*またまたまたまたチャットにて
清瀬忠……高校生
恵那みのり……高校生
岡田幸介……数学教師
上津千代……養護教諭
三倉隼太……忠の友人
西愛佳……みのりの友人
草野藍……生徒会長
藤井英人……テニスプレイヤー
牧川、久内、熊田、篠原……かつてのテニス部顧問とコーチ
鎌本……美術講師
Tadashi:隼太、いいか?
H.Mikura:おうよ
H.Mikura:早いな、もう有力な手がかりを得たか
Tadashi:いや、すまないが、その正反対だ
H.Mikura:座礁したのか?
Tadashi:せっかく前進したのに、暗礁に乗り上げた
H.Mikura:なら、俺に助けを求めたくもなるか
H.Mikura:ちょいと話せや
Tadashi:熱中症で人が死んだことは話したな?
Tadashi:そこで部室を調べると、重大な疑問がふたつ見つかった
Tadashi:ひとつは、ロッカーに彫刻刀で刻まれた文字
Tadashi:もうひとつ、当時の教員の不在
H.Mikura:ひとつめから質問しよう。何と書いてあった?
Tadashi:ドウシテ、殺シタノニ
H.Mikura:わお、それは奇抜で物騒だぜ
Tadashi:まったくだ
H.Mikura:しかし、熱中症なのになぜ『殺したのに』なんだ?
Tadashi:そこだ、論点にするべきなのは
H.Mikura:わかった、頭に入れておく
H.Mikura:いますぐには見当がつけられないな、悪い
Tadashi:それだけでも充分。任せたぞ
H.Mikura:もう片方の疑問を詳しく頼む
Tadashi:十年前にテニス部の活動報告にサインした教員が
Tadashi:いまでは誰もいなくなっているんだ
H.Mikura:何人?
Tadashi:コーチを含め、五人
H.Mikura:なんだって? 永正学園は私学だろう?
H.Mikura:十年前は定年退職間際のおっさんだらけだったのか?
Tadashi:いや、一応説明はつく
Tadashi:うちの学校は中学なんかが増えているから、
Tadashi:自然と教員が出ていくことはある
Tadashi:事実、若い教員は多い
H.Mikura:なるほどね
Tadashi:それから、鎌本という教員が妙なんだ
H.Mikura:具体的に、どういうところが?
Tadashi:最近採用された美術の講師なんだ
Tadashi:年のころは見たところ三十代前半
Tadashi:だが、十年前にも鎌本というサインが見つかっている
H.Mikura:寿退職でもして、再雇用されたんじゃないのか?
Tadashi:寿退職か、なるほど
Tadashi:ところが、以前は別の学校で講師をやっていたらしい
H.Mikura:つまり、十年前永正学園いない可能性が高いのか
Tadashi:いないんだろうな、おそらく
H.Mikura:いや、まだ可能性はある
Tadashi:ほう。十年前にいた可能性とは?
H.Mikura:このくらい、簡単に思いつくぜ
H.Mikura:教育実習