老人 ラケル
アルマたちが出て行ってしばらく経った頃、再び老人が口を開いた。
「どう言ったご関係なんですか?」
「んー…相棒?まあ、仕事仲間です」
「なるほど。しかし珍しいですね」
「魔族と人間のコンビは?」
「それもそうなんですが大抵呼び出された転生者はなんというか…もっと節操ないものなのかと…」
「……あの、失礼ですが言ってる意味が分からなくて」
呼び出した?どう言う事だ?
「あ、失礼しました。そう言えば名乗ってませんでしたね。
私、セルンと言う国の王をやっておりまして…」
「…へ?」
王…様…?この好々爺然としたおじいちゃんが?
「いやはや、最近召喚した勇者殿が仲間を集めたいと桃源郷へ来たのですが…」
「あのそれ、どう考えても女目当てですよね」
「あっ、やっぱりそうですか?」
「いや、俺もその人じゃないんでなんとも言えませんけど…あの…王様なんで?」
「はは、まあ小国ですよ」
叫びたい気持ちを飲み込みながら空を見上げる。
絶対何か変な事に巻き込まれそう。
俺はもう面倒くさい、考えなくていいやと目を瞑り時間が経つのを待っていた。
ーーーーー
おじいちゃん改めラケルさんが言うにはこの世界結構勇者とか召喚されてるらしい。しかも国ごとに。
で、魔王が現れると対魔王連盟なる組織に属している国が集まり会議、そして国ごとに勇者召喚が行われるそうな。
それと例外を除けば大体100年周期で次の魔王が生まれるらしい。
「その中でもカールマイド王国の勇者達にはは失礼な言い方になりますが質と量が違うのですよ」
「は、はぁ…」
「それに【禁域の地下神殿】。あれが大きい。何せ隣国の勇者が入るにはカールマイドに多額の金銭を払わねばいけないのですからね」
「え、でも国ごとに召喚されてるのですよね?その割には他の勇者の話を聞かないのですが…」
一応こっちに来て1年以上経つ。それなのに聞くのはあの連中の話ばかりだ。
「そりゃ死にますからね」
「へ?」
「カールマイドは立地的に最高なんですよ。
程よいレベルのモンスター、優秀な魔道士、あとたしか…騎士と魔道士育成の学園機関があるので剣術や魔法指導もいい…とにかく死ぬ確率が低い」
たしかに今まで当たり前に過ごしてきたけど魔物なんて言ってしまえば化け物だ。
それに格下…ってわけでもないけどたしかに負けない相手ではあったよな。
「ですが他は違います。
明らかに格上な魔物との戦闘はいくら異世界の勇者と言えど…」
「…なるほど」
「それにしたってカールマイドは勇者の数が多いのですよ。
1度の召喚で多くて7〜8人近く召喚されることもあるそうです」
「へえ」
時間になったので浴衣に着替え街へと繰り出す。
と言うかこの人どこまで付いてくるのだろうか?
「我が国も今回3人の召喚に成功しました…が」
「亡くなられたので?」
「はい…既に2人…残りは1人です。
【禁域の地下神殿】に行き天上の武器を手に入れることも考えたのですが…やはりと言うかレベルが足りなく…」
「なるほど」
正直もう関係のない話ではあるが途中で切ってアルマ達を探しにいくのも面倒そうなので話半分に街を周る。
しかしあれだな…古き良き日本の町並みみたいだ。
落ち着くなぁと話の止まらないラケルさんを横目に街並みを見ていると何処かから怒鳴り声のようなものが聞こえてくる。
なんだよ。こういう所でぐらい静かにしてくれねえのかな…
「おや、喧嘩ですかね?行ってみますか?」
「あっ、俺は連れを探しに─」
「ムカデの殴殺ッ!」
「さっきから一体何なのよ、あなた!」
……お前かーい。
「行きましょう」
「おや?お連れ様はよろしいので?」
「あんな珍しい鳴き声上げるのうちにしかいないので」




