序章〜出逢い編〜
和風ファンタジーです。遥か昔のあやかし物語ご鑑賞あれ。
闇喰い。
序章。
登場人物
弌之助
弌之助の両親
婆様
親を亡くした狐の童。
狐と鈴
昔、昔、ある所に弌之助という幼い子供がおりました。
その弌之助が幼い頃に何かに導かれる様に宵闇をさまよい、
偶然鈴の音を聞き、近寄って見ていると、狐の嫁入りを目撃し、
幼い弌之助は何も知らずに一人で居るのが恐かったので、
声を掛け、触れようとすると、手がするりとすり抜けたのでこれはただ事ではないと思い、
震え泣き出していたら、女の人の声で、
「弌之助、弌之助」と呼ぶ声がして、
顔をあげると、美しい狐が、
「貴方をずっと待っていました、きっと助けに来てくれるって、
でもまだ駄目ね。貴方はまだ幼すぎるは今度逢えたときはきっと救ってね。
待っているわ。きっと、きっとよ。」と弌之助に告げ、
寂しそうに微笑んで触れられない手で、弌之助の頬の涙を拭って鈴の音が消え去り、
同時に狐達も消えてしまいました。
それからというもの弌之助は、毎晩悪夢に魘され、両親は心配し、
なにかにとり憑かれたのではないかと恐れ、
弌之助を連れ、村一番の巫女の元に連れて行くと、
その巫女は、
「ワシの力をもってしても抑える程度しか刃がたたん、
こ奴は沢山の狐に祟られておるヘタをすると身体を乗っ取られているほどじゃが、何とか留まっているようじゃ。」
とその話を聴いた両親は、
「ではどうする事も出来ないのですか?」と尋ねると、
「人間のままでいられる方法が、一つだけあるのじゃが。それは本人次第じゃ。」
と言い両親が、
「それはどんな事なのですか?」と尋ねると、
婆様は、
「少し待てそんなに簡単に話せる代物ではない、結界を張る。」と言い、
「鈴、狐、居るなら此処に現れよ。主が銘ずる。」と言うと、
蒼い焔が現れ、その中に子供の様な姿が見え、その焔から飛び出し、
「婆様〜。婆様〜。」と駆け寄り、婆様がその者達の頭を撫でてやると、
其れを見ていた両親は、その子供達に大きな白い耳と2本の尻尾が付いている事に驚き、
「婆様いったいこれは?」と尋ねると、
「そなたらは見て分からぬか、狐の童じゃ。」と言うと、
両親達は、
「狐を飼っているのですか?」と尋ねると、
「飼っていると言うより手伝いをしてもらっている。言うてみれば家族の様なもんじゃ。」と言い
両親は、
「はぁ…。」と納得していると、驚き両親の後ろに隠れていた弌之助は震えていて、
婆様は、
「この程度で怯えていてはやって行けぬぞ、弌之助。さぁ此方においで。」と手を差し伸べると、
子狐達も、
「おいで、おいで、弌之助、弌之助。」と久しぶりの御客にはしゃいでいると婆様が、
「お前達少し静かにせぬか。」と怒鳴ると、
鈴と狐が同時に、
「うわぁーん。」と泣き出し手がつけられない程に騒ぎ出したので、
婆様が、
「悪かった少し静まれ。」
と二人に御札の様な物を貼り付けると二匹は静まり、
「グスングスン。」と泣いていると弌之助が、恐る恐る手を差し伸べると、
二匹が抱きついてきたので少し驚きはしたものの、
幼いながらも、
「大丈夫だよ。」と慰め頭を撫でてやると、
「弌之助。弌之助。」と抱きついているので婆様は、
「なついたようじゃな、弌之助はほんに良い子じゃのぅ、これならこの者達を任せられそうじゃ。」
と微笑んでいると、弌之助の両親が、
「それで話の続きは…」と言うと、
「そうじゃった、結界も張り終わったところじゃし、そろそろ本題に入るかのう。」
と真剣な表情になると、狐達が弌之助を取り合い、
鈴が、
「わたちの方が弌之ちゅけがちゅきなのー。」と言うと、
狐も負けずと、
「僕の方が弌之ちゅけがちゅきだもんー。」とぎゃあぎゃあ騒いでいるので、
「お前達いい加減にせんか!。」
と婆様が再び怒鳴ると、
「うわぁーん」と、
また泣き出したので弌之助が
「大丈夫、大丈夫。」と頭を撫でてやると再び
「グスン、グスン」と泣き出したので、
「もう良い」と言い深い溜め息をつき、
「話を続ける。良いか、良く聞くのじゃぞ、
それはそれは遥か昔の事じゃった、わしも幼い頃わしの婆様に聞かされていた話じゃ。」
「そなた達は知らぬと思うが、あやかしにも頭がおって例えて言うならば、狐にも頭がおるじゃろう名は、九尾の狐じゃ。」
「狐は、人を化かすのが好きじゃと伝えられておるじゃろう、
じゃが力をもった者はそうではない、わしはおおた事はないが古い文献には書いてある。」
「国が荒れ自然をも荒れ狂う年もあると、それは何故かと言うと、
人間のせいじゃと古くから伝えられている。」
「それと言うのも自然を破壊し、
神に頼る事もなく機械やそういう物に頼り心が荒んでいく。」
「自然は神が作り出したものであるのに、それを破壊する、何と愚かな事じゃろう。」
「それでも神はわし達に気付かせようとするのじゃ、自然を使ってな。」
「じゃがそれでも愚かな人間は気付かない、じゃから神や、あやかしが怒り自然が荒れ狂うのじゃ。」
「じゃが、それでも、それらを鎮められる者がおる事も事実じゃ、
いなければわし達は存在しておらん。
信じられないのなら文献を読んでみれば良い。」
「わしの婆様にもいつも聞かされていたが、
一様その文献を一度だけ読んだ事がある。
そこには婆様が話す通りの事が書いてあった。」
「そしてその文献にはまだ続きがある。
何千年いや、何万年に一度産まれる、白銀の髪をもち、赤い眼をした人間がその身をもって、
あやかしや荒ぶる神を納めると書いてあった。」
「即ち其処におる弌之助こそがその者の生まれかわりであるのじゃ、
弌之助があやかしに喰われるか、逆にこ奴が喰うか、狐にとり憑かれるかは弌之助次第じゃ。」
「弌之助にとってはほんに辛い人生になるやも知れん。
じゃがそれもまたこの者の使命であり、宿命でもあるのじゃ。」
「酷な様じゃが、普通の人間にはこ奴は育てられん、縁を切るしか方法はないじゃろう。」
「それが弌之助にとっても、お前達にとっても一番良い方法じゃ。」と告げると、
両親は、
「そっそんな…。」と言葉を溢し、父親は血が滲むほど手を握りしめ、
「…」と悔し涙を流し、
母親も同様に涙を流し、
「この子はどうなるのですか?」と婆様に尋ねると、
「案ずる事はない、わしやそやつらがついておる、命有る限りわしが居なくなっても弌之助を護るじゃろう。」
と告げると、
両親達はもうどうする事も自分達には出来ず、この人に任せるしかないと覚悟を決め、涙ながらに、
「弌之助をどうか宜しくお願いします。」と頭を下げ、幼き故に何も知らない弌之助に別れを告げ、
婆様の元を去って行きました。
婆様は両親達が去る直前にこう忠告を告げました。
「けして今宵の話を誰にも話してはならぬ、
下手をすればあやかしに喰われる可能性もある。
あと、この森には何人も近寄るでないと村の者達に伝え、
わしが死ぬ前にそう告げたと伝えるのじゃ、子供はどうしたと聞かれたら途中、病で死んだと伝えるのじゃ、分かったな。」と告げ、
「もしもあやかし達が村に現れる様な事が有れば、この後そなた達が村に帰り産まれたおなごに結界を張らせるのじゃ。」
「きっとその者が村を護ってくれるじゃろう。」と告げ、
「村を頼んだ。わしはもう長くはない、村の結界は張っておくがいつまでわしの命が続くか分からん。頼んだぞ。」と告げ、
両親の背中を見送りました。
これが僕の、婆様や鈴や狐との出逢いでした。
読んで頂いてありがとうございました。




