表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

三題噺

三題噺第5弾「火」「鷹」「ねじれた主従関係」

作者: 音奏

 今日という今日は頭にきた!


 俺の誕生日を忘れて、浮気相手の所にころがり込んで、一夜を過ごしただって?


 冗談じゃない!


 俺がどれだけ犠牲を払ったか。

 俺がどれだけ苦しい思いをして仕事をしているか。

 俺がどれだけ貴女あなたを愛しているのか。


 そういった感情を真っ向から否定された気分だ!


 浮気相手の家に今すぐ乗り込んでやる!



 黒髪で真面目そうなゆうは夏休みに、浮気相手の家に怒鳴り込んだ。

「おい、こらっ! 出てこい!」

 ドアを激しくノックする音が近隣に鳴り響いた。はたからみると、朝からすごく近所迷惑な行為だった。

 しばらくすると、ドアが少しだけ開いた。

「あん? なんすか? 近所迷惑っすよ?」

 金髪に染めた髪が、如何にもチャラそうな男、しゅうが中から出てきた。

「お前だろ! 俺の彼女を奪ったのは! いい加減にしろよ!」

 今にも殴りかかろうとする勢いで、秀に言い放った。

「はぁ? 誰が誰を奪ったって? 浮気される理由がないと思ってるのか? 滑稽(こっけい)だな」

「なに? どういう意味だ、それ」

「そのまんまの意味だよ。理由くらい自分で考えろ。 このタコっ」

 この言葉により、勇の怒りは頂点に達した。

「てめぇぇぇぇ、ぶっ殺してやる!」

 勇は秀に向かって殴りかかった。秀はそれを片手で受け止めて、逆に勇の顔に右ストレートをお見舞いした。

「二度とくんな。このクズ」

 ドアは勢いよく閉められた。

(いってぇ、何が浮気される理由だ。そんなのあるわけないだろ。こんなにも愛しているのに)

 その場は騒ぎのため、一旦自分の家に戻った勇。その夜、とんでもないことをしでかす。


(こんな真夜中なら誰もみていないだろう)

 勇はなんと、秀の家に火をつける計画を立てていた。誰にも見つからない真夜中を狙って実行に移した。

 勇の家は、4部屋あるオンボロアパートの2階建の角だった。

 そこに火をつけたらどうなるかくらい、わかるものだが、怒りのエネルギーにより理性が吹っ飛んでいた。


 黒々と燃え盛る炎があたり一帯を包む。

 4部屋あるオンボロアパートは30分くらいで炎に包まれてしまった。

(これで奴は死んだかな、浮気したんだ、自業自得だろ)

 消防が到着した頃には、消し炭と化した後だった。


 翌日、この事件のニュースで持ちきりだった。

 犯人は一体誰なのか、専門家を交えて討論が行われていた。

「おそらく怨恨でしょうね。あそこに住んでいた住人と口論になっている現場を目撃したという情報もありますから」

「なるほど。では、捕まるのも時間の問題というわけですね?」

「それがそうもいかないのです。犯行は真夜中で、口論となっている現場をみたという人も『顔まではわからない』と言っています」

「警察が周囲の聞き込み調査をして、情報を集めていますが、時間がかかっているようです」

「わかりました。犯人には一刻も早く捕まって欲しいですね。続いては、天気予報です」

(なにが一刻も早く捕まって欲しいだ。悪いのは全部あいつだぞ。俺は正義の執行をしただけだ。俺は悪くない)


 トントントン。

「警察のものです。開けてください」

(ちっ、もう嗅ぎつけてきやがったか、適当にあしらうか)

「はい、なんでしょう?」

「この辺りの人に聞き込み調査を行っておりましてね、ちょっと話を伺ってもいいですか?」

「え、ええ。構いませんよ」

「では、昨日の夜どちらにいましたか?」

「昨日の夜ですか? 昨日は酒に酔いつぶれて、寝ていたはずですね」

「それを証明する人はいますか?」

「何ですかそれっ、まるで犯人扱いの言い方は」

「聞き込み調査を行なっている皆さんに聞いています。あなただけ特別ではありません」

「証明する人は……いません」

「あなた、彼女に浮気されたらしいですね?」

「そ、それがなにか?」

「怨恨の理由として、あの場所に火をつけた可能性がありますよね。どうなんです?」

「し、知るかっ、さっさと帰ってくれ。俺は忙しいんだ」

「おいっ」

 もう一人の警察官に対して合図を送った。

「はっ」

「署までご同行願おう」

「なぜだ! 俺は火なんてつけちゃいない!」

「もう証拠は上がっているんだよ!」

「!!!!」

(なぜだ、完全犯罪のはずが……なぜバレた)

「10時11分、黒羽根勇くろばねゆうを放火殺人の罪で逮捕!」


「なぜわかった?」

「自分で考えてみるんだな」

「またそれか」


 あの時刻、勇の彼女こと白木凛しらきりんが、()()()の家に、彼氏の誕生日プレゼントとしてあげる予定だった鷹の球団のユニホームを忘れてしまい、その道中に犯人を目撃したのだった。


 しかし、彼氏が犯人なんて信じられず、少しだけ逮捕に時間を要した。


 ねじれた主従関係ほど怖いものはない。

 怒りに身をまかせると、何をしでかすかはわからない。

 時に、犯罪行為さえしてしまうのだ。




熱中して書いてたら、1時間半経っていました。

そんなにも時間が過ぎていたことが信じられませんでした。

もっと時間が欲しいです。書くための、勉強する時間が。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ