初めての戦いは幕を閉じる
遅くなってすいません
竜は俺が突然変わったことに警戒しだした。
恐る恐る俺の周りをまわる。
そりゃ、なるわな。
突然人が変わったような動きをするんだから。俺だってそういう相手と戦ったら怖いもん。
「手加減はしないからな!」
様子見なんてしない。
俺は竜に向かっていった。
本当にすごい。どんどん力が湧いてくる。今なら何でもできる気がする。
物凄い速さで俺は竜に肉薄する。
竜はそんな俺を唖然とした表情で見たいた。
もし、この竜が人の言葉を話せたとしたら、
『は!?』
といっていただろう。
それほど俺の変わりようは凄まじかったのだ。
竜の顎下まで移動した俺は、屈み勢いよく上に跳び、アッパーを喰らわす。
攻撃を喰らった竜は大きく上に仰け反る。
だが、竜に隙は無かった。仰け反るさい、視線は俺の方を見ていた。俺は竜と目が合ってしまった。
何かしてくる!?
そんな予感がした。
そして、俺の予感は的中した。
竜翼を使ってを使って大きく左に横に薙ぎ払ってきた。
巨体の薙ぎ払いだ。範囲が尋常ではない。
「やられるか!?」
俺は上に大きく跳んで竜の攻撃を回避する。
だが、竜の攻撃は終わりではなかった。
この竜がどういう竜なのか知らなかったのもある。この竜は空を飛ぶ、というか空を主戦場としている。それを先に知っていたらこんな攻撃しなかっただろう。
戦闘慣れしていないことも一つだったかもしれないが。
竜が薙ぎ払いから、大きく回旋しながら飛んだのだ。
「そんなのありかよ!?」
「グガァァァ!!」
本当は俺の言葉がわかっているのではないだろうか?
そう思ってしまう。
まぁ、そんなわけないんだろうけど。
竜の回旋を俺は躰を捻って回旋範囲から逃れる。
俺はしっかりと受け身を取り地面に着地した。
すぐさま顔を上げ、竜の方を見る。
竜は翼をゆっくりと羽ばたかせ、俺を上から見下ろしていた。
それはまるで、『ここまで来れるか?』という挑発のようだった。
「見下しやがって!」
竜はわかったのだろう。俺が自分の恩恵を使いこなせていないことに。
そして俺は焦っていた。
なぜなら、この力がいつまでもつのかわからないからだ。
もしかしたら、この能力は時間制限かもしれない。三分たったら強制的に切れるだったらどうなるか。切れた瞬間殺される。
または、時間ではなく、目に見えない、この力の貯蔵庫があり0になったら切れるとかそういうシステムかもしれない。
この、わからない状況で長期戦はよろしくない。なるべく速やかに迅速にこの戦いを終わらせたい。
「早く終わらせてやる!」
空中にいる竜とどう戦うか。
簡単だ。俺も空中で戦えばいい。
勿論俺は空を飛ぶことなんてできない。そんなことができる奴がいたら、そいつは人間を卒業してるね。卒業おめでとう! って言葉をかけてあげるよ。
俺は思い切り、飛びあがった。竜と同じ高さまで跳んだ。
竜もここまでこれると思っていないらしく、驚いた顔をしたいた。
だが、俺も驚いていた。
思い切り跳んだが、本気で跳んだわけではない。
本気で跳んだらどうなるのだろう。俺は想像できなかった。まぁ、流石に空を飛ぶまではできないだろうが、結構な高さまで跳べるだろう。
あれ? もしかして俺、半分人間やめてね?
いやいや、まだ大丈夫でしょう。これくらいと特注トランポリンがあればだれでも出来るだろうし。
「ガァァァ」
竜は首を勢いよく横に振り、正気に戻った後、大きな声で吠えた。
「吠えったって意味ねぇよ! 俺が攻撃するからな!」
攻撃しようと腕を振り上げた時、はっと俺はあることに気が付いた。
ここは地上でもなんでもない。空中だ。俺が横に移動することなんてできない。
俺と竜の距離は数メートル。たかが数メートル、されど数メートル。おれはその言葉の価値を初めて理解した。
俺の内心、焦り、が表情に出ていたらしく、竜が嗤った。そんな気がした。
竜は少し飛翔した後、空中にいる俺目掛けて、突撃してきた。
ここで勝負をつけるつもりだろう。
俺もここで勝負をつけたいところだ。
だが、俺に勝負をつける切る札はないし攻撃ができない。
まぁ、敵がこちらに来てくれているんだが。
竜が近づいてくる。
当たる寸前で俺は、竜の頭に手をやった。そのあと、竜の首を使って前転。竜の背中に乗った。
夢にまでみた騎乗竜の完成だ。
だが、喜んでいられない。竜は俺が乗っているのを嫌がり、振り下ろそうと思い切り体を揺らす。
「うわぁ! わわわ! 目が回る! やめろ! やめろって言ってるでしょうが!」
落ちないように体を支え、背中を殴った。
手に痛みはない。これも恩恵の力だろう。
何発も背中を殴った。
痛みに耐えられなくなったのか、悲鳴を上げる竜。やがて、痛みに耐えられず、飛行することもできなくなったのか落ちる。
そこからは一方的な展開になった。
俺が、地面に落ちた竜を殴っては蹴り、殴っては蹴る。たまに、チョップを入れる。
そしてついに竜の息の根を止めた。
「勝ったぁぁ!」
俺は達成感と疲労と緊張感と様々なものが一気に押し寄せてきたため、地面に崩れるように座った。




