心面お餅
トースター越しにお餅を眺める。
長方形の無表情をしたお餅が
時間が経つにつれ、表面が膨れはじめる。
「サウナに入っていて、今にも外へ出そうな雰囲気だな」
人間だったらと私はそう思う。
その時表面が膨れ上がり、パンと音がした。
「子どもが欲しいおもちゃをねだって
買えなかった時の泣く一瞬」
私は冷静にそう言う。
お餅に実況をするのも意外と楽しいものだ。
その後お餅には何の変化もない
実況をするほどでもない。
「人生セカンドライフに入ったのかな」
私はしみじみと思った。
しかし表面をみると所々にこげみがあり、食欲をそそる。
「セカンドライフからでも夢は続くか……」
お餅を取り出し、私は部屋へと戻っていった。