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ルリハとナミホ 1  作者: カワラヒワ
6/15

冷たい

いつまでも抱き合っている二人。

「歩こうか」

 ぼくは言って手すりから離れた。


 歩道橋を降りて、手をつないで砂浜を歩く。

 好き同士、あんなにずっと抱き合っているんだもの、あの二人は好き同士なんだ。そんなことを考えていた。

 相変わらずナミホの手は冷たい。


 振り向くと大分遠くに、ぼくたちと同じように手をつないで歩く、さっきの二人の姿があった。


「ねえ」

 ぼくは思い付いて歩みを止めた。

「ぼくたちも恋人同士だろ。だから、ぼくたちも試してみようよ」

 ぼくはナミホの手を放して言った。

「何を?」

 ナミホがきく。

「こうやって」

 ぼくはナミホの前に一歩出て、ナミホの背中に手をまわした。

「抱き合って確かめるんだ」

 ぼくはナミホを抱きしめた。


 ナミホは少し体をこわけばらせた。けれど、嫌がる様子はなかった。

 でもぼくは、はっとしてナミホから体を離した。

 自分からいきなり抱きしめておいて、すぐに突き放すように離すなんて、失礼なことだと思う。

 わかっているけれど、ぼくはびっくりしたのだ。ナミホの体がすごく冷たかったから。


「もう、好き同士かわかったの?」

ナミホが不思議そうにきく。

ぼくは首を振り、黙って下を向いた。

「どうしたの?」

「なんでもない」

 ぼくは言った。

 確かめなくても知っていたのに。ぼくはナミホのことが好き、ナミホもぼくのことが好きだって。

 ナミホの体が冷たいってことも知っていたのに。



挿絵(By みてみん)


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