夏休みなので病室の老婆の話を想像する話
夏、夏といえば夏休み。
こども時代には一か月以上あった休みが、大人になると一週間にも満たなくなるあの夏休み。
夏休みごろになると雑誌などでも怪談系の特集が組まれたりして一気に楽しみが増えますよね。
病院の天井に話しかけると早死にするとかそういうやつですね。
はたから見るとただの危ない人とかいうあれですね。
心霊写真とかも取り上げらることがありますよね。
海に飛び込む瞬間の写真で、海面から手がいくつも伸びているってやつとか有名ですよね。
手を伸ばせるのなら海にとどまる必要もないだろうにって思ってしまうのはやはりひねくれてるんでしょうかね。
仏教的には成仏する人は別として49日で輪廻転生するもんですけどね。
よく警察ドラマで被害者の死体を仏さんとか呼んでいるけど、殺される人が悟りを開いて仏になることがあるんでしょうかね。
まぁどうでもいい話ですね。
話を夏の怪談特集に戻しますね。
こどものころ読んだ怪談でですね、病室で老婆が今にもこちらに襲い掛かりそうな姿で天井にいる絵があったんですが。どんな話の内容だったんですかね。
勝手に書いてみますね。
病院の夜は早い。
今までてっぺんまで働いていた身としては、信じられないほど早く就寝時間が訪れる。
そんな時間に寝ろと言われても寝られるものでもなく、暗い中音楽を聴いても心がざわつく。
暇つぶしに頭の中で「寿限無」を作っていた。
寿限無というのは子供に縁起がいい名前をすべてくっつけてとんでもなく長い名前にしたらとんでもないことになったというお話で、もとはその子がおぼれ死ぬという話だったはずが様々な人が改変してその多くが笑い話になるという経緯のある落語である。
皮肉な内容がいかにも上方落語っぽく、江戸落語なら江戸っ子らしく名前を縮めたあだ名で呼ばれてるので生まれなかったであろう落語である。
その時作っていた「寿限無」は自分の名前が好きな寿限無(略)は恋人に下の名前を呼んでほしくて奮闘するという話で本人以外はフルで呼ばないという実にリアルな話のラブコメであった。
ちょうど恋人の父親と対面してフルネームを言う段あたりで寝落ちしてしまった。
朝目が覚めると天井に見知らぬ老婆が張り付いている。
こちら側を向きて張り付いているのだから器用なものである。
もしや幽霊ではないだろうかと思ったとき金縛りがごとく老婆から目が離せなくなった。
じっと見てると怖いので昨日の寿限無の続きを頭の中で演じること一時間。
恋人の父親から寿の字と呼ばれるところから始まり、最後には恋人の父親から助の字と呼ばれたところで、お後が無いようでと言って終わらせた。
気が付くと目の前に老婆の姿もなくいつの間にか目もつむっていた。
さては自分の落語が面白くて昇天したのだろう。
自分の才能が怖い。
という内容では無いようだ。
なんちゃって。