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コート・サイド・ラバーズ  作者: 大和麻也
Let ――仕切り直し――
12/54

♪市立図書館にて

 図書館は冷房が効いていて気持ちがよかった。お昼のラーメンで汗をかいていたせいでもあると思う。

 入館すると、忠は迷わず受付カウンターへ向かった。いったんは貸出用のカウンターで別のカウンターに行ってしまったが、そこの人に新聞を取り扱うコーナーへ案内してもらうことができた。

 珍しく高校生が来からなのか感心したように微笑む白髪交じりのおばさんに、忠は落ち着いて話しかける。

「十年前の新聞って読めますか?」

「はい、読めますよ。ちょうど十年間保存しているので、十年前の七月ぶんが当館で一番古い新聞になっています」

「検索ってできますか? 何か関連する単語とか、見出しとかで」

「申し訳ありません、それはできませんね。一か月ごとに指定してもらうことならできますが?」

「では、十年前の八月のものを」

「わかりました。DVDに画像として保存されているので、閲覧コーナーのパソコンでご覧になってください。では、いまお持ちしますので少々お待ちを」

 おばさんは奥へ下がって、二、三分もすると忠が指定したDVDを持って戻って来た。忠はお礼を言って受け取ると、すぐさま閲覧コーナーへと向かう。夏休みの図書館は人が多かったけれど、パソコンのコーナーはさほど人がいなかった。

 忠は早速DVDをパソコンに読み込ませ、画像ファイルの一覧を表示させる。置いてきぼりにされるのも寂しいので、隣の使われていないパソコンの椅子を引き出して忠のそばに座った。

 画面にはびっしりと文字が敷き詰められている。八月一日の新聞の第一面を拡大してみているようだ。そして、画面をスクロールさせて次の面を読んでいく。ざっくりと斜め読みしては、当たりのありそうな記事にありつけず画面を流していった。

 一日の記事を諦め、二日の記事をチェックしようというとき、忠はわたしを振り返り、小声で文句を垂れる。

「みのり、いくら冷房が効いていても暑苦しいよ。ここは僕に任せて、何か好きなものでも見てきなよ」

「うん……」

 渋々椅子を片づけて、図書館をぶらぶらすることにした。まったく、協力しようと言ってきたのは忠なのに。

 仕方なく、テニスの本を検索して立ち読みしながら過ごすことにした。


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