*最後のチャットにて
かいちょ:こんばんは、清瀬くん
かいちょ:部員になりたい人、集まったよ
Tadashi:ありがとうございます
Tadashi:これでやっと、部活がスタートできます
かいちょ:それはよかった。私も嬉しい
かいちょ:それはそれとしてさ、
かいちょ:私ずっと、清瀬くんのことが気になっていたの
かいちょ:だから伝えておきたいことがあるんだけど
Tadashi:なんでしょう?
かいちょ:みのりちゃんを
かいちょ:妹の代わりにするのはやめなよ
Tadashi:?
かいちょ:とぼけているのはわかっているよ
Tadashi:いくら会長でも、失礼ですよ
Tadashi:僕にとってみのりは
Tadashi:かけがえのない唯一の存在です
Tadashi:そんなみのりを、代わりだなんて
かいちょ:清瀬くん、妹さんを亡くしたんだよね?
Tadashi:モニター越しだから指摘しやすいのですね
Tadashi:そんなことをいつ言いましたか?
Tadashi:事実無根でしょう?
かいちょ:そうね
かいちょ:ほとんど直感で言っているところがあるから
かいちょ:でも、僕の嫁って言うのが
かいちょ:どうしても変だと思って
Tadashi:好きが高じただけです
Tadashi:深夜アニメの影響も認めます
かいちょ:それにしたって
かいちょ:唯一無二の相手に、そんなことを言うかな?
かいちょ:私にはどうしても
かいちょ:自己暗示みたいなものに思えたんだよね
かいちょ:たとえば、
かいちょ:みのりは妹じゃないんだって
Tadashi:くだらない
Tadashi:これでは、否定するほど足元を掬われそうだ
Tadashi:勘でものを語る人間に
Tadashi:理屈で立ち向かっても無意味でしょうね
かいちょ:そうだろうね
かいちょ:初対面のとき、
かいちょ:お兄さんだねって聞いたでしょ
かいちょ:その答えが
かいちょ:そうなんですかね
かいちょ:っていうのがすごく変だと思ったの
かいちょ:それからしばらく調べたり考えたりした
かいちょ:寝ても覚めても清瀬くん
かいちょ:まるで恋しているみたいだったよ
かいちょ:それでね、
かいちょ:みのりちゃんに対する不可解な行動がわかったの
かいちょ:清瀬くんのテニスは大会で成績を残すレベルだったこと
かいちょ:岡田先生から聞いたよ
かいちょ:それなのに、高校では一度辞めていた
かいちょ:外でやっているふうでもないから、
かいちょ:部活がなくて諦めていた可能性もあった
かいちょ:でも、またはじめようとしている
かいちょ:ほかにも、みのりちゃんと連絡を絶った時期があった
かいちょ:ずっと一緒なのに、何かのきっかけでね
かいちょ:だからぴんときたの
かいちょ:清瀬くんには妹がいて
かいちょ:テニスを始めようとしていた
かいちょ:けれど、何かあって死んでしまった
かいちょ:それなら納得がいく
かいちょ:妹にそっくりな、あるいは似た雰囲気の
かいちょ:みのりちゃんに出会って、
かいちょ:テニスが好きになったみのりちゃんを
かいちょ:ついついかわいく思ってテニスをまたはじめた
かいちょ:教えるの楽しかったでしょ?
かいちょ:ツイストサーブをやめさせたり
かいちょ:いいプレーを褒めたりして
かいちょ:けれどもやっぱり妹を思い出して突き放す
かいちょ:だからずっと、僕の嫁と言って誤魔化す
かいちょ:そうじゃない?
Tadashi:くだらない
Tadashi:会長にはどうも、デリカシーというものがない
かいちょ:認めなくても構わないよ
かいちょ:私が気になったことを吐き出したかっただけ
かいちょ:そういうことだから、言っておくよ
かいちょ:みのりちゃんは清瀬くんが思うより
かいちょ:ずっと素直で
かいちょ:ずっと狡猾だよ