一悶着
人垣をかき分けて喧嘩してる連中を見るとやはりというか見覚えのある奴らだった。
エルヴァがアルマを守ってる?
それにしても相手方、女多いな。
「おや、あの方達は…」
「知り合いなんですか?」
「ええ、まあ…」
もしや愛人だとか言うのではないのだろうか?見た目に関わらず案外ヤンチャなのかこのおじいさん。
「邪魔しないでよね!ソイツは魔族よ!世界の敵よ!生きてちゃいけないのよ!」
「ムカデを刺し殺す」
「……エルヴァ、大丈夫だから…そんな事言っちゃだめ」
「落ち着いてミクリア!」
「落ち着いてられるわけないでしょ!?大体なんでこんなところに魔族なんているのよ!」
……
「アルマさん、どしたんですか、これ?」
「……あ、アクト。あの人が急に…」
「何よ貴方、話に入ってこないでくれる?
それと急に?はっ、何言ってんのよ。貴方たちが今まで何やってきたのかわかってるわけ?貴方も、ここにいる魔族もみんなみんな殺してやるんだから」
「う、うーん…エルヴァとはまた違ったヤバさを感じる女だ」
「ムカデは皆殺し」
「……流石の私もヒスは起こさない…って」
「誰がヒス女よ!」
とにかく関わっちゃいけない類の女ってのはわかる。
隣のメガネかけてる女性は平謝りしてるし奥の子たちはいつもの事なのか知らんぷりしてるしで収集も付きそうにない。
「ムカデは殺す」
「……いい魔族と悪い魔族の…区別もつかないのか…って」
「はぁ?つくわけないでしょ!魔族はみんな悪者よ!」
「…あのー、ラケルさん?知り合いなんですよね、止めてもらってもいいですか?」
「いやはや、どうなるものかと」
人混みに紛れてないでどうにかしてほしい。
「何よお父様、邪魔するってわけ?」
「ははは、違うよ。ただ話し合いも必要だよ?」
あんたがヒス女の親父かよ!どんな教育してんだって言いたくなるわ。
「いや、本当に申し訳ない。うちのじゃじゃ馬娘が…」
「死ね!魔族っ!」
ラケルさんを無視して剣投げつけてきやがった。アルマが無事ならともかく、危害加えようものなら上等だ。目に物見せてやる。
剣はエルヴァが叩き落としたので安心してゼウスエンチャントをかける。
王様の娘だが何だか知らないが口だけで言ってるならともかく行動に移すと言うなら…
全身に電気が駆け巡り一瞬閃光が走ると同時にヒス女の目の前に移動し顔面を蹴り飛ばす。女だからと言って容赦するつもりは微塵もない。
アルマに危害を加えるなら全員敵だ。
しかし女の顔面を蹴る前に蹴りが止まる。
男が1人腕を交差させて受け止めたのだ。
「危ないないじゃないか!普通女性の顔面を蹴ろうとするか?しかも僕の大切な人に…」
「すっこんでろ邪魔だ」
「はぁ?誰が…」
言っても聞かないようなので放電した。まあ、死なない程度には手加減したけど。
「あびびばばばびば!!」
ぷしゅうと音を立てて倒れてしまった。
「…あー、アクト君?」
「ふぅ…なんでしょうか?」
「その子…うちの勇者なんですよ…」
「へっ?」
どうやらやってしまったようだ。




