8/15
白い半月
ナミホの横顔を見ながら、ナミホが小鳥を食べた時のことを思い出してぞっとする。
それも、何日かすれば、そんなことは忘れてしまうことだ。ナミホを抱きしめるまで忘れていたみたいに。
ぼくは立ち上がった。
「もう、帰らなくちゃ」
いつの間にか夕陽も消えて、辺りはほとんど暗くなっている。
「明日もまた」
ぼくはそう言って走って行った。
早く鳥に戻ってコトネの隣で眠りたいと思った。温かくて優しいコトネの隣で。
ぼくは走りながら、もう少しナミホから離れた所で鳥に戻った方がいい、ナミホにはぼくの鳥の姿を見せない方がいい、そんなことを考えていた。
ぼくは歩道橋の真ん中まで来て、そこからナミホを見た。
ナミホはさっきと同じに座ったままで海の方を見ている。
ナミホが何を考えているのか、何も考えていないのか、ぼくにはわかるはずもない。
白い半月が椰子の木の上に浮かんでいる。