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這いつくばる命は雷光に

すみません。次から少し更新ペースが狂います。

 死にたくない。ただひたすらにそれだけ考えていた。

 それでも冷たくなってきた体が、腕先から溢れ出る命の液体が、死を近づけてきた。


 バカにしやがって…クソ。何か手はないのか。


 時間なんてない。思考を纏めたいのに全身の痛みと悔しさからかゲルとアスの言葉が頭から離れない。


 何が体が武器だ…武器?武器ねえ…


 一か八かだった。手が無くても使えるのかと。

 元より他の魔法付与師と会ったことないのでわからないが、人体への魔法付与。やったと聞いたこともないので人体に害があるのだろう。それでも何もせず死ぬよりかはマシだ。

 

 何とか肘を動かしてスキルを発動させる。


 死と再生…死んだら地獄行きだな…


「───…」


 スキルは発動した。しかしその瞬間、今まで以上の激痛で声にならない声を上げてしまう。


 何だこれ、クソ痛え。


 本当に死んでしまうのかもしれない。やがて痛みが最高潮に達した頃、指先に感覚が戻ってくる。

 それは次第に全身に伝わりやがて視界すらも…


「うわぁ…」


 今しがた腹の部分が再生されていってるのだが焼けた腹の皮と肉が地面に腐り落ち、新たに臓器、肉、皮と作られていく。


「…成功なのか?」


 そう思った矢先に体から力が抜けて立っていられなくなる。


 この感覚、前もどこかで…


 半ば無意識にステータスウィンドウを開くとやっぱりそうだMPの殆どが消費されていた。

 要するにあれだ、MP不足による身体能力の低下。


 前にアイツらといた時も何度か経験している。無駄にMPがあるんだから魔力パックとして役に立てと言われた。

 そのせいで何度も枯渇して動けなくなった。


「肉体を構成させた時にその人間のMPを使うのか…?」


 何にせよ2度と使いたくはない。


「…行かないと」


 無理にでも立ち上がりふらふらと教会跡地に向かう。


 だが、どうする?武器もないしMPが無く体もロクに動かせない。

 考えなしに突っ込んだところでまた死にかけるところか死んでしまう。


 どうすればいい…アルマを助けるためなら何だって捨てられる。多分彼女のことが大切だから。具体的にどこがとかはわからないが放っておけない。


 …ああ、そうだ。あるじゃないか。この先消費するだけで無駄にあるやつ。それを対価にMPを継続的に回復もできるし。


 MPが増え途端に体から元気が盛り上がってくる。

 まあ、そうだな…もう迷う必要もないか。


「ん…?誰だお前?

 招待された貴族…ってわけでもなさそうだな?そんな格好してるし」

「いやー、ははは。招待状爆発で燃えちまって」

「は?おい、お前──」


 そう言えば体にエンチャントするとそれに応じて一つスキルが使えるようになっていた。


「んっんー、エンチャントの名前覚えておかないとな」


 地面から生えてきた無数の死神の手に捕まり冥府へと見張りが引き摺り込まれていく。


「あっ、服頂戴」


 流石に前衛的なファッション過ぎるので着替える。

 

 このパーカー気に入ってたんだけどなぁ…


 いそいそと着替えを済ませると別のエンチャントを体に付与する。


 絶対負けたくない。

 それに、あの子を助けるためにならどれだけの外道にも落ちよう。どんな醜態を晒そうが進み続けよう。もう決めた。


 イメージはすでに固まっている。


「【エンチャント・夢幻】」


 もうひとつ分かったことはエンチャントをかける場所だ。

 体全体にと言うよりかは左胸…心臓にだ。

 

 再び襲いくる激痛と、手足に縄をかけられ4方向に引っ張られるような感覚がして…


「──ゼウス」


 輝きは胸の内に吸い込まれ、全能の雷神の名を冠するエンチャントがかけられた。


 それ相応に代償もあり、一挙手一投足でMPを消費し続け。MPが無くなれば寿命という薪を焚べ続ける。ガリガリと命の蝋燭が削られていくのがわかる。

 エンチャントを解除するその時まで己が身を神と同一にまで高める。


 ゆっくりと扉を開け不快なゴミ溜めへと入る。


「じ、爺や!おでのあれ、おでの!」


 拍手喝采の中、不快な声に思わず視線を向けると立ち上がり何か叫んでるものがいた。


 壇上にはアルマの入った檻がある。

 ああ、なるほど。


「お前がアルマを買ったのか?」


 まあ、とりあえず最初はこいつだ。逃げた連中もいずれ見つけ出して皆殺しにしてやる。


 汚い唾を撒き散らす豚の獣人に痺れを切らして攻撃を行う。


 次はこっちの番だ。

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