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コート・サイド・ラバーズ  作者: 大和麻也
Game ――決着――
53/54

*最後のチャットにて

 かいちょ:こんばんは、清瀬くん

 かいちょ:部員になりたい人、集まったよ

 Tadashi:ありがとうございます

 Tadashi:これでやっと、部活がスタートできます

 かいちょ:それはよかった。私も嬉しい

 かいちょ:それはそれとしてさ、

 かいちょ:私ずっと、清瀬くんのことが気になっていたの

 かいちょ:だから伝えておきたいことがあるんだけど

 Tadashi:なんでしょう?

 かいちょ:みのりちゃんを

 かいちょ:妹の代わりにするのはやめなよ

 Tadashi:?

 かいちょ:とぼけているのはわかっているよ

 Tadashi:いくら会長でも、失礼ですよ

 Tadashi:僕にとってみのりは

 Tadashi:かけがえのない唯一の存在です

 Tadashi:そんなみのりを、代わりだなんて

 かいちょ:清瀬くん、妹さんを亡くしたんだよね?

 Tadashi:モニター越しだから指摘しやすいのですね

 Tadashi:そんなことをいつ言いましたか?

 Tadashi:事実無根でしょう?

 かいちょ:そうね

 かいちょ:ほとんど直感で言っているところがあるから

 かいちょ:でも、僕の嫁って言うのが

 かいちょ:どうしても変だと思って

 Tadashi:好きが高じただけです

 Tadashi:深夜アニメの影響も認めます

 かいちょ:それにしたって

 かいちょ:唯一無二の相手に、そんなことを言うかな?

 かいちょ:私にはどうしても

 かいちょ:自己暗示みたいなものに思えたんだよね

 かいちょ:たとえば、

 かいちょ:みのりは妹じゃないんだって

 Tadashi:くだらない

 Tadashi:これでは、否定するほど足元を掬われそうだ

 Tadashi:勘でものを語る人間に

 Tadashi:理屈で立ち向かっても無意味でしょうね

 かいちょ:そうだろうね

 かいちょ:初対面のとき、

 かいちょ:お兄さんだねって聞いたでしょ

 かいちょ:その答えが

 かいちょ:そうなんですかね

 かいちょ:っていうのがすごく変だと思ったの

 かいちょ:それからしばらく調べたり考えたりした

 かいちょ:寝ても覚めても清瀬くん

 かいちょ:まるで恋しているみたいだったよ

 かいちょ:それでね、

 かいちょ:みのりちゃんに対する不可解な行動がわかったの

 かいちょ:清瀬くんのテニスは大会で成績を残すレベルだったこと

 かいちょ:岡田先生から聞いたよ

 かいちょ:それなのに、高校では一度辞めていた

 かいちょ:外でやっているふうでもないから、

 かいちょ:部活がなくて諦めていた可能性もあった

 かいちょ:でも、またはじめようとしている

 かいちょ:ほかにも、みのりちゃんと連絡を絶った時期があった

 かいちょ:ずっと一緒なのに、何かのきっかけでね

 かいちょ:だからぴんときたの

 かいちょ:清瀬くんには妹がいて

 かいちょ:テニスを始めようとしていた

 かいちょ:けれど、何かあって死んでしまった

 かいちょ:それなら納得がいく

 かいちょ:妹にそっくりな、あるいは似た雰囲気の

 かいちょ:みのりちゃんに出会って、

 かいちょ:テニスが好きになったみのりちゃんを

 かいちょ:ついついかわいく思ってテニスをまたはじめた

 かいちょ:教えるの楽しかったでしょ?

 かいちょ:ツイストサーブをやめさせたり

 かいちょ:いいプレーを褒めたりして

 かいちょ:けれどもやっぱり妹を思い出して突き放す

 かいちょ:だからずっと、僕の嫁と言って誤魔化す

 かいちょ:そうじゃない?

 Tadashi:くだらない

 Tadashi:会長にはどうも、デリカシーというものがない

 かいちょ:認めなくても構わないよ

 かいちょ:私が気になったことを吐き出したかっただけ

 かいちょ:そういうことだから、言っておくよ

 かいちょ:みのりちゃんは清瀬くんが思うより

 かいちょ:ずっと素直で

 かいちょ:ずっと狡猾だよ


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