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夢幻重奏

先生たった2週間って言ったのに結局2ヶ月も入院させたじゃないですかー!やだー!!!

 はい、と言うわけで生きてます。晴れて持病持ちとなりました。またなんか更新ペース狂ってるなとか思ったら体調崩してるので、申し訳ないです。それとパソコン持っていって無かったので今から書く感じです。本当にすみません、ほんとマジですぐ書くんでまた更新暫く出来ませんけど気長に待っていただけると幸いです。



 ドラゴンってのは勝手に黒いなんてイメージを持っていた。

 無論それは、転移前の世界ではなくトビィにあってからの話ではあるが、まぁインパクト強かったので思い込んではいた…


 上空から飛来した黒いドラゴンはどちらかと言うとワイバーンの様な見た目ではあった。そして何よりも…自分の元いた世界の機械の様でもあった。

 所々パイプに繋がれ顔部分はモノアイ。翼部分は飛膜の代わりになんかヘキサの見ていた幻の様に黒い棒状のものが浮かんでいる。そして背中から赤いエネルギー?魔力を噴出し飛んできた様だ。


「ねえ、旦那様」

「ん?」

「あれって僕の妹?それとも弟?」

「知るかよ」

 

 アルマとエルヴァを守る様に前に出るとトビィも器用に両腕だけを鎧に変化させて構える。アルマも咄嗟にリヴァイアサンで自分達を囲い防御態勢に入った。

 ところでなんかリヴァイアサン鱗みたいなの出てるけど何これ?

 一方のテスタロッサは面倒臭そうに頭を掻きため息を吐く。


「なあ、俺ちゃんもさ色々事情があったにしろ戦いたくねえんだわ。と言うかなんでヘキサ所長そっちいんの?」

「ん?僕はトビィ、旦那様の妻さ」

「冗談は後にしてくれ」


 訝しげに見てくるがまあいいやとテスタロッサはその機械ドラゴンに手を向ける。

 そこでふと気付いた。アイツの右手。肘から先が義手であると。


「悪いがもう時間が無いんだ」


 ドラゴンの…正確に言えば胸部辺りが開き中から棒が出てくる…否、それは薙刀の様だ。だが刃が高密度の魔力で出来ている為切れ味とかではなく触れただけでヤバそうだ。


「一つだけいい?」

「なんだよ」

「ヘキサ所長に勝ったのか?」

「だったらなんだってんだよ」

「いや…ただまあ─」


 たんっと前方に跳躍したヘキサは咄嗟にトビィが庇ってくれなければ俺に致命傷を与えていただろう。


 速っ!?


 振り下ろされた薙刀はトビィの鎧ごと地面を容易に斬り裂く。


「っつう…」

「アルマ!トビィもそっち行きだ!頼んだぞ!」


 トビィの首根っこ掴んで後方に投げるとドーム状になっていたリヴァイアサンが生き物の様にトビィを取り込み再び元に戻る。


「…気になってんだけどアレとかお前のその腰の剣とかエンチャント武器の域超えてない?」

「卑怯だーとか言うんじゃねえだろうな?』


 こっちも神槍召喚して対抗する。

 流石に魔力が切れかけていてキツイな…


「まさか!試作品の相手にちょうどいい」


 幸運にもドラゴンは動こうとしてない。これで一対一と言うわけか。


「いやー、しかし久しぶりに動いて明日筋肉痛になっちまいそうだよ」

「てめえに明日なんざ来ねえかもしれねえけどな』

「おお、怖い。んでも、アレだなー…前にゴブリンロード捕獲した時以来だよマジで」


 再びテスタロッサが薙刀を振り下ろす。力任せではない。技がある。なにせ万全ではないにしろ受け止めたら途端に武器が弾かれそうになるのだから。それでも何とか槍で受け止めると地面が陥没し足場が不安定になる。単純な動きではあるがスピードもパワーもあるため侮れない。


「クォルタだったかなぁ?そこそこ強くてさー…まあ、魔物奴隷にした後この国のナントカとかいう裏組織に譲渡したのを覚えているよ」


 クォルタ?ゴブリンロード?

 なるほど、自分はあまり感情的ではないと思っていたが…そうでもない様だ。


「アアァァァッ!』

「おっと、もしかして知り合いだった?」


 テスタロッサを蹴り飛ばし槍の穂先に死のルーンを刻印する。

 クォルタは人間に負けたと言っていた。コイツがやったんだ。あの人には背中押してもらった。どんだけ付き合いが短ろうが…恩がある。


 テスタロッサに近づき槍を突き出す。擦りさえすれば即死だ。

 だが難なくそれを避けると薙刀で俺を刺し貫く。


「そんなんで止まると思ってんのかッ!』

「思うわけないだろ?キッド!ルル!」

「おう!」

「任せて」


 頭部への攻撃。おそらくはかかと落としだろう。そして背中を斬り付けられる。

 

「ついでだ」

「なっ!?』


 魔力が薙刀に吸われていく。

 クソが!


 慌てて逃げようとしたがもう遅い。全身に力が入らなくなり、槍を落としてしまう。そのままエンチャントも強制解除され薙刀を引き抜かれると力無く倒れてしまう。


「けっ、テスの作戦通りってわけかよ」

「そうそう。もっと俺ちゃん褒めてもいいのよ?」

「くっ…」


 一瞬だけだが頭に血が上ってしまった。そのせいで千里眼をテスタロッサ一点に集中し、不意打ちに気付けなかった。


「そうだ。あん時に仕返しだ」


 そう言って顔面を蹴られる。ベルセポネも解除されてる為か痛覚遮断が無いので普通に痛い。


「ルル、あっちのドーム頼めるか?キッドはペイルにポーションでもかけといてやれ。まあ多分ソレは治らないと思うけど」

「あいよ」

「いいけど…何あれ?」

「見た感じ擬似的にリヴァイアサンの鱗を作り出してる」

「はぁ?あんな化け物の?」

「まあ所詮は擬似的に、だ。かなりの量の魔力を使ってるっぽいし、上限はあるだろ」

「やめ…ろ…」


 言うなればアレはシェルターだ。中にはエルヴァとついでにトビィが避難してる。

 それに今ここでエルヴァを動かしたら…

 テスタロッサの足を掴もうとするがどうにも力が入らない。

 ふざけんな、こんな所で…連れてかれてたまるか。クォルタの敵だ。倒さねえとアルマ達のピンチだ。エルヴァを殺させない。


 纏まらない思考の中でただ一つだけ言葉が脳裏を横切った。


 殺せ。


 頭の中が真っ白に染まった。まるで誰かに糸で操られる様な感覚…だがそれでいい。ただ一言、それだけの事で…俺は再び寿命を魔力に変換していた。



ーーーーー



「テス!」

「ん…?んん!?」


 あり得なかった。魔力は全てこの薙刀で吸収し機竜に送った。

 生命活動に最低限必要な分だけ残してはいた…だが…


「どけッ!』


 どうやったのかは知らない。それこそ未知の能力やスキルか?


 キッドとルルを機竜に任せ、薙刀で拳を受け止める。

 ただでさえ化け物じみてるのにこれ以上どうなるってんだ。もはやその目に理性など無く殺意のみが向けられている。


「けひゃっ…』

「…?」

「さいっこうの気分だぜ!なぁぁッ!?』


 それはまるで歓喜の表情だった。優勢なのはこっちの筈だ。なのに…


 そしてゆっくりとコダマは自分の胸に手を当てる。どう考えても最後の悪あがきだ。直接戦わずに、消耗戦にした方が良さそう─


「【エンチャント・夢幻重奏】!」



ーーーーー



 長くは持たないと分かっている。命を魔力に変換させ、魔力さえあれば命はまた元に戻るとゲルダは言っていた。だが、人間の体はそんなに便利なものじゃない。それに自分の体のことは1番分かっている。


 それでも…


 やり方は前から無意識やってはいたことだ。

 ベルセポネエンチャントをベースに肉体の再生とゼウスやオーディンエンチャントで無理していた。それを意識して…いや、消費を抑えて一部分だけで行う。

 生憎と要領の悪さは母親のお墨付きだが…ぶっつけ本番で尚且つ3人の命を…エルヴァの命の為、アルマとついでにトビィの為…やってやる。


 それに対峙するテスタロッサの強さは先ほどの動きを見てはっきりと分かるほどに手練れだ。実力を隠していやがった。それに疲弊しきってるのだ。出し惜しみなんてしてる余裕はない。

 だからこそ好都合だ。手加減なんて出来やしないし、しようとも思ってないが。


「【エンチャント・夢幻重奏】!」


 テスタロッサも何をしてくるか一瞬わからなかったかったのだろう。だから反応が遅れた。

 ベースはベルセポネ、そこにオーディンの戦闘能力とゼウスの雷霆。3つあわせりゃ最強だ。


三重奏(トリオ)。冥府の雷槍』

「ーッ!?」


 そう易々と増えるもんじゃないとは思うが…肉体への負荷と同時に脳が揺さぶられ意識が朦朧としてくる。それなのに何故かハッキリと物事を考えて行動できそうなのは不思議だ。

 雷霆を纏ったグングニルが5本程召喚され背中あたりで浮いている。無駄な魔力を使わないで迅速に殺さなければ…

 それにしても槍はもっと魔力に余裕があれば増やせそうではあるが、どうなのだろうか?


「機竜!防御形態ッ!」

「さあ、楽しもうぜ?俺の命が無くなるのが先か、てめえらが死ぬのが先かァァッ!』


 ふと、口に出した言葉は自分でもほぼ無意識に出ていた物だった。

 どう言う原理かは謎だが、その言葉を言い終わるや否や、雷槍は閃光の軌跡を描きながらテスタロッサと2人を翼で包み込んだドラゴンに突き刺さる。

 感覚的にわかる。竜とはいど所詮は紛い物だ。


「ぐぅぅぅっ!」

「「テス!」」

「ほら、もっとだ!勝算あるから来たんだろ?だったら来やがれってんだ!殺れるもんなら殺ってみろよ!なぁ!俺をもっと楽しませろッ!』


 昂る感情に左右されるかの様に、雷槍はあらゆる方向からテスタロッサ達を穿ち放電する。

 ああ、ヤバい。なんて楽しいんだ。悲鳴、恐怖、破壊。今まで何度も見てきた光景なのに…酷く楽しく感じてくる。


「はは…ぎゃははははッ!』


 脳が快感で埋め尽くされそのまま射精でもしそうな程、体が気持ちいい。最高の気分だ。

 槍の一本を手に持つと機械ドラゴンを切り上げる。普通の槍なら折れるであろう一撃も神槍なら容易に出来る。

 そして飛ばされたドラゴンの下に…


「見ーつけた』

「…ッ!?」


 お前が俺の大切な物を奪おうとするなら、俺だって奪ってやるよ。


 防御形態とか言ったが隙しかねえし、ガラ空きじゃねえかよ。

 キッドとかいうガキに向けて槍を構える。赫雷を纏い破壊的な魔力を撒き散らすそれは人間なんか触れるだけで一瞬で粉微塵になるだろう。


「キッ─」

「死ね』


 残念ながら槍はキッドを庇ったルルを刺し貫いた。

 まあ、いいや。


「やめろぉぉぉぉぉッ!」

「騒ぐなよ』


 瞬間、肉体がまるで光の粒子になるが如く消えていく…ん?

 たしかに槍は腹を貫通した。未だに手には内臓を刺した感覚が残っている。だが、何か違う。


 おかしい…何かが…


「おおぉぉぉッ!」

「……』


 まるで小学生の見栄の張り合いの様だ。一方が優勢になれば今度はもう一方がそれを超えて優勢となる。


 テスタロッサの一撃を浮いた槍で受け止め、腹に蹴りを叩き込むといい具合に飛んで行く。


「さて、もう1人のガキ…を?』


 体制を立て直しテスタロッサの隣に降り立つドラゴン。しかしさっきまでいた筈なのに…キッドの姿も形もない。どうなっているんだ?


「ゴボッ…はは、ははは!長距離転移は時間がかかるからな。その時間稼ぎだよ』

「ああ、そう』


 じゃあ、コイツを殺せばいいだけだ。


 槍の穂先をテスタロッサに向けると後ろに浮いていた槍達も一斉にテスタロッサに向けて穂先を向ける。

 一方でテスタロッサは機械ドラゴンから新たに大剣を生成?していた。


「祖国に死体として帰んのはどんな気持ちだ?あぁ!?』

「悪いがお前の勝ち負けと俺ちゃんの勝ち負けの条件は違うんだわ」


 三度、槍が舞う。

 まずはあの邪魔な義手。アレとドラゴンがリンクしてる様だ。そしたら何も出来ない哀れなお前を撫で切りにしてやる。


 予想通りと言うか見た目通りというか…テスタロッサはその重い鈍で槍を退けられることなど出来るはずもなく全身に傷を負っていく。


「どうしたよ、ほら!手加減してやってんだろうがッ!』

「…チッ…うるせえ!」


 わざわざ全身の皮を削ぎ落としてやってるんだ。感謝してもらいたいな。

 槍は縦横無尽に全身を刺し、切り、削いでいく。

 相変わらずドラゴンは不動のままで何をしてくるは知らないが…まあいい。


「くっ…俺ちゃん、こういうの向いてねえんだよ!」

「んなもん見てりゃわかるわ』


 やられたらやり返すでは無いが…圧倒的なまでに此方が有利となったのでつい手を抜き、舐めた真似をしていた。

 だから再び槍を持ち直接義手を破壊してやろうと思いその身を動かす。


「死ね』

「馬鹿が!俺ちゃんが策無しに行動してるとでも思ってんのかよ!」


 いや知らねえよと言いたい。何せろくに話したことも無いし。

 槍で刺し貫いてやろうとした瞬間、大剣で槍を受け止められる。それだけでも驚きだが、テスタロッサの魔力や血液が吸い込まれていき、大剣に変化が起きる。


 大剣の刃の部分に巨大な目玉が形成される。偽物とは言えどトビィから作り出されたドラゴンが生成した武器だ。生体兵器と言っても過言では無い。そして理解し難い事が起こると大抵の場合は行動が一瞬止まる。


「あんたが馬鹿で助かったよ」


 刀身に現れた不気味な目玉が怪しく輝くと一瞬体が動かなくなる。

 

「ドラグ…カウンターッ!」


 瞬間、目の前が真っ白になった。単純な話、テスタロッサはこの一撃にかけていたのだ。

 

 クソが…



ーーーーー



 重くなった義手を引きずる様に歩きながら落ちていた腕を確認する。

 間違いなくこれは今対峙していたコダマの物だ。


「…奥の手まで使わせやがって…チッ、魔力がすっからかんだ」


 試作段階の機械竜ことドラグノイドは電源が切れた様に動かない。

 大剣も先程の一撃で砕け散っており今の自分は無力だ。

 ドラグカウンター。まあ名前は置いておくとしても単純に受けたダメージを何倍にもして相手に返すスキルだ。それにしてもあの大剣もかなりの強度のはずが一撃で大破…自分の作りが悪かったのか、コダマの攻撃能力が凄まじかったのかは今となってはわからない。


「…くっそ。ポーションどこにしまったかな…チクチクと攻撃してきやがって…」


 先に2人を転移させたがそろそろ自分にも迎えが来るはずだ。戻ったら暫く休暇を取るのも悪く無いかもしれない。


「…ん?おいおい、嘘だろ」


 それは瓦礫の山を越えて少しのところにあった。

 ラプラスの遺児アルマ。彼女の使っていた武器は興味深いものではあったが、別段性能が抜きん出ているとは思ってはなかった。否、それは魔眼を倒すまでは…


 あの一撃に巻き込まれても、あの剣で出来たドームは無事かよ。つーか、なんなんだよ。コダマはぶっ殺したってのにてめえはダンマリか?


 あの剣で守られてる場所だけは無傷であり、いまだに動きがない。それに対して多少は腹が立ったがもう魔力切れだ。また今度にしよ─


「次からは死体の確認でもしとくんだな』

「…揃いも揃って…化け物かよ…」


 自身の腹から突き出てきたのは赤い、否赫い雷霆の腕。

 すんでのところで避けられたってわけか…


「ゴフッ…クソ」

「失礼な話だ。俺とトビィはともかくアルマ達は普通だろ』

「どこが…だよ…」


 全身を駆け巡った雷は肉も神経も…いや、違う。

 赫雷が引き抜きかれると蹴り転がされ、全身が全く動かなくなる。


「手…を抜きやがったな」

「ああ、うん。で、だ。いくつか聞きたいことがあるから。手短にするから』


 本来なら一瞬で全身の血管が蒸発し、何もかもが焼け爛れるだろうが今現在生きている。それはコダマがわざと殺さない様に手加減したからだ。

 

 それがとても屈辱的である。


「殺せ」

「情報話してくれりゃ直ぐにでも殺してやるって』


 ヘラヘラと緊張感も無く笑いながらもその目にはいつでも殺せると冷たい殺意が宿っている。


「あのデカブツと浮いてる大砲の攻撃で俺の友人が一本足になっちまったんだが…治し方わかる?』

「へつ、ザマァねえな」

「…言葉ってのは難しいもんだよ?』


 何の躊躇いもなく踏みつけられた足は理解させようとでもしているのか、枝か何かと思うくらいに簡単に折れて激痛が全身を走る。


「ッッ!ぐっ…話したところで…無駄だ!」

「それを決めんのは俺だ。てめえじゃねえ』


 ……


「…普通のポーションや回復魔法なんかじゃ治りはしねえよ」

「じゃあなんだったら治せんだよ?』

「エリクサー…ダウンやハーフじゃねえ、純粋なやつー

「ふむ…エリクサーか…見た事ねえけど、何処にあるんだ?』

「ねえよ。少なくとも一般人が手に入れることは不可能に近い。或いはヴァリアントの村にでも行けばあの蛮族共の未知の治療方法でもあるんじゃねえのか?」


 不快そうに眉を潜めてやがる。ザマァみろ。


「まあ、話してくれて助かったよ』

「……」

「じゃあ、死ね』


 右腕に全ての魔力を収束させ、俺を消し炭にするつもりだろう。


 すまない2人とも…ここまでのようだ…



ーーーーー



「……ん?」


 何度か人をこうやって殺したりもしてるので何となく…感覚でわかる。


「逃げられたか?まあいいや」


 もう既に限界を超えていた。魔力も命を消費した分は使い切ったし、これ以上は流石に死ぬ。

 ふらふらとおぼつかない足でアルマ達の方へと向かう。よかった。ここは無事の様だ…


「ゲホッ…んあ、無理したからなぁ…また寝込みそうだ」

「……アクト?」

「おう、終わったぞ」

「……大丈夫?」

「まあ、なんとかな」


 伸ばした蛇腹剣を元に戻すとアルマが駆け寄ってくる。

 エルヴァは…まだ大丈夫そうだな。トビィは別に心配する必要もないだろう。なんかピンピンしてるし。


「なあ、アルマ。エリクサーって普通は手に入んないのか?」

「……エリクサー?うーん…王様とか貴族階級…大公とか公爵クラスじゃないと…無理」

「マジか」

「……エルヴァの傷?」

「嘘か本当かはわからないが…婆さんが無理って言っちまったら終わりだろ?」

「……ん」


 不安を煽るようで悪いがこればっかりは…どうしようもない。

 こんな事になるなら婆さんに戦闘以外のエンチャントのことでも学んでおけば良かったと後悔の念が積み上がっていく。

 そもそも調子に乗って余裕で勝てると思っていたのだ。俺が悪い。

 結局のところ、ヘキサ1人にギリギリまで押された挙句にテスタロッサにも負けかけた。


「……」

「……」


 兄が死んだときは別に何も感じなかった。うるさい奴が死ねば静かになるなんてくらいで…


「なあ、アル─」

「ちょ、誰だい君達!?」


 トビィが急に叫び出した。何事かと確認をする前にわかった。

 ……本当にこの国は嫌いだ

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