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都合よき世界


「あったか?」

「……ない」

「だよなぁ…」


 王城の一室にはあらゆる本が置いてある部屋があり、まあ言ってしまえば図書館のような場所でここ数日は俺とアルマ、2人して並んでとある物について調べている。


「エリクサーって…不死の妙薬って俺の方だと言われてたけど…こっちでも似たようなものなのかね…」

「……こっちではどんな傷や病気…も癒す万能薬」

「じゃあ、認識としては似たようなものか…」

「……ん」


 エルヴァの治療の為にと先ずはエリクサーの作成方法など無いか探し、さっぱりわからない錬金術の本を読み終えて次はダンジョン?とかいう人工物から出土するという話なのでそこら辺を調べている。


 …しかし、あの巨人もなんだってアルマに渡してきたんだ?


 それは巨人の心臓部に入っていたとアルマが言っていた。奇妙な箱の様な見た目にいくつもの管が付いていた。そして中にはエリクサーを薄めたハーフエリクサーが入っており、どうやら何ちゃら兵器が死にかけた際に復活させる装置だったらしい。

 その装置のお陰でエルヴァは辛うじて生きている。まあ、どこから聞いてたのかは知らないがなんかいきなり貴族連中が入ってきてそれを寄越せとか言い始めたのはびっくりしたが…びっくりしすぎて全員窓から放り投げて城の庭に赤い花が咲いたけど。


「……やっぱり無い」

「うーん…」

「……そもそもエリクサーって、古代の遺跡…とかからも見つかるから製造方法も…現代では解明出来てない」

「マジか」

「……普通は売られない」


 やはり最終手段として持ってそうな奴を襲うというのも考えものだな。


「……」

「裏ルート…にも無いよなぁ…」

「……ワルプルギスで治せたら良かったのに…」

「そうだなぁ…」


 因みに、エルヴァの傷は呪いとかでは無く作用?みたいなのらしくワルプルギスでも取り除けないらしい。


「……でも1番はアクトの血を入れた事…が怖い」

「まあ…こっちには馴染み無いけど俺の世界だと輸血とかは普通にあったから。ヤギの血入れるよりかはまだ…な?それに安心してくれ、俺も健康だけは取り柄だ」

「……違う。あのユーリ?とかいう医者…が信用できない」


 そこはもうどうしようもない…

 まあ、いきなり血が足りないのでとか言われて鑑定魔法?とかいうので血を眺められて貰いますねとか言われたら疑うが…というか本当に魔法便利だな。


「……アクト、エルヴァ大丈夫だよね?」

「……」


 大丈夫って言い切れない。何せいつ容態が悪くなってそのまんま…などとなるかはわからないからだ。


「取り敢えず戻るか」

「……ん」


 今日も収穫は無し。憂鬱な1日になってしまった。



ーーーーー



「おや〜?おやおや〜?誰かと思えば女の影に隠れる無能じゃ無いか?まだ生きてたのか」

「ああ、久しぶり。元気そうだな」


 無論、城の中なので勇者どももいるが…正直この間ので1年分の借りは返したしいつまでもネチネチとしていたくは無いので普通に接してるが…クロード達の方は気に食わない様だ。


「城の中に魔族を連れ込むのやめてもらえる?空気が悪くなるの」

「…ああ、それに犯罪者もだな」

「聞いたわ。貴族の方々を大勢殺したって」

「うーん…そんな事したっけ?」

「……さぁ?」


 お前らの様に暇でも無いのだが…まあ、飽きもせずに毎日突っかかってくる物だな。呆れを通り越して最早、精神的な病気とかなのではとか思う。


「ふざけてるのか?それとも、その魔族が側に居るから僕らに勝てるとでも?はっ、怖くて殺し屋に自分に化けてもらって僕らに勝てたのがそんなに嬉しいのか?」


 想像力が豊かな小学生かな?


「…腰抜けめ言い返しもしてこないのか?」

「聞いて…は?」


 生憎と馬鹿どもに付き合ってる位なら何もできなくともエルヴァの側にいた方がいい。最悪の場合…それも考えないといけないのだから。


「てめえ、無視してんじゃねえよ無能!」


 奴らの為に消費する時間など持ち合わせてなどいない。



ーーーーー



「あっ、コダマさん。エルヴァさんの容体は安定してますよ」

「ああ、そう。変な事してないよな?」

「ま、まさか!」


 病室?医務室?兎も角部屋に入ると全身包帯だらけで辛そうに呼吸をするエルヴァと少しでも傷が良くなる様にと無駄に回復魔法をかけているユーリがいた。

 アルマは部屋に入るなりエルヴァの近くに座り手を握る。そっとしておくとしよう。


「クソトカゲは?」

「あっ、トビィさんなら…」

「ここさ」


 …何を呑気にコーヒー飲んでるんだか


「僕にだってブレイクタイムは必要さ。何せ本当の意味で24時間エルヴァと彼女を見ているからね」

「で?特に変わったこととかは?」

「無いさ。彼女が昨日と比べて高い頻度で回復魔法をかけていることから多少の焦りを感じるくらいだね」

「ふむ…ああ、関係ない人間が入ってきたら」

「勿論さ。皮を剥いで捨てておくよ」

「まあ、殺し方は別にとやかく言わねえが…」


 窓の下を覗くと新しい死体が幾つかあった。


「…この国の人間は馬鹿なのか?」

「さあね?だが、自分は別、自分は特別なんて万能感に浸って入ってきたり、或いは城の中に相応しくないとか言って兵士が突っ込んできたりはしたけど…まあ、アレだよ。学ばないものだよ。当事者にならなければね」

「その当事者は全員下で寝てるけどな」

「ははっ。まあ、来世に活かしてもらおうじゃないか」


 けらけらと腹を抱えて笑うトビィを横目にエルヴァを見る。

 生憎と医療知識なんて物は全く無いが…それでも昨日よりも呼吸が荒くなっていることくらいはわかる。


「早く…どうにかしねえとな」

「まあ、このままだと無理だろうね。魔法によるダメージじゃ無い。今はその後の言うなれば毒によってエルヴァは死にかけているからね」

「どうにかできねえか?」

「それこそ、彼の言ってた通りエリクサーか、そのヴァリアントの集落とやらに賭けるしかないね。後者に関しては未知すぎておすすめしないけど」


 ……


「…それにおそらくだけど魔眼は手を抜いていた…いや、抜こうとしていたのだろうね。じゃないとエルヴァは今頃死んでいるはずだ。まあ、不完全な魔眼の発動の結果…彼女の体を蝕む毒の様になったのは否めないけどね」

「ふむ…」

「まあ、理解しなくてもいいさ。何せこの世界の人間ですら魔眼という物はよくわかっていないからね」


 魔眼…曰く魔力を持つ瞳や或いは魔族の持つ魔力を見ることの出来る瞳…兎も角、明確にこれというのが無いのだ。


「まっ、パンと言われて柔らかな主食用のパンか冒険者御用達の硬い黒パンかはたまたそれ以外を思い描くか…その程度のものさ」

「なんだそりゃ?つーか、その割にはとんでもねえ魔眼じゃねえかよ」

「まあね」


 しかしどうしたものか…


 結局、何も進展がないまま無駄に時間だけが進んでいく。一応ゼタールには連絡したら、やれる事はやると言っていたがどうなるかわからない。


「エリクサーなー…」

「……貴族襲う?」

「それは最後の手段だ…いや、もう手っ取り早くそれもありだな」

「いいね。なら僕も勿論手伝うよ」

「…国を敵に回すつもりですか?」

「逆に聞きたいんだけど、外の惨状見て今更許されるとでも?それにこの国にドラゴン止められる戦力あんのか?」

「それは…」


 そもそも俺のようなスキル以外何もできない能無し相手に手こずるような連中である。勝てる通りなんてない。


「「「うーん…」」」


 三者三様に頭を捻り考えてはみるが…やはり思いつかないものだな。


「おーい、失礼するよー」

「…クソトカゲ、殺れ」

「了解したよ」


 聞きたくもない声が聞こえた瞬間、何の躊躇も躊躇いもなくトビィに扉を開けた人物を撃たせた…が、どう言う訳か鱗弾は当たらずに逸れて城の壁を砕くだけになった。


「手荒い歓迎だね。コダマ」

「何のようですか?メルカさん?」


 いつものように何か一物隠してそうな笑みを浮かべてメルカは何事も無いかのように医務室に入ってくる。


「君らにちょっと良い事教えにきたんだ」


 お前の良い事なんて聞きたくねえよと言いたかったが、少しでもエルヴァを救うためのヒントになるかもしれないと黙って聞く事にした。


「先ずね…君にお客さんが見えてるんだ。とは言っても…客ってよりかは、まあ、うん…」

「…?」

「兎に角来てくれると助かるかな」

「チッ…わかりましたよ」

「ははは、露骨に嫌そうだねぇ」

「……」


 トビィとアルマに目配せしてメルカに付いて行く。エルヴァの事は2人に任せておこう。


 しばらくメルカについていくと大きな扉の前につく。


「…ここ、どこかわかる?」

「口先だけの馬鹿王のいる所だろ?」

「うーん…不敬!でも、今だけは許すよ」

「あっそ」


 別にあんな野郎…いや、今はエルヴァの延命してもらってる立場だ。多少は敬っても…いや、敬う所ねえな。


 そして兵士によって開けられた扉の先には件の駄王とは別に…幾人かの人物がいる。


 …見たこともない服だな。どこぞの民族か?それに…


 服装もそうだが、それ以上に目立つのは彼らの見た目。1人は狼のような顔をしており、尻尾も生えている。なんなら狼がそのまんま人型にでもなったような男。もう1人は顔は人だが頭部に生える獣の耳、そして尻尾の生えた女性。最後の1人は恐らく何らかの鳥類なのだろう、飛行時のトビィの様に背中から生えた大きな翼と尾羽。顔は…鳥っぽいのか?よくわからないが多分女。


「ふん、やっと来たか。劣等種族」

「ウォルフ。仮にも王の前でよ?口に気を付けなさい」

「なんだ、フォルカ。いつからお前は王族に口出しできる様になった?」


 ウォルフと呼ばれた狼面が苛立たしげに鳥人に言葉をぶつける。


「…獣人が俺に何の用だよ?」

「汚らしい口で我らの名を口に出すな」

「ウォルフ、話にならないわ。少し黙ってて」

「…チッ。だから来たくなかったんだよ」

「はぁ…お初にお目に掛かります、雷霆殿。私は獣国ビストルアの魔道獣士、ファルカと言います。どうかお見知り置きを」

「その呼び方やめてもらいます?」


 不貞腐れたかの様にウォルフと呼ばれる男がそっぽ向いたのを確認するや否や、スカートの裾をつまみ上げ恭しげに獣人の女性…フォルカがお辞儀をしてくる。

 なんでも良いがさっさと本題に入ってもらいたい。


「失礼。さて、先ずはこちらの品をお受け取りください。我が獣神皇帝からのささやかな品です」

「……」


 どう言うことだよとメルカを見るが肩を竦める。つれてきた本人も知らなかったらしい。なんなら玉座で座ってる王も自分が置いてけぼりに話が進んでいて唖然としてる。

 そうして渡された木箱を訝しげに見ているとフォルカが優しげに笑みを浮かべてくる。


 …開けろってことだよな?


 爆発でもするのではないかと恐る恐る開けてみると…薄水色に発光するポーションが入っていた。


「お使いください」

「え、俺が?」

「ヴァリアントにです」

「…は?」

「はい、先日我が国で発見されたエリクサーです」


 あまりにも都合が良すぎる。どこかで見ていたとか、帝国と裏で繋がってるかもとかそう言う疑いとかじゃなくて雑過ぎる。もっとエルヴァに苦しんで欲しいとかそう言うのではないが…余りにも呆気ないというか…面白みに欠けるというか…


「…おい、やっぱり渡すのやめろ!あんな中途半端な連中に使うなんて!」

「私は獣神皇帝の勅命に従ったまでです。言いたいことがあるなら直接お父上に伺ってはどうですか?」

「ぐっ……」


 どう見てもあのウォルフってやつは策だとか嘘とかは着けなさそうな性格だよな…それであんだけ騒ぐって事は…本物なのか?これ。


「お使いください。お話はその後でも良いでしょう」

「…わかった」


 正直な話…都合が良すぎたって構わない。仲間を助けるのに手段を選ばないのなら…よく知らない連中に渡されたものだって使ってやる…が、取り敢えずあの女に鑑定だけはしてもらおう。



ーーーーー



「どんなものかってまではわかりませんけど…少なくとも私の知る限りでの毒とかは無いと思います」

「ふーん、そう」


 それさえわかればいい。


 蓋を開けエルヴァの口に流し込む。


「……雑」

「え、これでいいんじゃないの?」

「……いいけど」


 因みにあの獣人連中も着いてきてる。あの狼の奴が凄い睨んできてる事以外には特に連中に言う事はない。

 

「……」

「……」

「そんなにエルヴァを見てると穴でも空いてしまうんじゃないのかい?」

「開くわけねえだろ、黙ってろ」

「はーい」


 何も起こらなくないかとアルマを見ると突然エルヴァが光だし、最初に変化の起きたのは傷口だった。

 何やらもやもやしたドス黒いものが傷口から煙の様になって出ていくと次いで側面から骨が生えてきて腕や足となり神経、血管、筋肉、皮となって…呆気ないほど簡単に彼女は元に戻った。


「…すげーな」

「エリクサーは神の奇跡なんて呼ばれてる場所もあるくらいだからね。いやはや、それにしてもだよ。凄いね、さっきのあれは魔力の残滓…つまり彼女の体を蝕んでいた毒の様なものだ。それを体外に排出させたなんてね…どうにもああ言うのはしつこいからね、大抵は治らないものさ」

「お前に飲ませりゃその長話も治るか?」

「無理だね。これは僕のチャーミングポイントだから」

「なんだそりゃ」


 トビィと馬鹿な話をしてる間もアルマは心配そうにエルヴァの手を握っている。考えてみれば同性で色々と苦難を一緒に乗り越えた友達なのだからそりゃ心配もするよな。うん。それにしても…心配ではあるが…果たして俺も彼女の為に涙を流せるのだろうか?ああやって心の底から心配できるのだろうか…?

 それから数分もしないうちにエルヴァは突然目を覚ますと勢いよく起き上がり周りを警戒する。そして次に自分の手足があることに疑問を持って…あとはまあ、号泣するアルマに抱き付かれてキョトンとしてた。


「アクト、何事ですかこれは?」

「お前死にかけてたのは覚えてる?」

「ええ、まぁ…」


 アルマの頭を優しく撫でながらも少し状況を理解してきたのか何度も手を握り開きを繰り返して自分の物なのだと理解し始める。


「ところで…そこにトビィがいるということは、成功したのですよね?」

「当たり前だろ。じゃねえとこんな時限爆弾みたいな奴を近くに置いておかねえよ」

「酷いじゃないか!僕だって頑張って彼女を守っていたのだよ?報酬をくれたまえよ!」

「んじゃ、適当に考えとけよ。常識の範囲内で」


 まあ、なんか騒いでるトカゲは無視しておこう。


「……エルヴァ」

「…そんなに泣かないでください、アルマ。私は平気ですから」

「……ごめん…なさい」

「……」

「……アルマのせいで、エルヴァが痛い思い…した…」

「大丈夫ですよ。家族を失った時に比べれば問題ありませんし…少しでも貴方の役に立てたなら本望です」


 なんか…姉妹みたいで微笑ましいなとか思ってたら気持ち悪い顔してるよ?などとトビィに言われたので口元を隠す。

 ユーリも安堵したかのような、開放感のようなそんな表情してる。

 まあ、フェスティバルは終わりだが来年もあるし…今年の残りも少ないのでまた仙湯にでも…そんなこと考えているとそれまで黙っていた獣人達…特に嫌な奴であるウォルフが口を開く。


「ヴァリアントに魔族。この部屋には世界中の鼻つまみものが勢揃いってわけか。はっ、同じ空気を吸ってるだけでも吐き気がするぜ」

「ウォルフ!」

「フォルカ。いいか?お前が父上から命令されてるってなら別にいいがよ。こんなクソ種族のために貴重なエリクサー使ってなんだ?そこの腰抜けに恩売るためだってのか?馬鹿馬鹿しい」


 腰抜け…って俺の事か。指差してるし。別に他人にどう言われようがいいけど。


「さっきからよぉ…俺にビビり散らして殆ど話さねえよなぁ?なあ、おいなんか言ってみろよ」

「…ああ、そういう事ね。ほら、馬鹿と話しても会話にならないじゃん?」

「あ?」


 エルヴァ復活の感動もつかぬま、ウォルフに胸ぐらを掴まれる。

 いつでも殺せるよとトビィは目配せしてくるが、相手の戦力もわからないまま喧嘩を売るほど流石に馬鹿じゃない。


「もういっぺん言ってみろよ。多少強いだけの女どもに囲まれるしか能のねえ腰抜け野郎が」

「俺の住んでたところに弱い犬ほどよく吠えるって言う言葉があるんだ。なあ、どう思う?さっきからキャンキャン可愛く鳴いてる犬っころ野郎」

「…はっ、多少は口が達者なようだな」

「それはどうも」


 勇者連中みたいな煽り耐性0かと思ったら案外まともらしい。


「はぁ…」

「フォルカ、俺はもういいや。さっさとてめえの用件だけ話して帰ろうぜ」

「そうですね…」


 ああ、そうだよな。何かしらの条件はあるよな…多分俺になんかしろとかだよな…うん…彼女達に迷惑さえかからなければまあいいか。


「アクト コダマ。汝と直に会い、話をしたい。獣神皇帝はそう仰いました」

「なっ、父上がか!?」

「ええ、そうです」

「えーと…つまりあれだよな?獣人の国?の王様って事?」

「そうです」

「えー…」


 また唐突なと思うが…しょうがないか。

 一応アルマやトビィにもエリクサーもらった経緯は話してあるし、なんかあるだろうなとは話していたのだ。


「まあ、エリクサーの借りがあるからな。いいぞ。で?すぐにって事はこのまま行くのか?」

「それは彼に任せますから」


 スッと一歩引いて今まで一度も話をしてなかった獣人が一歩前に出る。


「彼の名はスーナン。訳あって話せませんが…優秀な魔法使いです」

「はぁ」

「では、転移魔法を起動しますね。あっ、この国では違法でしたっけか。まあ、お医者様が黙ってくださってれば問題ありませんね」

「えっ、あっ、はい」

「では…行きましょうか。我らの国へ」


 トンっとスーナンが杖で床を叩くと魔法陣が広がり体に奇妙な浮遊感のような感覚が生まれる。


「じゃあ、アルマ。ちょっと行ってくるからな」

「……わかった。お話ついた…ら、すぐに帰ってきて…ね」

「え?何を言ってるんですか?」


 浮遊感が最高潮に至った時、フォルカがそんな事を言い始めた。


「皆さんもですよ?」

「…は?」


 瞬間目の前が真っ白に染まって…体がバラバラになるような感覚としっかりとした意識の中で…果たして声が出ているのかは不明だが、叫んでいた。

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