アクトも俺がやろうかと言っていたが奴らは身の危険を感じるとあの針を飛ばしてくる。しかもかなりのスピードでだ。タチが悪い。


「やっぱり次のフェスティバルで転職しようかな…」

「フェスティバル?なにかの祭りか?」

「うん。1年の健康と安寧をありがとうって1週間の間神様の為に祭りを開くんだよ」

「なるほど。感謝祭みたいなものか」

「うん。それでね、その時だけは冒険者的な方の職業が変えられるってわけさ。あ、勿論今現在の職業と似た職種か上位職とかにしか無理だけどね。剣士が急に魔法使いにはなれないみたいな」

「へえー…しかしややこしいよな」

「ねー。僕の住んでいた村にも大工なのに魔法使いって人いたから」


 厳密に言えば冒険者たちの役職はジョブなどと呼ばれているらしいが浸透しなかったのか、今だに職業と呼ばれている方が多い。


 多分と言うか冒険者って結構大雑把な人が多いからなぁ…そこら変適当なんだろう。


 ともかくどうしようもない。冒険者のランクが上がるとたしかに討伐する魔物の強さも強くなっていくが同時にこんな感じで面倒なやつも増えていくのだ。


「なんか書いてない?」

「威嚇時に針を飛ばす…あとは…餌付けの仕方かな」

「飼い慣らすのか?」

「一応針は良質な素材として使えるからね。抜け落ちるの拾うだけでもかなりの量の武器が作れると思うよ?だから捕獲してくれってクエストなんだろうし」


 とは言っても警戒心が強い為か、まず人間の渡した餌なんて食うはずもない。


「デンが針の届かないくらい遠くまで行ってくれれば俺が電気ショックで気絶されることも出来るぜ?

 一応全身電気化出来るし、その状態なら針のダメージもくらわねえだろうし」

「うーん…どうなんだろう?」

「考え続けても無駄だろ?」

「うーん…まあね」


 アクトは茂みから出ると僕の前に立つ。

 スタートはほぼ一緒だったはずなのにその背中は妙に逞しく、僕の何倍も強そうだと感じた。実際強いが。


「後ろ離れないでくれよ。焼き漏れがあったら俺が弾く。隙を見て麻酔矢を頼む」

「わかった」


 どうなるかなんて後でいい。結局僕も冒険者だ。そこら辺は適当に考えよう。

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