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コート・サイド・ラバーズ  作者: 大和麻也
Let ――仕切り直し――
6/54

♪きな臭い文字

 清瀬忠……高校生

 恵那みのり……高校生

 岡田幸介……数学教師

 藤井英人……テニスプレイヤー

「……彫刻刀か何かで、かなり深く掘ってある」

 ロッカーの文字を、忠は冷静に観察する。わたしだって、暗い更衣室の中で心の準備もなしに急に見てしまわなければ、腰を抜かすようなものではない。

「まあ、イタズラだよね」

 立ち上がって、制服に着いたほこりを払う。見えないけれど、スカートのお尻は真っ白だろう。

 立ち上がれば、忠の顔が近くなる。

「僕もイタズラだとは思いたいけれど……」

「違うの? 確かに、文面は妙だけど」

「さすが、僕の嫁だね」

「忠の考えは?」

「『ドウシテ、殺シタノニ』……文面が変だということは、僕も同感だよ。誰からの視点なんだろうね、この文面」

「手の込んだイタズラ?」

「ずいぶん新手だね、高校生のイタズラにしては。何より、場所が変なんだよ……この女子更衣室のロッカーに、かなりの力で彫刻刀を突き立てたようだね。生半可なイタズラにしてはおどろおどろしい」

 忠の言う通りその傷は、ロッカーの扉をもう少しで貫通してしまいそうだ。女子生徒にしては怪力、そう言いたいのかな?

「じゃあ、何か理由があるの?」

「あるとは言いたくないけどね。誰かが何かを殺したんだろう?」

「で、でも手がかりなんてないよ?」

「そうだね……さっき部屋を見た限りでは、ここは十年前から閉ざされている。カレンダーが十年前の八月になっていた」

「十年前!」

 忠がカレンダーにまで注目していたことには驚いたけれど、それ以上に、テニス部が十年も復活していないことにはもっと驚いた。テニス部くらい、その十年のうちに設立させようとする人がいてもいいはずだ。

 忠は眉間にしわを寄せる。

「何か、きな臭いな」

「……『臭い』なんてやめてよ、この部屋が臭いの思い出しちゃった」

「言われたら僕もまた気分が悪くなってきたよ……結局、Great pains but all in vainってところだね」

「はあ……?」

「収穫なしってこと。とりあえず、きょうできることは何もなさそうだ、岡田先生のところへ鍵を返しに行こう」


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