転移先がおかしいんですが
始まりますよ~
日の光で俺は目が覚めた。俺は地面に横たわっていた。立ち上がり、周りを見渡す。
周りは雑草と木々だらけだった。地面は少し傾斜になっていて、ここが山の中であることがうかがえた。
周りには人も動物もいなく、安心した。もし、近くに選手がいたら戦いになっていたのかもしれないのだから。
真面目に死ぬのだけは勘弁。痛いのはもう嫌だ。
俺は小説とかでよく見る大切なことを思い出した。異世界転移といってもいい、この状況で大事なことがある。大抵の小説では、武器やら食料やらが近くに置かれているのだ。それなのに、俺の周りには何もない。あるのは雑草と木だけ。
何日か分の食料を与えてくれてもいいんじゃないんですかね?
「本当の神様ってケチなんだな」
やはり、小説の中の神様は人間が創った幻想に過ぎなかったんだ。
「とりあえずこの山から下りてみるか」
この世界がどうなっているのかわからない。まずは、知る必要がある。
下りれば、もしかしたら町があったり、人がいたりするかもしれない。
俺は淡い期待を持って山を下りた。
結果から言うと、俺の期待は裏切られた。
山を下りると、あるのは平原だった。見渡す限り平原だったのだ。後ろは山、そのほかは平原。
この山に山道なんてなかった。下りるのも一苦労したのだ。それなのに下りてみればこの状況。
この平原にも人が通るであろう道はなかった。
「おいおい。こんなのありかよ。流石に酷くね?」
酷すぎるのではないだろうか。まったくわからない新天地で、近くに町もなければ人がいる形跡もない。
「もしかして、神様下ろす場所間違えたんじゃない?」
疑いたくなる。
「本当にサバイバルをしろってこと?」
俺はてっきり殺し合いをしろという意味のサバイバルゲームだと思っていたのだが、これでは本当にサバイバルゲームではないか。
「とりあえず山の中に戻ろう」
ここは安全ではない。平原は見晴らしがいい。どこまで続くかわからない平原を何も知らない俺が行ったところで、無謀だ。食料もなければ武器もない。生き残ることを考えるのなら、この山はまだ安全といえる。
俺が山に引き返そうと、山の方に向きを変えた時、
ド、ド、ド、ド、ドドドドド。
「ん? 何か音がするな」
何かが走ってくる音がした。何事かと俺は平原の方を振り返る。
俺の方に向かっているわけではない。
音は左右二方向から聞こえてくる。
音がだんだん大きくなってくる。
音の正体がわかった。
「あれは動物なのか!?」
あれを動物といっていいのかわからない。いや、生きているもの、動く物なのだから動物といえるだろう。だが、俺はその存在を地球にいた時には見たことがなかった。
四メートルはあるであろう巨大な躰をしたサイのような動物が、二頭左右から走ってきていた。このままいけばお互い衝突してしまう。
その光景に俺は唖然としていた。
俺の脳が今のこの状況についていけていなかった。
人間訳の分からないことがあるとフリーズしてしまう。今回で俺は二回目の経験をしている。一度目は、死んだ時だ。
一度目の時とは状況が違うが、衝撃は同じくらいだ。
俺がフリーズしている間もサイのような動物は走っていて、そして二頭は衝突した。
ドォン!!
とても重い衝撃音が響き渡った。
二頭はぶつかった後、自分の頭の上にある長い角で攻撃しあっていた。それはもう荒々しく、野性的だった。あ、野性か。
喧嘩をしているのか何なのかわからないが、俺は初めて自然、動物の怖さを目の当たりにした。こんなの動画でしか観たことがない。
一頭のサイみたいな動物の角が折れた。そこからは一方的だった、これが弱肉強食の世界なのだと知った。
だが、これで終わりではなかった。
漁夫の利を取ろうとするものがいるのだ。
空中から急降下してきた、大きな鳥、いや、あれは竜だ。よく、漫画とかで見る飛竜がサイみたいな動物を上から強襲したのだ。サイみたいな動物はなすすべもなく殺された。
「まじかよ!? あんなのまでいるのかよ!」
俺は急いで山まで引き返した。
あれはもう動物ではない、魔物といった方がいいのかもしれない。
「はぁはぁはぁ、まじかよ。こんな世界で生き延びろってか」
息を切らしながら、俺は元居た場所まで戻ってきた。
あれだけのことが目の前で起こったのだ、戻る途中も周りを警戒しながら山を登った。
木の根元に背をつけ座る。
この周りには魔物はいない。安心して今後のことについて考えることができる。
「まずは、拠点を探そう」
まずは、寝るところを探さなくてはならない。こんな世界に来てしまったのだから、寝るときも用心しなければならない。なら、少しでも安全な場所で寝たい。
「次に、食料の調達だな」
先ほども見た通り、この世界は俺の知らないことだらけだ。多分食料も何が食べられて、何が食べられないのかわからない。一つずつ、しらみつぶしに探していかなけらばならないようだ。
「最後に、俺の恩恵についてだな」
能力発動の仕方もわからなければ、どれくらい身体能力が向上するのかわからない。それも知っておかなけらばならない。
いずれ、ほかの選手と殺し合いが始まるのだから。
ある程度、呼吸が安定したため、俺はこれからの活動する拠点を探しに歩き出した。
この山にどんな魔物が住んでいるのかわからないため、慎重に上へと進んでいった。
俺はこの世界でたくさんのことを経験することになる。
先ほど見たのはこの世界のほんの一部に過ぎなかった。
元居た世界がどれだけ優しい世界かを実感した。
法もなければルールもない、殺人が正当化された世界で俺は生き残る。
神様が創った世界だから何でもありだよねっということでぶっこんだ魔物たち、まさにサバイバルといってもいいのではないでしょうか。
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