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ルリハとナミホ 1  作者: カワラヒワ
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13/15

一緒に泳ごう



 ナミホが、砂浜にたたずんで海を見ている。

 ぼくはそれを見つけると、慌ててナミホのもとに走った。


「ナミホ~」

 ぼくは叫んだ。

 ぼくの声は、ナミホに届いているはずだけど、ナミホは振り向きもせずに、前を向いたままだ。


「ナミホ」

 息を切らしながら、ぼくはナミホの横で言った。

「ずっと毎日探していたんだよ。ずっと毎日」


 ナミホに会うのは六日ぶりだ。

 ナミホは黙っている。

「怒っているんだね。嵐の夜の森のこと。ぼくが寝てしまってから」

 下を向いたナミホの顔を、ぼくは覗き込んだ。

 口がへの字になっている。相当怒っている。


「嵐がやんだら、ちゃんと送っていくつもりだったんだ。だけど、眠りこんじゃって。謝るよ。ごめん。だから笑って・・」

 ナミホは何も言わず、もちろん、笑いもせず歩き出した。


 ぼくはナミホの後を、そっとついていく。

 ナミホはしばらく歩いて、急に立ち止まり後ろを向いた。そして、

「あたしのいうことをきいてくれたら、許してあげる」

 と言った。


「ほんと?」

 ぼくはうれしくて飛び上がった。

 ナミホを抱きしめて頬ずりする。

「ぼく、何でもするよ」

 ナミホはやっとにっこりと笑った。


「じゃあ、あの小さな島まで、一緒に泳ごう」

「えっ!」

 ナミホが指さす海の向こうに、小さな島が見える。

 ぼくは驚いて、ナミホの顔と島を交互に見た。


「あの島まで?」

「そう」

 ナミホはうなずいて言った。

「でも、ぼく泳いだことがないんだ。だから、きっと泳げないよ」

 ぼくは言った。


「何でもするんでしょ」

 ナミホが冷やかに笑って言う。

「うん・・・」

 ぼくはどうして、何でもするなんて言ってしまったんだろう。ぼくは後悔した。


「見た目よりそんなに遠くないし、海もそれほど深くないのよ。それに、もし、溺れそうになったらあたしが助けてあげる」

 ナミホが楽しそうに言う。


ぼくはこんなに楽しそうに話すナミホを、見たことがないと思った。

「でも」

 でも、ぼくは何だかいやな予感がする。

「早く行こう」

 ナミホはぼくの気落ちなどおかまいなしに、水の中に入って行った。



挿絵(By みてみん)


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