なろうと思った。
(2008.11.17)
(2008.11.18)
切欠はミステリの傑作である『完全恋愛』を読んだからだろう。
『完全恋愛』は2008年に出版されている作品で、その年の本格ミステリ大賞を受賞した奇書である。作家はほぼ無名の76歳の作家だった。
この奇書を手掛けた作家は老いて目覚めた新進気鋭というわけではない。この小説の作家の正体は辻真先氏(以下敬称略)だった。
「唐突に語り出しましたが要は小説家になろうと思った切欠と経過を書いて最後に頑張りますと書いているだけです」
この数行で「恋愛」、「ミステリ」、「老人」という『小説家になろう』ではあまり人気が出そうにないキーワードを連発していることを御容赦していただきたい。
私が恋愛、ミステリ、白髪燃え御老体執事が好きだから書いているというのも本心の一部ではあるのだが切欠とは関係がない。切欠は辻真先の奇書が世間に受け入れられたことそのものだった。
何故、あの辻真先がこのような奇書を世に出したのか。そしてそれがどのようなアプローチで出版されたのか。実力か?知名度か?チートか?その詳細については調べればわかることなのでここに書くのは野暮というものだろう。ここでは読んでみることをお勧めするまでにしておく。
「失礼な言い口が多いのですが脚本という仕事もあってか正体がわかりにくいという点で実力や好みがわからなかったのです。後述の通り『完全恋愛』は傑作であり、この出会いがあってからは『辻真先は素晴らしい』と言い続けています」
辻真先は小説家兼脚本家である。自分の中では知名度が高いと考えている方なのだが、多作でありながらその活動は日陰に佇む幽鬼のような存在感に包まれており私は長い間違和感を覚え続けていた。
初めて拝見したのは「迷犬ルパンシリーズ」か「土曜ワイド劇場」だったと思われる。どちらも感動とは程遠いが時間を程よく潰すのに適した佳作だった。Wikipediaには載っていないが数十年に渡ってテレビ放送のあちらこちらのドラマに脚本を納めている筈である。
他には辻真先が書いたルパン三世の小説を幼少のみぎりに買って読んでいる。テレビの再放送や後年の視聴になるがデビルマン、一休さん、アラレちゃん、名探偵コナンなど、様々なアニメでも楽しませてもらった。大げさに言えば幼女からお年寄りまで辻真先の作品に触れた可能性がある。
それなのに知名度が無いように見受けられる。大賞受賞当時に友人知人に話を聞いても名前だけ見たことがあると言われるのが関の山だった。
「大げさかもしれませんがちょっとショックでした」
そんな幽鬼…もとい辻真先が作品で大賞を取ってしまったという。そしてとんでもなく面白かったのだ。私は数年前に『完全恋愛』を読み終えて愕然としたのを今でも覚えている。
何に衝撃を受けたのか、どのようなダメージを受けたのか、属性攻撃か、レンジ外からの複数多段魔術だったのか、やはりチートか、何故あの辻真先がそんな力を出したのかそれがわからなかったのである。
当時の私は感動に打ち震えていたがそれを口に出したり表現したりすることは無かった。たぶん嫉妬していたのだと今なら思い返せるが天に唾吐く思いに恥ずかしさを感じる。
そんな切欠も2018年10月ともなると物理的にも精神的にも押し入れの奥にしまいこみ、年月という理不尽な記憶操作魔術かけて封印してしまっていた。しかしこれを書いている数日前に「小説家になろう」に掲載されていた素敵な作品を目にして“うっかり“封印を破ってしまった。あーあ。
「本当にカッコ悪いです」
その素敵な作品が何であるかについては後に語られない伏線とする。ただ『小説家になろう』にある作品だということだけは間違いない。推理したい暇な方が居たらその作品を含む私のブックマークを証言として提出するがこれはただのナンセンスな話であり、ここまでの堕文もまたナンセンスな話であり、切欠について面白いエピソードは何一つない。何もないのであとで適当にでっちあげるかもしれないがそれはここだけの話としておく。
「ぶっちゃけた話、『農家』です」
さて、何になるか。もちろんこのサイトで文章を書く以上、まずはアマチュアの小説家になる。職業:小説家では無い。今の本職を放り出して小説家になるのも一興だと思っているが実力の低さと国語能力の欠如についてだけは自信があり自慢したい。うぇーい。今の職業はどこにでもいる冒険者あるいはサラリーマンで、きっとこの呪われたステータス表示は一生変わらないのだろう。
「なろう」と思った種族名は妖怪、幽鬼、超人、魔人である。日本人やヒト科といった種族が一般的ではあるが同じ種族を続けるのにも飽きてきた。今の種族名はただの凡人のつもりだ。人類皆凡人。それが日常の現実世界。
少し違う世界を覗いて少しだけ種族:凡人を辞めてみよう。私は
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何になるかはわかりませんが、もしよろしければお付き合いください。
この「小説の凡人タコバヤシ」は日記というか経過というか私小説のような形を用いて、タコバヤシこと狐囃子の押し入れの奥に転がっていたアイデアを、のんびりと羅列したり挫折したりしながら記していきます。
そして違うジャンルでは超人達の人生を幾つか紡ぎます。
(執筆時間:2時間40分+50分)
「げ?サブタイトルの付け方わからない!ジャンル指定できないじゃないですか!どーしよどーしよ!いきなりピンチです!あと数十分で19日の投稿になってしまいます。前途多難ですね」
「こうなったら日付をチートして明日にしちゃいますか?」
「「「それはだめー!」」」