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ベルサーの組合長

 組合の奥、場所的に考えれば多分組合長の部屋なのだろう。

 中に入るとメガネをかけた壮年の男性が1人座っている。


「…それがコダマ アクトで間違い無いのか?」

「はい、冒険者カードを確認しましたがたしかに」

「へえ、わかった。下がっていいよ」


 なんか嫌な感じだな。アルマにも明確に敵意を持ってる感じだし。


「まあ、とりあえず座りなよ。立ち話で済ませるほど短く話すつもりもないし」

「は、はぁ…」

「……失礼します」


 椅子に座るとその男は値踏みでもするかのようにじろじろ見てきてため息をつく。なに?言いたい事があるならはっきり言って欲しいんだが。


「君、あの脳筋のとこの組合員なんでしょ?」

「えーと…それってガルドさんのことで?」

「話の筋的にわかんないの?それとも一々言わないと理解できないわけ?」

「…すみません」

「それと、ユースの件はね別にいいよ。話も聞かずに攻撃しようとしたあれが全面的に悪いし」

「はぁ…」


 その間の抜けた返事に対してかは知らないがバンッと机を叩いて睨みつけてくる。


「ランク0からランク5への昇進なんで蹴ったの?」

「いや、不相応と言いますか…」

「ゴブリンロードを1人で討伐しといて?はは、今の言葉をうちの組合員どもに聞かせてやりたいよ」

「はは…」

「チッ…あれはたしかにランク5から戦えるって決まりではあるけど別に1人で勝てるような柔な相手じゃない。

 しかも突拍子もねえんだよゴブリンロードの魔物奴隷って」

「いや、本当の事で…」

「お前に意見なんて求めてない」


 どれだけガルドさんが寛大かがわかるよ。俺絶対あの人に一生着いてく。


「どんな理由があろうとお前のそのくだらない意地でまた大勢の人間が傷付くだろうよ。

 1人でも多くの人間を助けたいとか思わないわけ?異世界の元勇者様は」

「…」

「ランク4から冒険者は特に減ってくるんだ。それだけ危険だからな。で、何?お前はそこの魔族如きと毎日逢引したいからと昇進を断って…あのカスもお前もそこのゴミも本当に無能だよ」

「……アクトは無能…じゃない」

「あ?」

「……私を助けてくれた」

「喋んな魔物もどきが。大体あの気色悪いヴァリアントだけでも吐き気がすんのになんで僕の組合にお前みたいなクソ種族いれなきゃなんないんだよ。

 やっぱだめだ、ユースの件も許さない。ったく、あの場でさっさとこんなゴミ処分しとけよ」


 そりゃそうだ。あの街が寛大なだけで普通敵だよ。自分らの国を攻めてくる奴らなんて…だが、言われっぱなしもシャクだ。


 大体なんだよ偉そうに。先に手を出そうてしたのはそっちだろうが。なんで全面的にこっちが悪くなってきてんだよ。


「お言葉ですが──」

「クソゴミが!」


 ダァンッと部屋のドアを蹴破り件の冒険者…ユースが部屋に入ってくると座ってたアルマを斬りつけようと剣を振る。

 すんでのところでアルマが蛇腹剣で受け止めるが体勢も悪くだんだんと押されていく。


「てめえ!何しやがる!」

「ユース、まだ話途中だ。処分するな」

「…チッ、はいはいボスの仰せのままに」


 治安悪すぎんだろこの街。


「おい、コダマ。ユースと戦え」

「は?何言って…」

「勝ちゃいい、そのまんま2度とこの街に近づくな。だが、負けたらそのゴミもあの人間もどきも処分されるか…ガルドのとこ辞めてうちの組合員になれ。そうすりゃゴミの命も助けてやるって考えてやるよ」


 とことんクソ野郎だな。折角ここ最近は楽しく過ごしてたのに最低の気分だ。


「……アクト」

「心配するなって、大丈夫だから」

「ケッ、気色悪い。さっさと処分しろよ」


 休暇に来たのにどうしてこんなことに…

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